上値重く売り優勢に、個人は乱高下に警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/07 19:39

明日の東京株式市場見通し

 8日の東京株式市場は、引き続き上値の重い展開が予想されるなか、日経平均株価は反落となりそうだ。

 きょうの東京株式市場は、前週末の欧米株式相場の値下がりを受けて、売り優勢のスタートとなった。ただ一巡後は、株価指数先物の買いが先行しプラス圏に浮上するなど荒い値動きだった。

 市場関係者からは「きょうも日経平均の1日の変動幅が500円を超える乱高下が続いており、個人投資家からは“ついて行けない”との声も聞かれた。底入れのイメージが固まりはじめることが先決」との見方が出ていた。

 7日の東京株式市場は、前週末終値をはさんで売り買いが交錯する展開の末、結局日経平均株価終値は、前週末比68円31銭高の1万7860円47銭と小幅反発した。ただ、東証1部の売買代金は、2兆3548億円と減少傾向にある。また、値上がり銘柄数は724、対して値下がり銘柄数は1060(変わらずは112銘柄)と、値下がり銘柄が1000を超えて大きく上回った。

7日の動意株

 リコー<7752>=大幅反発。
旧村上ファンドの流れをくむ投資ファンドとして知られるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、関東財務局4日受付の大量保有報告で、同社株式を8月末時点で8.61%取得していることが判明、これが株価を刺激するかたちとなっている。

 日本M&Aセンター<2127>=急反発。
「目先はテクニカル的にもストキャスティクスやボリンジャーバンドなど底値圏を示唆する指標が多く、信用買い残など需給面の重さも乏しいことに着目した買いが入っている」(国内ネット証券大手)という。また、ファンダメンタルズ面からも再評価余地が大きい。高齢化の波は中小企業の経営にも波紋を広げており、企業の事業継承に絡む需要が増勢にある。

 日本エマージェンシーアシスタンス<6063>=150円ストップ高。
同社は4日に、Medical Excellence JAPANから国内初の「医療渡航支援企業」として認証されたと発表。これを受けて、海外からの患者受け入れの増加などが期待されているようだ。医療渡航支援企業とは、海外からの医療サービス受診者の受け入れにおいて、訪日前から帰国後にわたり医療機関との医療情報のやり取りや通訳、移動手段・宿所の確保などを幅広くサポートする企業のこと。

 日本化薬<4272>=急反騰。
5日付の日本経済新聞で、「抗がん剤をナノレベルの極小カプセルに包み、がん細胞だけに送り届ける新技術を使った新薬の承認を今年度内に厚生労働省に申請する」と報じられており、他社に先駆けての申請となりそうなことを好感した買いが入っている。抗がん剤はがん細胞以外の正常組織も攻撃するため副作用が強く、標的を絞ることで患者の負担軽減につながることから、こうした研究自体は各社が進めているが、承認申請するのは珍しい。市場へのインパクトも大きいとみられ、業績への寄与が期待されている。

 エスケイジャパン<7608>=大幅高で4日続伸。
全般下げ相場に抗し上値を追い、2013年6月以来の高値圏に入った。ゲームセンター向けを主力にキャラクター商品や景品などを企画販売するが、不採算部門の撤退・縮小や拠点の統廃合を推進、人員削減計画にも踏み込むなど経営合理化を進捗、16年2月期は営業、経常、最終損益ともに3期ぶりの黒字転換を見込んでいる。また、株式需給面では信用買い残に乏しく足の軽さが強み。

 イーレックス<9517>=急伸。
4日の取引終了後、米スパークエナジー社(テキサス州)と業務提携を行い、合弁会社を設立すると発表したことが好感されている。設立するのは 「イーレックス・スパーク・マーケティング社」(中央区)。来年4月に予定されている電力システム改革により開放される低圧分野(家庭用・小規模オフィ ス・商店など)の小売り部門の全面自由化を視野に入れて事業展開を行う予定だ。新会社の出資比率は、イーレックスが80%、スパーク社の100%出資会社が20%となっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想