上昇一服で値固め、戻り待ちの売り警戒

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/28 20:41

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、きょうまで3日間の大幅続伸で、日経平均株価が1329円高と短期間に急速な戻りを演じたこともあり、来週は反騰相場も一服場面を迎え1万9000円固めの動きが予想される。日経平均株価の想定レンジは1万8500~1万9500円とする。

 日経平均株価は、3日連続の大幅高で反騰相場の第一関門とされる200日移動平均線(1万9042円=28日)を上回り戻りの強さをみせた。ただ、今後は急上昇に対する反動や、戻り待ちの売りも予想されることから、上値の重さが感じられることになりそうだ。

 特に、中国が9月1日に発表する8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、かなりの悪化が想定されており、これへの反応が注目される。また、週末の米8月の雇用統計が予想を上回る強い数値となった場合に、市場に9月利上げ観測がぶり返す懸念もある。

28日の動意株

 データセクション<3905>=後場に入り上げ幅拡大。
この日の正午ごろ、ファイブスター投信投資顧問(東京都中央区)と共同開発した「株価予測システム」を活用した、「MASAMITSUデータセクション・ビッグデータ・ファンド」の運用を、きょうから開始したと発表しており、これを好感した買いが入っている。同ファンドは、ビッグデータを活用して、実際のファンド運営を行う日本初のファンドになり、募集金額22億円を受けて1次募集を終了し、ファンド設定を完了。実社会でビッグデータを用いて、利益向上につなげる試みとして注目を集めている。

 カワタ<6292>=大幅高。
28日正午ごろ、16年3月期の連結業績見通しについて、最終利益を従来予想の4億6000万円から8億4000万円(前期比96.7%増)へ上方修正したことが好感されている。子会社の固定資産を譲渡し、新工場へ移転することに伴い、固定資産売却益や補償金収入を特別利益として計上することが要因。一方で、工場移転費用などの特別損失も発生するが、特別利益が上回ることから上方修正するという。なお、売上高は176億円(同2.1%増)、営業利益は8億2000万円(同8.6%増)の従来予想を据え置いている。

 小松精練<3580>=後場上げ幅を拡大。
28日午前中に関東財務局に提出された大量保有報告書(変更報告書)で、シンガポールのシンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ(シンガポール)の保有割合が9.08%から10.12%へ引き上げたことが判明しており、需給思惑が働いているようだ。なお、保有目的については、「純投資および状況に応じて重要提案行為を行うこともある」としている。

 アクロディア<3823>=ストップ高。
同社は27日、米DVLABS社と動画圧縮関連技術に関して国内および韓国市場での販売業務提携契約を結んだと発表。VOD(ビデオ・オン・デマンド)市場の本格的な拡大などが見込まれるなか、需要の増加が期待されているようだ。同社は今後、豊富な動画コンテンツを保有するVOD動画配信業者やモバイルネットワークISP業者にこの動画圧縮関連技術を提供していく。

 ウェルス・マネジメント<3772>=ストップ高カイ気配。
同社は27日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の13億5100万円から17億4700万円(前期比46.3%増)へ、営業損益を1億9200万円の黒字から2億5600万円の黒字(前期5100万円の赤字)へ、最終利益を1億1800万円から1億7500万円(前期比11.7倍)へ上方修正、これを好感する動き。ホテル運営事業を行う子会社「ホテルWマネジメント大阪ミナミ」設立することから、新会社が収益に寄与する見込み。

 日本タングステン<6998>=急伸。
同社は粉末冶金技術で電子部品を製造、販売好調な自動車向けの需要を取り込んでいる。中国子会社の整理に伴い損益が改善、16年3月期業績は経常利益段階で前期比34.4%増の5億円を見込む。また、第1四半期(4~6月)実績では2億4800万円と通期に対する進捗率が既に約50%に達している。PBR0.5倍台は割安感が強く、材料株素地にも注目が集まっているもよう。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想