手掛かり材料難で値固め、4~6月期GDPを注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/14 20:28

手掛かり材料難で値固め、4~6月期GDPを注視

 来週の東京株式市場は、週初17日の寄り付き前に発表される4~6月期国内総生産(GDP)速報値に関心が集まる。輸出が振るわなかったのに加え、天候不順もあり個人消費の低迷が響いたものとみられる。民間経済調査機関の予想では、前期比年率で1.5~2%減と、3四半期ぶりのマイナス成長と見込まれている。もし、この予想を大きく下回るようなことになれば売り優勢となる可能性もある。

 今週、波乱要因となった中国の人民元切り下げは、ひとまず落ち着きを取り戻すものと予想され、売られ過ぎたインバウンド関連銘柄の買い戻しが想定される。

 ただ、4~6月期の決算発表も終了して国内に買い手掛かり材料が不足するなか、原油価格下落など国際商品市況の軟調展開に伴い、海外株式市場の波乱も予想される。日経平均株価は、下値固めの動きが主体となるがレンジを想定すれば2万300~2万800円となる。

ラオックスは出来高1.3億株の異彩人気

 14日の日経平均株価終値は、前日比76円10銭安の2万519円45銭と反落した。東証1部の売買代金は2兆4043億円と、オプションSQ(特別清算指数)値算出日だったにもかかわらず、8月に入ってから最低水準の閑散商いとなった。前日の欧州株が総じて反発したほか、米国株市場ではNYダウが小幅ながらプラス圏で着地するなど中国の人民元切り下げに伴う世界株安の連鎖はひとまず沈静化した。おととい、きのうと売り込まれたインバウンド関連銘柄を買い戻す動きが見られた。

 そのインバウンド関連の象徴株ともいえるラオックス<8202>が異彩の大商いを集める強烈人気となった。値動きは、一時前日比44円高の539円まで買い進まれ、終値は同34円高の529円となった。そして東証2部上場銘柄ながら、出来高1.3億株超、売買代金700億円超に達し、個別銘柄で売買代金、出来高ともに全市場で第3位にランクされる“異常事態”となった。

 同社は13日の取引終了後、15年12月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の700億円から900億円(前期比79.3%増)へ、営業利益を同45億5000万円から90億円(同5.2倍)へ、純利益を同42億円から83億円(同6.7倍)へそれぞれ上方修正した。

 政府の訪日旅行プロモーションや、査証緩和の効果、消費税免税制度の拡充と円安傾向などを背景に、訪日外国人観光客向け販売が順調に増加したことや、新店の出店効果などで「国内店舗事業」の業績が大きく向上したことが要因という。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想