「ドル/円・オセアニア通貨は“ハロウィン”に買え!」は今年も健在?

著者:津田隆光
投稿:2015/10/22 16:39

株をハロウィンに買うべきなら、ドル/円・オセアニア通貨も・・・?

現在の市場参加者の一般的投資姿勢について言い表すと・・・「様子見気分」。
次週に控える米FOMC(27・28日)とともに、日銀金融政策決定会合(30日)の結果が出てからエントリータイミングを図ってみても決して遅くはないというのが本音と言えるのではないでしょうか。
これは人間活動における当然の帰結であり、わざわざ荒天・濃霧の日を選んで遠出のドライブをするような酔狂はいるはずもなく、これを現在の投資環境に当てはめてみると、「五里霧中」状態と言える現環境下であえてリスクを取ってやろうと思う方が極めて不自然と言えます。

そもそも、現在の「五里霧中」状態の発生源は米FRBであり、より具体的に言うとイエレンFRB議長のリーダーシップの欠如。
以下はあくまで一般論ですが、本来アメリカ人というのは経済社会でも医療現場でも何らかの“手を打つ”場合、その根本問題に対して病理学的に探って静かな治療法を考える性質を持たず、いわば男性的・直接行動的な対症療法を行う果断さが特徴と言えます。(歯が痛けりゃ抜歯する。そこが痛むなら鎮痛剤を打つ・・・といったような。) が、現在の米金融政策の舵取りを見るにつけ、あえて「五里霧中」状態を演出しているとしか思えないような優柔不断さが目立つのは、やはり中国経済の減速懸念や新興国経済の地盤の脆弱さに危機感を抱いているからに他なりません。

となると、しばらくは投資には不向きな環境が続くのか、と思ってしまいがちですが、過去のデータを調べてみると一つの結論が・・・。その結論こそ、先般のコラム(10/1「ハロウィンの季節にやって来る【黄金の180日ルール】について」)にも記載した『10月末買い、翌年4月末売り』の“キング・オブ・アノマリー”。

ちなみに昨日の日本経済新聞電子版に、『「株はハロウィンに買え」の高い勝率』(編集委員前田昌孝氏)という題名の記事が掲載されていましたが、この【黄金の180日ルール】について元々は株式市場の伝統的なアノマリーで、それをドル/円やクロス円で当てはめてデータを出してみたのが先般(10/1)のコラム。言うまでもなく、現在のマーケットにおいて円高(ドル安)と株高(日経225)が共存することはなく、今年1~9月までの相関係数を調べてみると、ドル/円と日経225のそれは.821という高い数値に。

先般掲載(10/1)した通り、2000年以降15年間の勝敗を見てみると、ドル円で11勝4敗(勝率.733)、豪ドル/円・NZドル/円で12勝3敗(.800)の成績になっていることからも、ロスカットの設定と実質レバレッジの抑制を必須条件として、仮に来週にかけて株やドル/円、オセアニア通貨の下押し局面があった場合は、過去のデータに則りロング・ポジションを一部保有してみるのも面白いのではないでしょうか?
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想