屋上緑化に復活の芽、景気回復、五輪が追い風

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/30 16:18

屋上緑化により景気を刺激せよ

今年も暑い夏がやって来る。日本列島が猛暑に見舞われる原因のひとつとして挙げられるのがヒートアイランド現象だ。この現象は、都市部の気温が、周辺の非都市部に比較して異常ともいえる高温を示すものだ。

抜本的な解決策がないなか、一時注目されたのが屋上緑化だった。しかし、ここ数年はあまり話題にのぼらなくなっている。屋上緑化の“いま”を追った。

国土交通省の調査によると(グラフ参照)、屋上緑化施工件数は2008年をピークに下降している。11年、12年に持ち直したのは、東日本大震災で夏場の節電が求められ、冷房効果を高めるため屋上緑化が一躍脚光を浴びたことが要因として挙げられる。

「リーマン・ショック(08年)による景気低迷で、新たな商業施設や住宅施設の着工件数が減少したことが、屋上緑化施工件数を減少させたひとつの要因と考えられる」(国土交通省都市局)と言うが、ならば景気回復が鮮明になってきた現在、再び屋上緑化に注目が集まる可能性がある。また、20年の東京五輪に向けて、国内外の選手および観客の暑さ対策が焦点になるなか、気温を抑える効果がある緑化推進という大きな流れの中で、屋上緑化関連銘柄にも活躍の芽が出てくるかもしれない。

関連銘柄としては、防水性、耐候性に優れた屋根緑化システムで三晃金属工業<1972>、屋上緑化に欠かせない防水シート大手のロンシール工業<4224>、建物への荷重負担を軽減するスーパーソイレン工法を持つ積水化成品工業<4228>に注目。また芝生、草花の植栽関連でサカタのタネ<1377>カネコ種苗<1376>も見逃せない存在だ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想