JPX日経インデックス400の銘柄入替

著者:矢口 新
投稿:2015/08/10 20:42

オリンパス、大王製紙、ミクシィなど43銘柄が追加

日本取引所グループと日本経済新聞社は7日、JPX日経インデックス400構成銘柄の定期入れ替えを行うと発表した。

東芝、日本マクドナルドホールディングス、LIXILグループ、ヤマダ電機、王将フードサービス、Jトラスト、GSユアサ、SANKYO、JXなど42銘柄が除外。

オリンパス、大王製紙、大林組、住友化学、NEC、アルプス電気、コーセー、東京エレクトロン、日本郵船、ミクシィなど43銘柄が追加された。スターバックスコーヒージャパンの上場廃止に伴い、現在の銘柄数は399。

JPX日経インデックス400は、過去3年間のROEや営業利益、6月末時点の時価総額などから銘柄が選定される。また、内部統制に不備がある企業を対象から外す方針を示している。同株価指数は東証と日本経済新聞社が共同で算出し、毎年1回、銘柄の一部を入れ替えている。定期入替実施日は8月31日。

不祥事が発覚した東芝や日本マクドナルドホールディングスに代えて、不祥事から立ち直ったオリンパスや大王製紙が新たに加わることになる。ドラマチックだ。押し並べて、業績が悪化した銘柄が外れ、業績が回復した銘柄が採用される。結果的に、1年間で1割以上の銘柄が入れ替わることになった。

除外銘柄には、少し前まで、私などにもお気に入りの銘柄だったものが多い。一方の追加銘柄には、こんな銘柄が外れていたのかと意外な感じを持つものも多い。これらがすべて、以下のように明確な選定基準によって入れ替えられるのだ。

【JPX400選定基準】

以下の手順及び基準に従い、銘柄選定を行います。

スクリーニング

① 適格基準によるスクリーニング
下記のいずれかに該当する場合は銘柄選定の対象としない。
・上場後3年未満(テクニカル上場を除く)
・過去3期いずれかの期で債務超過
・過去3期すべての期で営業赤字
・過去3期すべての期で最終赤字
・整理銘柄等に該当

② 市場流動性指標によるスクリーニング
上記を除く全対象銘柄の中から、以下の2項目を勘案し、上位1000銘柄を選定。
・直近3年間の売買代金
・選定基準日時点における時価総額

定量的な指標によるスコアリング

1)により選定した1000銘柄に対して、以下の各3項目にかかる順位に応じたスコアを付与します(1位:1000点~1000位:1点)。その後、各3項目のウェイトを加味した合計点によって総合スコア付けを行います。(ROEと営業利益はスコア付けに際しての取扱いあり)
・3年平均ROE:40%
・3年累積営業利益:40%
・選定基準日時点における時価総額:20%

定性的な要素による加点

(2)のスコア付けの後、以下の3項目を勘案してスコアの加点を行います。
この加点は、(2)の定量的な指標によるスコアリングに対する補完的な位置づけです※。
・独立した社外取締役の選任(2人以上)
・IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定。
・決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
※(2)の総合スコアのみによって選定を行った場合との差異が最大でも10銘柄程度となるような加点規模です。

構成銘柄の決定

(3)の加点の後、スコアが高い順に400銘柄を選定し、構成銘柄とします。

【バッファルール】
前年度採用銘柄に優先採用ルールを設けます。
前年度採用銘柄については、スコアが440位以内であれば、継続採用されます。

【銘柄入替】
毎年6月最終営業日を選定基準日とし、毎年8月第5営業日に入替銘柄を公表のうえ、毎年8月最終営業日に銘柄定期入替を実施します。

お気付きの方々がいられるとは思うが、海外投資家にアピールすることを強く意識した選定基準だ。その意味では、東芝も日本マクドナルドホールディングスも、少なくとも海外投資家に見捨てられかねない行動をとった。日本株の買い手の主役が海外投資家であることを鑑みると、今後の株価にも大きな影響を与える可能性が否定できない。

私はJPX日経インデックス400のETFを、NISAなど、長期投資に最も相応しい投資物件だと見なしている。

長期投資のリスクは極めて大きい。数年後、あるいは十数年後の株式市場の上げ下げはもとより、除外銘柄を見れば明らかだが、個別銘柄選定のリスクも大きいからだ。市場のリスクは経済のファンダメンタルズ分析やテクニカル分析で、それなりに対応できるが、個別銘柄のリスクへの対応は難しい。個人投資家だけでなく、どれだけのプロのファンドマネージャーたちが、これだけの入れ替えができるのか、聞いてみたい位だ。

JPX日経インデックス400のETFのメリットは他にもある。流動性が高く、投信(ファンド)に比べて手数料も安い。加えて、量的緩和の対象として、日銀が買い上げていることだ。
配信元: 達人の予想