放れのきっかけとなるか?雇用統計!!

著者:菊川弘之
投稿:2015/03/06 11:06

放れの時間に接近中

95年円高時との比較
 ウクライナ問題やギリシャ問題は解決した訳ではないものの、先送り的な妥協案で一服感のある中、市場の関心は今晩の雇用統計に向かっている。

 5日発表の米経済指標は全体的に低調な内容。失業保険新規申請件数は前週比+2.5万件の32.0万件と市場予想(29.5万件)よりも低調な結果。2月の異例の寒さや、製油会社ストなどが影響した。ただし、今回発表分は2月雇用統計調査週後のものであり、今晩の雇用統計には影響しない。
 今晩の雇用統計に対する市場予想は、非農業部門の雇用者数が前月比24万人増加。失業率は前月より0.1%ポイント改善し5.6%になると見込まれている。ADP雇用統計も市場予想を下回った事で、米国経済のファンダメンタルズに大きな変化はないものの、やや低めに見る向きが多くなっているか?

 ドル円は120円を上値抵抗とした三角保合いだ。一方、NY金は1200ドルを挟んだ保合い形成。95年の超円高局面と今回の円安局面は、(逆目メモリにすると)自己相関の高い状態が続いているが、日柄からは、そろそろ放れる時間帯に入ってくる。雇用統計は、そのきっかけになるかもしれない。

 雇用統計で豪雪などによるネガティブ・サプライズがあれば、自己相関通り円高ドル安加速、反対に強気のポジティブ・サプライズで自己相関が崩れるなら、崩れた方向に大きく動く原則から円安ドル高加速が想定される。ドル安が加速した場合は、NY金は反発。ドル高が加速した場合は、NY金は下値トライとなろう。

 もう一つのシナリオは、雇用統計が強弱マチマチで、発表後にザラバでのアップダウンはあっても、いずれの方向にも放れきれずに保合いを継続する格好だ。この場合は、NY金も引き続き、保合いを継続するだろう。ただし、自己相関が崩れた状態で3月もドル円の保合いが続くなら、ドル円のアノマリーが多く重なる4月~5月GW前後に、より大きな放れの動きとなる可能性に注意したい。小さな波の間は静観、大きな波を取れるよう待ちかまえたい。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想