「阿鼻叫喚モード、16000円台に突っ込む可能性」 

著者:黒岩泰
投稿:2015/09/01 20:01

「何か悪材料を内包しているのか・・・」

 本日の日経平均は724.79円安の18165.69円で取引を終了した。軟調スタートとなったあとは、さらに下値を試す動き。引けにかけて下落幅を拡大し、結局安値引けとなった。東芝(6502)が決算発表を延期したことや、中国PMIが好不況の分かれ目である50を下回ったことなどを嫌気。一連のリバウンドで約半値戻しを達成したことも、戻り売り圧力が強まる要因となった。

 日経平均の日足チャートでは、大陰線が出現。下方の窓を一気に割り込んでおり、完全に弱気形状へと転じている。19100円付近にファンダメンタルズの壁②が存在していることになり、壁が大きく切り下がったことを意味している。軸が強烈に下向きに傾いているということであり、目先はトンデモナイ下落に遭遇することになりそうだ。アベノミクスがスタートし、日経平均は8500円から21000円に上昇した。まだ、「下落した」といっても8合目付近であり、十分な下落余地が残されている。ダム決壊前夜の動きとも言え、ホンモノの「阿鼻叫喚モード」もあり得る状況である。心して相場と対峙するようにした。

 では、相場を押し下げる最大の要因は何だろうか―。現時点では、やはり「中国バブルの崩壊」が本命と言えるだろう。本日は上海総合指数が1.23%の下落に留まったものの、これは銀行・証券株などを中心に公的資金が入ったとの観測。英FT紙は「やらない」といっていたが、中国は相変わらずPKO(株価維持策)をやっているようだ。しかし、日本はとりあえずの放置プレー。なので、これだけ下落率に差がついた。

 中国バブル崩壊は、ある程度、株価に織り込まれており、日経平均が1万円割れとなるほどのエネルギーを有していない。それでは、何が相場の足を引っ張るのか――。

 考えられるのは、安倍政権が崩壊だ。日曜日の国会前10万人デモでは、民衆の底なしのパワーを感じた。いわゆる「暴徒」は出現しなかったものの、テンション的にはかなり危険な状態にある。今回の「安保法案」は縁起が悪いが「9・11」にも成立するとも言われている。あえてこの日を選んで強行採決なんていうのは本当に趣味の悪い話であるが、その流れは不可避なのであろう。

 問題なのは、その後の安倍政権の運命である。場合によっては、「解散総選挙とバーター」という展開もなきにしもあらずであり、それをマーケットが嫌気している可能性がある。「安倍首相退陣→アベノミクス崩壊→株価大暴落」の連想が働いており、それが相場を押し下げているのかもしれない。

 だいたい、こういった下落になった場合には、悪材料というのは後かついてくるもの。我々が想像を絶するようなことが起こるのであり、その点は用心しておきたい。WTCに飛行機が突っ込んだり、太平洋沿岸に大津波が襲ったり、その種の悪夢が待ち構えているということだ。チャートはそのように語っており、決してナメてはいけない。では、とりあえずの下値メドはどこか。それは4段目の窓下限(16553.91円)である。これでもまだ6合目である。(黒岩の眼より)

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想