【原油安が吹き飛ばした“1兆1500億円”】JT急落は絶好の買い場となるか? - 小野山功が見通す「今週の株価材料」

著者:小野山功
投稿:2014/12/22 08:15

小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~【原油安が吹き飛ばした“1兆1500億円”】JT急落は絶好の買い場となるか?~

■原油安がJTに飛び火。1週間あまりで“1兆1500億円”が吹き飛んだ!?

【2914】日本たばこ産業(JT)は12月17日(水)に7.3%安と急落し、6日続落しました。

6日間の下げ幅は 579円(15.7%)に達し、わずか1週間あまりで“1兆1500億円”もの時価総額が吹き飛んだ計算になります。

JTの株価が下落したのは、原油安をきっかけに、産油国ロシアの財政不安が懸念され、通貨ルーブルが急落したためです。

同社はこれまで、国内での売り上げが大半を占めていたため、景気の変動の影響を受けにくいディフェンシブの代表的な銘柄として知られていました。

そのため、日経平均株価が急落する局面でも、下げ幅は限定的になるなど、「低リスク」として安定した値動きが特徴で、1日で7%も下げるのは極めてまれです。


■期末配当へ向けて、JT急落は絶好の買い場となるか?

一方、2007年に英国のたばこ大手ギャラハーを買収したことで、JTは海外事業が国内を上回る世界的なたばこメーカーへと変貌しました。

特に、買収したギャラハーがロシアやウクライナなど、旧ソ連市場に強みがあったため、JTの海外売上のうち、ロシアが最大のマーケットになりました。

そのため、市場ではルーブル安で、JTのロシアでの収益が厳しくなるとの見方から売りが出ています。

同社は10年連続で配当金を増やしている優良企業で、配当利回りは17日には4%に拡大しました。

12月末に期末配当の権利確定日を迎えるため、目先は配当を狙った買いが期待できますが、原油価格の下落は長期化が予想されるため、本格的な買いは入れづらいように思います。

2011年の東日本大震災以降、原発の安全神話が崩れ、電力株の見方が変わりましたが、JTは成長市場を取り込んだ反面、ディフェンシブ色は薄れつつあります。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想