秋相場見通し

著者:菊川弘之
投稿:2015/09/04 10:41

まずは雇用統計も。。。

 ドル円は、チャイナショックを受けて8月24日に116円台前半まで急落したが、アベノミクスが始まって以降の上昇相場の38.2%押しと重なる115円水準が下値支持として意識され、長い下ヒゲをつけて急速に買い戻された。中国発世界同時株安の流れが一服した事や、抗日戦勝利70周年の軍事パレードに伴う上海市場の休場や米雇用統計を控えて様子見ムードが高まる中、200日移動平均線を回復して121円台まで値を戻したものの、足元は再び戻りが売られる格好となっている。ダブルトップのネックライン(7/8安値:120.39円)~200日移動平均線(9/4:120.80円)が上値抵抗帯として機能している。

 まずは、今晩の米雇用統計に注目が集まるが、今週発表されたADP雇用統計や、新規失業保険申請件数はどちらかと言うと弱目の数字で、事前予想もやや低めに修正されており、9月利上げ観測は後退している。こういった中、マーケットが荒れるとすれば、事前予想比で大きく強気の数字が出た場合であろう。この場合は、強気の数字を受けて、ファーストアクションはドル高で反応も、出口戦略を嫌気した株安を受けて、急速にドル買いがしぼんでいくと言う流れも想定される。特に週明けは、レーバーデーに伴う休場で、ポジションを傾けたまま越週の動きは避けられそうだ。週明けには中国市場もオープンし、軍事パレード前の買い支えが継続するのか否か、中国マクロ経済指標も相次ぐため、それらを受けた株式市場の反応を見極めたいとする動きも出てくるだろう。

 8月に天井打ちした最近の金融危機時の秋相場を振り返って見ると、2008年の「リーマンショック」の際は、8月に110円台で頭打ち後、9月・10月と大幅続落して、一旦のリバウンドを入れた後、12月の87円台まで急落した。2009年の「ドバイショック」では、同じく8月に97円台で頭打ち後、9月・10月と続落し、一旦戻りを入れた後、11月の84円台まで続落した。
 ドル円の秋相場は同一方向にトレンドが長く続く傾向があり、今回の「チャイナショック」も、足元は一服感が出ているものの、まだまだ予断の許さない時間帯が続くであろう。各国で政治ファクターの高まりが予想される点にも注意したい。

 ドルと逆相関のNY金も、チャートが少しづつ好転して下値は固くなっているものの、上値も200日移動平均線で抑えられており、ドル円の本格的なトレンド発生には、もう少し日柄が必要かもしれない。雇用統計で強弱白黒つかなければ、10月・12月利上げ説を巡りながら、NY金もドル円も日柄調整する可能性もあろう。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想