国慶節の連休がインバウンド需要の試金石に

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/20 14:09

<株式トピックス>

 18日の東京株式市場は終始売りが優勢となった。一時下げ渋る場面もあったが、大引けにかけて売り直され、日経平均株価は前日比362円06銭安の1万8070円21銭と4日ぶり急反落した。きのうまでの3日続伸で日経平均株価は合計466円幅の上昇となっていたことの反動に加え、大型連休を前に持ち高調整の売りが目立った。

 ところで、日本百貨店協会が18日午後発表した8月の全国百貨店売上高は、店舗数調整後で前年同月比2.7%増の4362億円と、5カ月連続でプラスとなった。8月は、猛暑日が続いた前半は盛夏物、気温が一気に低下した後半は秋冬物がリード役となるなど、季節を先取りした天候の変化が奏功したようだ。

 訪日外国人向けの売上高は、夏季休暇を日本で過ごす家族層の来店が多かったことから、前年比約3.6倍の172億円と、統計開始以来単月で過去3番目の規模に膨らんだ。

 16日、後場に発表された8月の訪日外客数は前年同月比で63.8%増の181万7000人と、8月として過去最高だった昨年の111万人を70万人強上回った。アジア地域の観光客に対するビザの発給要件の緩和や、免税品の対象品目拡大など、成長戦略の一環として安倍政権が強力推進する「観光立国日本」のシナリオが着実に浸透していることをうかがわせる。ただ、当日の関連株の反応は鈍く、今回は“インバウンド関連銘柄物色”が鳴りを潜めた。
 しかし、市場関係者からは「訪日客が日本に落としていくお金で中国人が占めるのは全体の2割強に過ぎず、インバウンド需要はイコール中国ではない」との見方もあり、中国以外の地域からの訪日外国人の健闘も目立つ。

 さらに、中国についても、上海総合指数が下落し始めたのは6月半ばからで、8月26日には2850の安値をつけている。日本への旅行を計画してから実際に訪日するまでのタイムラグを織り込んでも、そろそろ影響が出るころだ。目前に迫った国慶節の祝日(10月1~7日)の中国からの訪日客の動向に注目が集まりそうだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想