買い手控え続く、日銀決定会合を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/14 21:28

明日の東京株式市場見通し

 15日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の内容を注視しながらの神経質な推移となりそうだ。エネルギーを除く消費者物価指数が順調に上昇していることや、日銀は7~9月期のGDP(国内総生産)はプラス成長に戻るとの見方を示しており、今回の会合で追加緩和が発表される可能性は少なく、多くの市場参加者は「現状維持」を予想している。

 市場関係者からは「14日東証1部の売買代金は2兆554億円と、8月18日以来約1カ月ぶりの低水準に落ち込んでいる。今週は現地16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が経過するまでは、外国人投資家の買い手控えが続くため、小口の売りで値を崩す銘柄が目立ちそうだ」としている。

 14日の東京株式市場は高く始まったものの買いが続かず、後場に入り全般は一段安に売り込まれ、日経平均株価終値は前週末比298円52銭安の1万7965円70銭と3日続落した。

14日の動意株

 野村総合研究所<4307>=後場一段高。
同社はきょう、ポストトレード業務のユーティリティ・サービス「プライム・セトルメント・サービス」をUBS証券向けに提供すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。このサービスは、金融機関がバックオフィスで行う一連のポストトレード業務の効率化を実現するもの。第1弾として11月から「国内株式・国内債券」に関わるサービスを、第2弾として来年夏をメドに「外国証券」に関わるサービスを提供する。

 SOL Holdings<6636>=後場急伸し一時ストップ高。
同社はきょう、インドネシアの現地子会社が生産するソルガム EPL シロップがハラール認証を取得したことを明らかにしており、これが材料視されているようだ。ハラール認証とは、商品やサービスがイスラム教の戒律を満たしていることを認定するもの。同社子会社は8月20日付で、インドネシア・ウラマー評議会から認証を取得した。

 KNT-CTホールディングス<9726>=急動意。
国内旅行大手で特にパック旅行で強みを持つ。高水準のインバウンド需要を背景に、新たに開通した北陸新幹線が旅行ニーズを喚起しているほか、USJ効果で関西方面の需要も取り込む。格安ツアーを縮小し、高単価のツアー構成比の高まりが利益率改善ももたらせている。足もとは来週にかけてのシルバーウィークで5連休という日並びの良さから、好調なレジャー消費が見込まれる。

 情報技術開発<9638>=ストップ高。
同社は11日の取引終了後、MBO(経営陣による自社買収)を行うと発表した。NCSCホールディングスが1株1450円で株式公開買い付け(TOB)を実施する。同ホールディングスは、情報技術の社長である三好一郎氏が代表取締役を務める資産管理会社「スリーライク」の完全子会社。買い付け付け期間は9月14日から10月29日まで。MBO成立後、情報技術株は上場廃止となる見通し。

 ビリングシステム<3623>=ストップ高。
同社は11日の取引終了後、共通ポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティング(東京都渋谷区、以下LM社)の会社分割(新設分割)で誕生するLM社のECサイト運営事業者向けクレジットカード決済代行事業新会社の全株式を取得し、子会社化すると発表しており、業容拡大への期待から買いが集中して入っている。

 フリービット<3843>=ストップ高。
同社は前週末11日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。上限を35万株(発行済み株式数の1.55%)、または3億円としており、取得期間は9月14日から12月31日まで。株式市場の変化に対応し1株当たりの価値を高めるとともに、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の実行を目的としているという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想