急落の反動で自律反発、冷静さ取り戻す場面に

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/29 21:38

明日の東京株式市場見通し

 30日の東京株式市場は、きょうの600円近い日経平均株価の急落を受けて、自律反発期待の買いが先行することになりそうだ。ただ、7月5日の国民投票で財政改革案の受け入れが拒否された場合には、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性もあり、それまでは値動きの荒い展開が続きそうだ。

 市場参加者からは、「ギリシャ債務問題は先週末には、何とか決着するのではとの期待感が強まっていただけに、ネガティブサプライズとの受け止めが広がり下げが加速した。ただ、日本経済への直接的なマイナス影響は軽微なことなどが認識されれば、冷静さを取り戻すことになる」との見方が出ていた。

 29日の東京株式市場は、ユーロ圏とギリシャの間で進められた協議が決裂するかたちとなり、デフォルト(債務不履行)危機が高まったことを受けて日経平均株価は大幅安に売られた。終値は、前週末比596円20銭安の2万109円95銭と大幅続落。

回避したいギリシャのユーロ離脱

 多くの市場関係者が懸念しているのが、ギリシャのデフォルトよりもユーロ離脱だ。7月5日の国民投票で、ギリシャ国民が財政緊縮策を拒否すれば、1999年のユーロ成立以来、初の離脱の可能性が高まる。これによってユーロのたがが一気に緩むことにもなりかねない。

 ギリシャ議会が、財政緊縮策の是非を問う国民投票実施を決めたことで、30日の国際通貨基金(IMF)向けの融資返済を履行できない可能性が強まった。ただ、ギリシャ情勢は不透明感が強く流動的で、もし国民投票で財政再建策の受け入れるという結果が出た場合、欧州中央銀行(ECB)と交渉再開となる可能性も残されている。ギリシャのユーロ離脱回避の見通しが明らかになれば、株安に歯止めが掛かることも想定される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想