イベントを織り込み堅調、FOMCの内容注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/12 21:23

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、現地16~17日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)をはじめ、国内外で重要な経済イベントの開催が相次ぐことから、それらを織り込みながらの目まぐるしい展開となることが予想される。

 いまのところ、今回は利上げを見送るとの見方が優勢だが、もしそうなれば、ある程度の米株価の上昇が見込まれ、日本株にもプラスの影響を与えることが予想される。日経平均株価の想定レンジは、1万7800~1万8700円とする。

 FOMCでは、利上げ開始の有無が焦点。米雇用関連指標の堅調などからは、利上げに向けた準備は整っているとの見方がある。一方で、中国経済の先行き懸念や原油安といったマイナス面の外部環境を考慮すれば、利上げをひとまず先送りするとの観測もあり、現状ではこれが有力視されている。また、日銀の金融政策決定会合は「現状維持」が有力視されているが、黒田東彦総裁の会見に注目が集まる。

 日程面では、8月の首都圏新規マンション発売(14日)、日銀金融政策決定会合(14~15日)、8月の訪日外国人客数(16日)、8月の貿易収支(17日)に注目。
海外では、中国8月の小売売上高・鉱工業生産・都市部固定資産投資(13日)、米8月の小売売上高、米8月の鉱工業生産・設備稼働率(15日)、FOMC(16~17日)、イエレンFRB議長会見、米8月の住宅着工件数(17日)が焦点となる。

<11日の動意株>=カヤック、インヴァスト証券、ジョイフル本田など

 カヤック<3904>=後場一段高。
同社はきょう、スマートフォンゲームアプリに特化した賞金付き大会を開催する新サービス「RANKERS(ランカーズ)」を10月から開始すると発表。新たなユーザー獲得などが期待されているようだ。登録したプレイヤーはRANKERSに対応したゲーム上で開催されている賞金付きの大会に挑戦することができ、賞金総額はデベロッパーの任意により5000円から100万円の範囲で指定される。同社は17日から20日にかけて千葉・幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2015」で紹介する予定だという。

 ジョイフル本田<3191>=急反発。
同社は茨城県を地盤にホームセンターを展開。台風18号による豪雨は東日本に大規模な水害を引き起こしたことから、同社には復興に向けたさまざまな需要が発生するとの思惑が出ているようだ。

 ヤーマン<6630.T>=急伸。
同社はきょう午前11時に、16年4月期第1四半期(5~7月)の連結決算を発表。営業利益は4億9600万円(前年同期は1000万円)となり、上半期計画1億2900万円を大きく超過した。売上高は44億8900万円(前年同期比36.6%増)で着地。大手家電量販店向け卸売事業で直接取引形態の店舗数が伸長したことや、直販部門に広告宣伝費を投下した効果などが寄与した。なお、上半期および通期の業績見通しは従来計画を据え置いている。

 クリムゾン<2776.T>=急伸。
東証は10日、同社株を「流通株式時価総額」に係る猶予期間から解除すると発表。上場廃止基準に該当しないこととなり、買い安心感を誘っているようだ。
東証は5月8日に同社株の猶予期間入りを発表したが、7月31日(基準日)時点の流通株式時価総額が上場廃止基準に定める所要額(2億5000万円)に達したことで解除された。

 ビットアイル<3811.T>=3日連続ストップ高。
米エクイニクスからのTOBを受けて、前日まで2日続けて取引時間中には値がつかず、ストップ高配分となっているが、この日もストップ高カイ気配で推移している。TOB価格は922円で、前日終値547円からまだカイ離が大きいことから、引き続きサヤ寄せ意識の展開が続いている。
なお、買付期間は10月26日まで。TOB終了後には所定の手続きを経て上場廃止となる予定。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想