乱高下が尾を引く、投資家心理に不透明感残す

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/25 19:43

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、25日の上海総合指数終値が前日比244.938ポイント(7.63%)安の2964.967と、大幅安の4日続落で2014年12月24日以来、約8カ月ぶりに心理的なフシ目とされる3000を終値で下回ったことを嫌気して、売り先行のスタートとなりそうだ。

 市場関係者からは「今回の世界同時株安の発端である上海株式相場に下げ止まりの兆しが見えないことが事態を深刻にしている。25日の寄り付き直後に前日比800円安近くまで下落した日経平均株価が、急速に戻して逆に300円高まで浮上したにもかかわらず、再び朝の水準まで売られるという乱高下ぶりは、不透明感の増幅につながり、投資家に強い心理的なダメージを与えることになる」としている。

 25日の東京株式市場は、典型的な乱高下相場となったが、結局日経平均株価終値は前日比733円98銭安の1万7806円70銭と連日の大幅安。東証1部の売買代金は4兆9240億と5兆円近くまで膨れ上がり、今年最高を記録した。

25日の動意株

 朝日ラバー<5162>=ストップ高。
同社はきょう午前11時30分に、福島県白河工場の隣接地に建設する新工場および初期導入の生産設備が、「福島医療・福祉機器開発・事業化事業費補助金」の対象事業に採択されたと発表。交付金は最大7億5000万円が見込まれており、これが買い手掛かりとなっているようだ。新工場は、マイクロ流体デバイス製品の来期以降の受注状況を踏まえて生産能力を増強させることや、ライフサイエンス分野や体外診断用途などの医療分野の新規製品開発を行うことなどが目的。完成は来年春を予定し、設備稼働実績後に交付金を受領する。

 秋田銀行<8343>=大幅反発。
24日引け後、発行済株式総数の1.62%にあたる300万株、11億4000万円を上限に自社株買いを実施すると発表しており、株式需給の改善を期待した買いが入っているようだ。取得期間はきょうから10月16日まで。東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)、または市場買付けで実施する。

 ストリーム<3071>=ストップ高。
同社は24日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(2~7月)連結業績について、売上高を従来予想の101億8500万円から117億4400万円(前年同期比8.9%増)へ、営業利益を同6400万円から2億3000万円(前期1000万円)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。前期から継続推進しているアイテム数の充実と在庫の適正化施策、市場価格への迅速な対応などにより、家電製品やパソコンおよび周辺機器、デジタルカメラなど主要商品群の販売実績が堅調に推移した。

 リズム時計工業<7769>=大幅高。
24日の取引終了後、自社株取得枠の拡大を発表しており、これを好感した買いが集中して入っている。6月19日発表の自社株取得では、上限を1100万株(発行済み株式数の9.95%)、または17億6000万円としていたが、上限を1820万株(同15.82%)、または30億円に拡大した。経営環境の変化に対応できる機動的な資本政策の遂行や資本効率の向上、株主還元の充実を図るためとしており、取得期間も9月30日までから11月30日までに変更している。

 あいHD<3076>=急反発。
きょうは朝方安く始まったもののその後は断続的に上値を買う動きが観測され、9時20分過ぎにはプラスに転換した。マンション向けを主力に監視カメラやレコーダーなどのセキュリティー機器を手掛けており、時流を反映して好調な需要を取り込んでいる。今16年6月期は08年頃から本格供給を開始した防犯カメラの契約更新需要が本格化するほか、海外で小型カッティングマシンが伸びて収益貢献が予想されており、売上高は520億円(前期比25.8%増)、営業利益は83億円(同16.6%増)と前期に続く大幅増収増益を見込んでいる。株価は波乱相場に流されず、2月27日につけた上場来高値2419円を視界にとらえる展開で異彩の強さをみせる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想