小野山功が見通す「今週の株価材料」~【自社株買い+配当の再投資】6月は需給改善が期待できるが…
日経平均株価の連騰記録は6月2日(火)に12で途絶え、史上最多となる14連騰の更新はかないませんでした。ただ、これまで買いのタイミングを逃し、乗り遅れていた個人投資家にとっては朗報でしょう。ようやく待ちに待った買い場が訪れるのですから。
連騰後も日経平均株価は100円超下げることはなく、押し目を付けた銘柄にはすかさず買いが入っているような印象も受けます。個人の買いのほか、自社株買いが相場の下支えとして機能していることが伺えます。
■自社株買いで株価が跳ね上がることも
通常自社株買いで取得した株は、金庫株として保有されるか消却されるため、再び市場に出回ることはありません。
例えば、医薬品大手、アステラス製薬(4503)の浮動株比率は、わずか1.8%(14年9月末時点)しかありません。
同社の時価総額は4兆円ほどありますが、安定的に保有している大株主や自社株を除くと、720億円分ほどしか市場に出回っていないということになります。
1年前の13年9月末時点の浮動株比率は5.5%でしたので、自社株買いなどによって吸い上げられ、浮動株が大きく減少したことがわかります。
株式の値決めはいわゆるオークション方式ですので、マーケットで取引をされる「浮動株=出品数」が減れば、価格が跳ね上がるというわけです。
■需給改善が期待できるが、欧米発の波乱には注意
さて、今月下旬には配当金の給付という一大イベントを控えています。
2014年度の上場企業の配当金総額は、9.5兆円と過去最高を2年連続で更新したもようです。中でも3月期末を基準とする配当金の総額は最も多く、税引き後5兆円程度の配当金が給付されるものとみられます。
個人投資家であれば受け取った配当金での使い道は自由ですが、運用者は懐にというわけにはいきません。投資信託や公的年金などが配当金を株式に「再投資」するため、一旦配当として市場外に流出したマネーが戻ってくるのです。
自社株買いによる浮動株の吸い上げに加え、配当の再投資が見込まれるため、6月は当面需給改善が期待できるのではないでしょうか。
ただ、懸念材料が無いわけではありません。日本株を4週連続で買い越している外国人投資家はいつ売り方に転じるかは未知数です。
欧州の金利急騰やギリシャの債務返済期限が月末に迫るため、欧米発の波乱には注意を払っておく必要があります。
小野山 功
連騰後も日経平均株価は100円超下げることはなく、押し目を付けた銘柄にはすかさず買いが入っているような印象も受けます。個人の買いのほか、自社株買いが相場の下支えとして機能していることが伺えます。
■自社株買いで株価が跳ね上がることも
通常自社株買いで取得した株は、金庫株として保有されるか消却されるため、再び市場に出回ることはありません。
例えば、医薬品大手、アステラス製薬(4503)の浮動株比率は、わずか1.8%(14年9月末時点)しかありません。
同社の時価総額は4兆円ほどありますが、安定的に保有している大株主や自社株を除くと、720億円分ほどしか市場に出回っていないということになります。
1年前の13年9月末時点の浮動株比率は5.5%でしたので、自社株買いなどによって吸い上げられ、浮動株が大きく減少したことがわかります。
株式の値決めはいわゆるオークション方式ですので、マーケットで取引をされる「浮動株=出品数」が減れば、価格が跳ね上がるというわけです。
■需給改善が期待できるが、欧米発の波乱には注意
さて、今月下旬には配当金の給付という一大イベントを控えています。
2014年度の上場企業の配当金総額は、9.5兆円と過去最高を2年連続で更新したもようです。中でも3月期末を基準とする配当金の総額は最も多く、税引き後5兆円程度の配当金が給付されるものとみられます。
個人投資家であれば受け取った配当金での使い道は自由ですが、運用者は懐にというわけにはいきません。投資信託や公的年金などが配当金を株式に「再投資」するため、一旦配当として市場外に流出したマネーが戻ってくるのです。
自社株買いによる浮動株の吸い上げに加え、配当の再投資が見込まれるため、6月は当面需給改善が期待できるのではないでしょうか。
ただ、懸念材料が無いわけではありません。日本株を4週連続で買い越している外国人投資家はいつ売り方に転じるかは未知数です。
欧州の金利急騰やギリシャの債務返済期限が月末に迫るため、欧米発の波乱には注意を払っておく必要があります。
小野山 功