★進捗率は極めて良好★ 日和産業(2055) 実態良好で「変化率妙味」のある銘柄

著者:本村健
投稿:2015/01/15 08:48

JA全中解体でチャンス到来 PBR0.2倍台は「理不尽の極み」

■今回の注目銘柄■

日和産業(2055)

1月4日付の日本経済新聞が「今月に始まる通常国会に提出する農業協同組合改正案の骨格を固めた。全国の農協組織を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)の指導・監査などの権限を3年で全廃して任意団体にする」と報じた。

実質的にJA全中解体の方針が明らかになった格好である。この大きな流れが今後生じる中で、「関連株全般にはチャンスが到来」したと言えるのではないだろうか。全中の「解体」により経営の自由度が上がり、各企業にとっては「コスト低下」が期待されよう。

その一方で、非全農系の企業にとっては、これまである意味で全中に保護されていた企業と同じ土俵で戦う事になることから、身に着けてきた競争力を如何なく発揮できる環境が整っていくことになる。今後の全廃過程でどのような思惑が生まれてくるのかは不透明感が残るものの、関連企業が活性化していく方向は明らかといえるだろう。


そこで、今回注目しているのが非全農系の配合飼料中堅企業の日和産業(2055)であり、今後のJA全中解体へ向け、活躍素地が増幅する可能性があるとみる。

同社は多様な飼料を手掛けているが、その代表例は「京鴨」用飼料だ。京鴨に対する高い評価は関西にとどまらず、全国的なものへと広がりを見せている。その京鴨を育成する同社飼料に対するブランド力も連動して高まっている格好であり、同社の競争力を示すもとして注目できるだろう。また、飼料のみならず、鹿児島・長崎・兵庫に農場も擁す事から畜産事業での展開力も備わっている。

今後の経営環境変化が期待される中、足元の業績も良好だ。15年3月期連結業績は、売上高480億円(前期比2.7%減)と前期比弱含み横ばいながら、営業利益5億円(同73.6%増)、経常利益7億円(同74.4%増)、純利益3億円(同93%増)と大幅増益に進む見通し。

昨年11月に9月中間期業績を上方修正しているが、15年3月期通期見通しは変更されていない。円安進展や原材料仕入れコスト上昇が勘案されてのものであるが、昨年12月に円安は一服、更に大豆を筆頭とした飼料の原材料価格も資源価格下落に連動する格好で低下してい事とから、コストアップ懸念は後退していると判断できよう。9月中間期までの進捗率は売上高49%、営業利益59%、経常利益51%、純利益77%と極めて良好であり、最終的に上積みの公算が残るのではないだろうか。

株価は日足、週足共に徐々に下値が切り上がる格好となる一方で「注目したいのが月足」である。

2009年から続いた「底練り」を経て、昨年11月にようやく一目均衡表の抵抗帯である「雲」の上方に顔を出した。雲抜けは実に2007年11月以来およそ7年振りとなる。東証2部総合指数が2013年から約78%上昇した事と比較すると、同社株の時価近辺はまだ「助走段階」といえるだろう。

時価はPER11倍、PBRに至っては0.2倍台であり、0.2倍台の時価は年5円配当継続、財務内容も堅実な同社にとって、この割安なまま放置されているのは「理不尽の極み」と表現しても言い過ぎではないように思える。実態良好で「変化率妙味」のある同社を、中長期目線で注目していきたい。

本村
本村健
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想

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