フラッシュ・クラッシュ”から丸5年。明日、注目の米4月雇用統計!

著者:津田隆光
投稿:2015/05/07 20:04

過去10年間の5月のドル円は

連休前の東京株式市場で今年最大の下げ幅を記録し、またその連休中の欧米市場で主要株価が軒並み下落したこともあり、「やはり、セル・イン・メイか・・・」と思っておられる方も多いかも知れません。
そういった不安感も一部ある中、昨日イエレンFRB議長が株式市場のバリュエーション(=評価)が全般的に高まっているとの警告が重石となり、NY市場に引き続き東京市場でも売り先行の動きに。

そもそも、“セル・イン・メイ”とは米国株式市場由来の古い格言で、正確には“Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.”(=5月には売り逃げろ!そしてセント・レジャー・デー[9月第2土曜日の競馬レース開催日]まで戻って来るな!) 。
この格言は、「5月からの(レジャー・シーズンの)素晴らしい季節に株式運用などするな」といった説や、多くのヘッジ・ファンドの決算月である5月には利益確定の売りが出やすいといった説もあり、その由来や本来の意味もさまざま。

一方で、為替相場について見てみると、例えばドル/円相場の過去10年間における5月の高低差平均は4.26円(同期間の一ヶ月高低差平均は4.45円)、またドル高・円安を“勝ち”、ドル安・円高を“負け”とした場合の勝敗表は5勝5敗というデータが。
過去10年というスパンとの前提ですが、特段5月だから高低差が激しく、ドル/円が下落しやすいといった傾向は、このデータからは見て取れません。

ただし、2010年の5月には高低差7.00円の年もあるのも事実。この年(2010年5月6日)は、ギリシャ・ショックから派生した“フラッシュ・クラッシュ”と呼ばれる、僅か数分間でNY株式市場が1,000ドル近く下落したことにシンクロしたもので、このイメージが“セル・イン・メイ”に繋がっているのかも知れません。

米利上げ開始時期の大きな判断材料となるであろう米雇用統計発表が明日予定される中、事前予想ではNFPが23万人の増加(前回12.6万人)とのコンセンサス。
そろそろ「原油安」「寒波」「港湾スト」といった“逃げ口上”も効かないであろう、今回の4月米雇用統計。
大いに注目が必要です。

テクニカル的には、当面は一ヶ月の市場参加者のコストである21日移動平均線(≒119.50円)をベースとしつつ、日足・ボリンジャーバンド・±2σライン内ゾーンの118.50~120.50円がメインゾーンとなりそうです。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想