押し目買い優勢で堅調、ギリシャ債務問題を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/19 19:59

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、ギリシャ債務問題を巡る動きが大詰めを迎えるなか、外国為替相場や海外株式市場の動向に左右されるものの、押し目買い優勢の展開が予想される。ギリシャの債務不履行(デフォルト)回避に向け、22日に開かれるユーロ圏の緊急首脳会議が焦点。日経平均株価の想定レンジは、1万9900~2万500円とする。

 前日に1カ月ぶりに終値で2万円の大台を割り込んだものの、きょうは、東証1部の売買代金2兆9610億円と商いを膨らませて、前日比183円42銭高の2万174円24銭と5日ぶりに大幅反発した。市場関係者からは「来週も外部要因に左右される流れは続くものの、インバウンド関連に代表される内需株や個人投資家好みの材料株への物色意欲は根強い」との見方が出ていた。

19日の動意株

 石井工作研究所<6314>=後場ストップ高。
同社の大株主となっているモバイルクリエイト<3669>は18日に、ドローン関連事業への参入を目的に共同出資による子会社を設立したと発表。思惑買いを誘うかたちとなっているようだ。なお、モバクリは今年1月27日に、IoT分野での協力関係構築などを目的に石井工研の発行済み株式の32.69%を取得している。

 サックスバー ホールディングス<9990>=大幅高。
2000円トビ台でのもみ合いを抜けて25日移動平均線とのマイナスカイ離を一気に解消する戻り足をみせている。駅ビルなどに直営店を展開し、女性向けを中心にバッグや財布、雑貨を手掛けており業績成長路線を走る。16年3月期はプライベートブランドの販売拡大で利益率を高め、免税販売への注力でインバウンド消費も取り込み営業利益は51億5900万円予想とほぼ2ケタ増益を見込む。ROEも13%台と高い。

 ラサ工業<4022>=動意含み。
19日付の日本経済新聞が「九州電力が川内原子力発電所1号機(鹿児島県)の再稼働に向け、7月4日にも原子炉に核燃料を搬入する」と報じたことで、原発再稼働への思惑を背景に同社が新たに手掛けている放射性ヨウ素吸着剤に注目する動きが出ているもよう。また、主力のリン系製品が半導体などIT向けに好調で16年3月期営業利益は前期比16%増の15億円と2ケタ増益を見込んでおり、150円近辺の時価は個人投資家資金などを巻き込み低位株ならではの人気化素地が指摘される。

 ぐるなび<2440>=大幅反発。
同社は18日の取引終了後、同社と東京急行電鉄<9005>、東京地下鉄(東京都台東区、以下東京メトロ)の3社が、訪日外国人向け観光情報サービスを共同構築するための具体的な協議に入ることで合意したと発表しており、インバウンド関連としての新たな展開への期待感から買われているようだ。3社が構想する訪日外国人向け観光情報サービスは、訪日外国人が滞在中に便利に使える機能を充実させるとともに、訪日外国人の目線で厳選した施設・イベント情報を丁寧に伝えるというもの。

 トランスジェニック<2342>=連日のストップ高。
5月20日につけた年初来高値567円を大きく上回った。同社は18日に「臓器ヒト化マウス」に関して国際特許出願を行ったと発表。早期事業化への期待感が続いているようだ。この技術は、従来の免疫不全マウスを用いることなく、臓器ヒト化マウスを確立するもの。これにより、遺伝性疾患なども含めよりヒトに近い病態モデルを作製でき、より精度の高い創薬や臓器機能の研究に利用することができる。

 アエリア<3758>=大幅反発。
同社は18日の取引終了後、子会社リベル・エンタテインメントが26日配信予定の恋愛リズムアドベンチャー「アイ★チュウ」の事前登録者数が累計9万人を突破したと発表しており、順調に登録者数を増やしていることが好感されている。「アイ★チュウ」は、5月18日に事前登録ページを公開。6月3日に事前登録5万人を突破し、11日に同7万人、16日に同8万人を突破したと発表していた。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想