急落の反動で買い優勢、海外株横にらみも自律反発へ

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/29 21:56

30日の東京株式市場見通し

 あすの東京株式市場は、ここ一両日の日経平均株価急落を受けていったんリバウンドに転じる可能性が高い。

 日経平均は直近2日間合計で950円余りの下げをみせ、29日引け値現在で25日移動平均線との下方カイ離は6.8%に達している。さらに、東証1部の騰落レシオも71%台と依然売られ過ぎゾーンにある。欧米株市場の動向次第で、朝方は軟調な地合いとなる可能性もあるが、それでも売り物をこなし、自律反発局面を迎える公算が大きい。

 ただし、中国の景気減速の余波は周辺のアジア新興国経済に影響を与えるだけでなく、米国ではFRBが利上げのタイミングを後倒しさせるに至り、深刻度が増している。日本国内でも神戸製鋼所<5406>の利益大幅下方修正、さらに第一中央汽船<9132>の経営破綻と、中国経済とリンクする負の連鎖が個別企業に及んでいる。また、折悪しく、欧州での独VWの排ガス不正問題も重荷となり、楽観は許されない環境だ。したがって、全般底入れを確認するにはまだ時間を要する段階といえる。

29日の動意株

 ダブル・スコープ<6619>=4日ぶり反発。
同社は28日、総額65億円のコミット型タームローン契約および金銭消費貸借契約を結んだと発表。調達資金はリチウムイオン電池用セパレーター生産ラインに投資するとしており、これによる業績拡大などが期待されているようだ。

 ピクセラ<6731>=一時ストップ高。
きょう午後、ダイキン工業<6367>と共同で、インターネットに接続されたエアコンとスマートフォンを使った見守りシステムの実証実験を今冬にかけて実施すると発表。家庭用エアコンのセンサーとネットワークを利用して、高齢者の起床見守りや、子どもの帰宅見守りなど、エアコンに備わる資源を使った低コストなIoT活用の実験を行う。

 トランスジェニック<2342>=一時ストップ高。
同社はきょう、グループのジェネティックラボが10月1日から自己採取HPV(ヒトパピローマウイルス)併用検査を開始すると発表。この検査は、子宮頸がんの早期発見を目的とする検査。これまでの細胞診では異常発見率が70~80%といわれているが、この細胞診にHPV併用検査を加えることで発見率はほぼ100%にまで上昇するという。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ<6090>=一時ストップ高。
同社は28日の取引終了後、大うつ病性障害の血液バイオマーカー(リン酸エタノールアミン)の検査キット開発で共同研究しているシスメックス<6869>と、同バイオマーカー関連特許の通常実施権を許諾するライセンス契約を締結したと発表しており、これを好感した買いが入っている。これに伴い契約一時金およびランニング・ロイヤルティーを受け取る見通しだが、会社側では現時点では16年3月期業績予想に変更はないとしている

 丸千代山岡家<3399>=続急伸。
同社は28日の取引終了後に10月31日を基準日として1対3株の株式分割を実施すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。投資単位あたりの金額を引き下げることで、株式の流動性向上と投資家層の拡大を図ることを目的としているという。なお、効力発生日は11月1日。

 ジェーソン<3080>=急騰。
同社は28日の取引終了後、16年2月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の212億円から212億5000万円(前期比4.2%増)へ、営業利益を同3億8000万円から4億9000万円(同32.8%増)へ、純利益を同2億4000万円から3億1000万円(同33.0%増)へ上方修正しており、これを好感した買いが入っている。上期に顧客の買い上げ個数の増加と商品利益率の改善などで売上高が計画を上振れたことが要因としている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想