「大きな調整は入りづらい」が、「諸手を挙げて」というわけには…!?

著者:武市佳史
投稿:2015/06/08 10:37

◆想定以上に強い米雇用統計 - ドル急伸

※ご注意:予想期間は6月9日と表示されていますが、本日(6月8日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


米雇用統計は想定以上に強く、幅広い通貨に対してドルは買われました。

非農業部門雇用者数(+28.0万人)/時間当たり賃金(+0.3%)は、共に事前予想を上回りました。
特に後者は年率換算では2013年8月以来となる+2.3%を記録したこともあり、失業率(5.5%)が事前予想に届かなかったものの、9月利上げを含む早期追加利上げ観測が台頭しました。
米10年債利回りが2.43%へと急騰(債券価格は下落)する過程の中で、ドル円は2002年6月13日以来の125.843円へと駆け上りました。

◆上値への思惑が膨らみやすい - 米小売売上高への期待も…

こうして上方ブレイクしたことで、テクニカル的にはさらに上値への思惑が膨らみやすくなっています。
また雇用環境と並行して個人消費が持ち直せば、ファンダメンタルズ的にもドル先高観が一気に膨らむ可能性が期待できることになります。
このため11日の米小売売上高(事前予想は+1.1%)への期待は膨らみやすく、結果を見るまでは本格的なポジション調整は入りづらいと考えるのが自然ということになります。

◆ただ米小売売上高は“鬼門”、“諸手を挙げて”という訳には…!?

もっとも同指標は5ヶ月連続で事前予想に届いておらず、利上げ時期を巡る思惑にとってはまさに“鬼門”になっています。
このため“諸手を挙げて”といった雰囲気にはなりづらく、ここからのさらなる上昇には日米金融当局からのけん制発言もリスクとして考えざるを得ません。

「大きく調整が入る」は想定しづらいが、一旦「慎重にならざるを得ない」。
つまり本日に関しては、「125円台で神経質な揉みあい」を基本と考えるべきか…?

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:127.000(大台)
上値4:126.751(ピボット2ndレジスタンス)
上値3:126.643(5/22~6/2高値-6/2安値の61.8%返し)
上値2:126.080(02/5/21高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:125.900(02/6/13高値、6/5高値)
前営業日終値:125.566
下値1:125.270(6/5の38.2%押し)
下値2:125.040(6/2~6/5の38.2%押し、6/5の50%押し、大台)
下値3:124.916(6/5の61.8%押し)
下値4:124.792(6/2~6/5の50%押し)
下値5:124.544(6/2~6/5の61.8%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:25 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想