三角保合い下限の攻防戦へ

著者:菊川弘之
投稿:2015/05/14 16:04

20日間安値を割り込むか否かが焦点

 8日の米雇用統計に続き、昨晩の米小売売上高も弱気な内容となり、米国の早期利上げ観測は後退し始めている。年後半に近づけば、翌年の大統領選挙が意識され始め政治ファクターが高まりを見てくる。仮に年内、利上げが実施されたとしても、非常に小さな幅で、連続的なものとはならないと言う認識が市場で高まっており、環太平洋連携協定(TPP)の妥結に不可欠な貿易促進権限(TPA)をオバマ大統領に付与する法案について、上院での審議が開始する中、円安ドル高基調に潮目の変化が感じられる。長期上昇トレンドに変化は出ていないが、短期的には調整安の目処を試す流れに転じそうだ。
 120円超の上値抵抗を確認後、三角保合い下限を試す流れだ。20日間安値水準の118円30-47銭水準を下回ると、トレンドフォロー系の売りがヒットしそうだ。その場合は、50銭刻みの心理的節目や200日移動平均線(5/14:115.20円前後)が中期的に意識される。
 20日間安値を維持して三角保合いが継続するのか、それとも下放れて下げが加速するのか、強弱の攻防戦へ差し掛かってきた。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想