東電「電力戦国時代」に対応、異業種との連携活発化

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/29 15:53

顧客争奪戦が本格化する前に先手を打つ東電

来年4月の電力小売り全面自由化を控え、東京電力<9501>が異業種との連携を活発化させている。巨大市場である首都圏の電力需要を巡って他の電力会社やガス会社が参入してくることが予想されるなか、サービス拡充で顧客をつなぎ止める戦略だ。

関西電力<9503>が「東京営業部」を新設したほか、東京ガス<9531>とJXホールディングス<5020>傘下のJX日鉱日石エネルギーが出資する川崎天然ガス発電が発電所の増設に向けて動き出すなど各社が虎視眈々と東電の市場を狙っている。また、今後は新規に参入する動きもさらに活発化するとみられ、米スパークエナジーはイーレックス<9517>と組んで新規参入する姿勢をみせている。

迎え撃つ東電は、顧客争奪戦が本格化する前に先手を打つかたちで、5月13日にソフトバンク<9984>と電力・通信・インターネットを組み合わせた新サービスを全国展開するための協議をスタートしたと発表。5月27日には静岡県を中心にガス事業を展開するTOKAIホールディングス<3167>と、6月10日には有線放送大手のUSEN<4842>とも業務提携に向けた検討を開始している。また、買い物などに使える共通ポイントカードの導入も検討しており、リクルートホールディングス<6098>およびロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)が展開する「Ponta(ポンタ)」や、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京都渋谷区)の「Tポイント」のどちらかを選択できるサービスを来年1月から順次開始する予定。早めにサービスを公表することで「電力戦国時代」を乗り切る構えだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想