底打ち機運で続伸、上海株市場の反発を評価

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/27 20:07

明日の東京株式市場見通し

 28日の東京株式市場は、週末控えで利益確定の売りが予想されるものの、世界的な株式相場の落ち着きを好感した買いの勢いが上回り、日経平均株価は続伸の展開となりそうだ。

 27日の上海総合指数は、6日ぶりの急反発となった。終値は前日比156.303ポイント高の3083.591と、3日ぶりに心理的なフシ目とされる3000を回復してきた。

 中国人民銀行がきょう午前の公開市場操作で、金融市場に資金を供給し続けたことなどが好感された。市場関係者からは「世界同時株安の震源地である中国の株価指数がようやく反発に転じたことで、連鎖安相場に底打ち感がさらに強まりそうだ。今後の焦点はどの水準まで戻せるかに移ってくる」との見方が出ていた。

 27日の東京株式市場は、前日の米株高や外国為替市場での円安進行を好感し買い優勢となり、日経平均株価は一時、400円を超える上昇となったものの、一巡後は目先の利益確定売りで伸び悩んだ。終値は前日比197円61銭高の1万8574円44銭と続伸。

27日の動意株

 大林組<1802>=大幅続伸。
みずほ証券が26日付のリポートで、投資判断「買い」を継続しながら、目標株価を従来の1070円から1140円へと引き上げた。リポートでは「(1)大手ゼネコンの中で民間建築事業の工事採算改善の余地が大きいこと、(2)バリュエーション面での相対的な割安感が強いことなどを踏まえ、投資判断は“買い”を継続する。同社は、民間建築事業の完成工事総利益率が、主要ゼネコンと比べて低い水準にあった。しかし、過年度に受注した低採算案件の受注残に占める割合は徐々に減ってきているため、みずほ証券では16年3月期の完成工事総利益率の改善余地は大きいとみている」としている。

 アールテック・ウエノ<4573>=ストップ高。
同社は26日取引終了後に、米製薬スキャンポ・ファーマシューティカルズの関連会社が同社に対して1株1900円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。これを受けて、TOB価格にサヤ寄せする動きとなっている。買い付け期間はきょう27日から10月13日までで、買い付け予定数の上限はなし。スキャンポは完全子会社化を意図していることから、同社株は上場廃止となる見通し。

 メディアグローバルリンクス<6659>=大幅高。
一時、前日比117円高の882円まで買われる場面があった。同社はきょう、4K/8K放送を効率的に行うための放送局内ネットワークのIP化を実現するIPビデオルータシステムを、9月11日から15日にかけてオランダで開催される放送関連の見本市「IBC2015」に出展すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。

 リーバイ・ストラウス ジャパン<9836>=ストップ高。
同社は26日の取引終了後、15年11月期の単体業績予想の修正を発表。売上高は従来予想の112億円(前期比3.6%増)で据え置いたが、営業損益を4億4000万円の赤字から1億7000万円の黒字(前期10億2200万円の赤字)へ、最終損益を4億7000万円の赤字から1億2000万円の黒字(同10億3400万円の赤字)へ修正した。親会社であるリーバイ・ストラウス・アンド・カンパニーと、より財務上の柔軟性のある利益変動型のロイヤルテーを協議して商標権契約書を改定、これにより支払ロイヤルテーが通年で約6億円減少する見込みとなり、在庫損害を補てんする受取保険金3100万円を営業外収益として計上することが要因。

 ノジマ<7419>=ストップ高。
26日の取引終了後、公募増資の実施を中止すると発表しており、1株当たり利益の希薄化懸念がなくなったことが好感されている。公募増資中止は、相場の波乱による株価急落を受けたもの。同社は18日に公募増資を発表。公募増資800万株と上限120万株のオーバーアロットメントによる売り出しを実施し、約150億円を調達する予定だった。ただ、株価は18日の終値1817円から、26日の終値1077円まで約40%下落しており、新株発行による資金調達は見送ることとした。

 日本ライフライン<7575>=大幅高。
同社は26日取引終了後、9月末の株主を対象に1株を2株にする株式分割を実施することを発表した。これにより株式の流動性向上と投資家層の拡大を図る方針。これを好感する買いが集まった。同社は医療器具の輸入商社で16年3月期は本業の儲けを示す営業利益が前期比51%増の27億8500万円と好調だ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想