三角保合い下放れ

著者:菊川弘之
投稿:2015/01/14 17:28

12月安値を試す流れ

 1月9日(金)当欄で指摘したように、雇用統計を受け、一時的にドル買いの動きが見られたものの、戻りはすかさず売られた。12月8日高値を起点とし下降トレンドに上値を抑えられ、今週に入ってからは、一目均衡表の雲と重なる三角保合い下限を割り込んできた。保合い下放れで、2014年12月16日安値が試される流れだ。この水準は、2014年10月15日安値~12月8日高値までの上昇に対する38.2%押しと重なる。ここで下げ止まるなら、ボックス相場への移行もあるが、割り込むと、20日間安値も割り込む事となり、トレンドフォロー系の売りが出てくる可能性。半値押し(113.51円)~61.8%押し(111.54円)水準も意識されるだろう。

 ドルと逆相関のNY金は、2014年10月末の日銀による想定外の追加緩和(ダブルバズーガー砲)で、ドル円が急伸した際に下落したものの、下値は限定的となり、足元は1200ドルを回復。ダブルバズーガー前の水準近くまで値を戻している。NY金(2月限)の200日移動平均線は1256.90ドル(1/13時点)水準だが、同水準を抜いてくると、中長期の下降トレンドの転換が意識されてくる。この場合は、ドル円は、日銀追加緩和前の水準にまで下押すこともあろう。

 NYも日本も株価のチャートが崩れかけており、リスク回避が高まり易い時間帯だ。今晩の米小売売上高で、ガソリン安の好影響がどの程度、反映するかは注目だが、来週にギリシャ選挙やECB理事会などのイベントを控えて、積極的にリスクオンとはなり難い地合いが継続しそうだ。
 98年安値を起点とした長期上昇トレンドの攻防戦に入っているNY原油も、現段階では底打ち確認できていない状況だ。仮に、トレンドラインを明確に割り込んだ場合、一段安も想定されるチャート形状だ。

 対主要通貨に対しての投機玉のドル買い水準は、依然として高水準で、一旦は調整絡みでの玉整理が必要であろう。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想