高値警戒でスピード調整、過熱シグナルは継続

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/11 20:41

明日の株式相場見通し

 12日の東京株式市場は、短期的な過熱感が解消されていないことから、日経平均株価は一服となる可能性が高い。きょうまでの6日続伸で、日経平均株価の上昇幅は合計1008円と1000円幅を超えてきた。さらに、25日移動平均線に対する上方カイ離率も5%を上回り、25日移動平均の騰落レシオは132%、サイコロジカルラインは、10勝2敗となるなど高値警戒を示すシグナルが相次いでいる。
 市場関係者からは「ここ数日、朝方は前日比で安くスタートし前場はほぼマイナス圏で推移していても、後場にはプラス圏に浮上する展開が続いている。いったんは利益確定の売りに押されても、押し目買いが入り下落が小幅にとどまる展開が繰り返されるなかで、下値不安感が徐々に薄れているようだ」との見方が出ていた。

 11日の東京株式市場は、朝方売り優勢で始まったものの、その後は底堅さを取戻し、日経平均株価は前日比プラスとマイナスの挟間を往来する展開。終値は前日比20円13銭高の1万9691円39銭と小幅ながら6日続伸となった。

 日程面では、10月の企業物価指数、9月の機械受注統計、10月のオフィスビル市況に注目。
海外では、EU非公式首脳会合、イエレンFRB議長講演、米10月の財政収支が焦点となる。

<動意株>=イチケン、エクストリーム、イグニスなど

 イチケン<1847>=後場後半に一段高。
午後2時ごろに、16年3月期単独業績見通しについて、売上高を従来予想の680億円から700億円(前期比3.4%増)へ、営業利益を22億円から29億円(同23.0%増)へ上方修正したことが好感されている。商業施設の受注高や完成工事高の増加などで売上高が計画を上回ったことに加えて、完成工事高の増加や低採算工事の減少で利益率も改善し、利益を押し上げた。また、業績予想の修正に伴い、従来7円を予定していた期末一括配当を8円(前期7円)に引き上げるとあわせて発表しており、これも好材料視されている。

 エクストリーム<6033>=後場急伸。
正午ごろに、米アクシス・ゲームス・ローカライゼーション(カリフォルニア州)との間で、エクストリームが日本国内向けに企画・開発・販売したニンテンドー3DS専用ソフト「ラングリッサー リインカーネーション―転生―」について、北米・欧州・アジアの一部地域で独占販売を許諾するライセンス契約を締結したと発表しており、業績への寄与を期待した買いが入った。

 イグニス<3689>=後場一段高。
同社はきょう、カジュアルゲーム「breaker:ブロック崩しー30秒でどこまで壊せますか?」のアインドロイド版を、主要16言語で世界134カ国・地域で配信を開始したと発表。ユーザー数拡大による業績への寄与などが期待されているようだ。また、10日には新感覚RPG「ぼくとドラゴン」の繁体字版を台湾・香港・マカオ市場向けに配信を開始したことを明らかにしている。

 トーヨーカネツ<6369>=急騰。
同社は10日の取引終了後、株主還元方針の策定を発表しており、これを好感した買いが入っている。配当性向を20~30%、総還元性向を50~75%に設定するとしており、適用期間は16年3月期から19年3月期まで。これに伴い、従来4円を予定していた期末一括配当を5円に引き上げるほか、上限を1000万株(発行済み株式数の9.0%)、または20億円とする自社株買いを実施する。さらに、自社株を除く発行済み株式数の17.1%にあたる2370万株の自社株を11月25日付で消却することなどをあわせて発表した。

 ダイキョーニシカワ<4246>=ストップ高。
同社は10日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の1490億円から1580億円(前期比17.6%増)へ、営業利益を137億円から155億円(同25.5%増)へ、純利益を87億円から99億円(同42.8%増)へ上方修正、これを好感する動き。主要販売先の生産増に伴う製品売上増などが寄与、コスト低減活動なども利益を押し上げている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想