オフィスビル空室率低下、企業業績回復を反映し需要拡大

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/24 12:09

都心でのオフィス需要が堅調

オフィス仲介大手の三鬼商事が12日にホームページで公表した、5月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビル空室率は、前月比0.17ポイント減の5.17%と低下(改善)した。

4月は大規模ビルの竣工により、1年10カ月ぶりに空室率が上昇(悪化)したが、5月に入りテナントの成約が進んだことで、再び低下しはじめ、都心でのオフィス需要の底堅さがうかがわれる。

5月の同地域のオフィスビル平均賃料は、前月比0.37%増の1万7320円(1坪当たり)と1年5カ月連続で上昇をみせ、直近の底値(2013年12月)から6.9%の上昇となっている。

ダイビル<8806>は、前期末竣工の新ダイビル、昨年12月取得のベトナム・ホーチミン市のオフィスビルが通期で業績に上乗せされる。また、3月取得の秋葉原ダイビル隣地469平方メートルは3年内に再開発着手の予定。

京阪神ビルディング<8818>は、4月取得の東京・渋谷の一棟貸しオフィスビル「代々木公園ビル」が上乗せされる。京都の商業施設など既存の「四条河原町ビル」は全館リニューアルによる稼働率向上も貢献する見通し。

住友不動産<8830>は、都心部にオフィスビルの集中開発に積極注力しており、エリア再開発の一角を占める大型オフィスビル「六本木三丁目計画」は16年3月の竣工を予定している。ビルテナント誘致など、ビル経営支援事業を手掛けるエリアクエスト<8912>にも注目したい。

◆主なオフィス賃貸関連銘柄
 銘柄<コード>   今期営業増益率     株価    PER
ダイビル<8806>    ▼7.9     1114   25.9
京阪神ビ<8818>     4.7      748   13.4
住友不<8830>      4.9   4446・5   23.9
エリアクエスト<8912> 82.4      137   20.9
※株価は19日終値(単位:%、円、倍)
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想