九州活性化に貢献、JR九州16年度メドに上場へ

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/10 17:13

実現すればJRとしては約20年ぶり4社目の上場

 12月5日、日本経済新聞でJR九州が16年度までの株式上場を目指し、収益力の向上を図ると報じられた。仮に16年度の上場となれば、JRとしては1993年のJR東日本<9020>、96年のJR西日本<9021>、97年のJR東海<9022>に次ぐ4社目で、約20年ぶりの上場となる。

 1987年4月に旧国鉄の分割・民営化で発足したJR九州は、北海道、四国と同様に管内にローカル線を多く抱えていたことから、経営安定のため早くから不動産や飲食業など多角化を実施。発足初年度の営業損益は288億円の赤字だったが、九州新幹線が部分開業した05年3月期に営業損益が黒字転換、14年3月期には90億7200万円の黒字を計上した。

 もっとも、本業の鉄道事業は厳しいまま。14年3月期は約154億円の営業赤字で、黒字化を果たしたことがない。13年10月に九州を1周する豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を開始し、現在でも平均倍率19倍を数える人気を集めているが、事業全体では赤字が続く。今後は「みどりの窓口」の削減などでコスト構造を見直し、17年度以降の黒字化を目指している。

 今回は、JR九州が上場すれば、話題性のアップなどで恩恵がありそうな銘柄や、上場により九州活性化で恩恵を受ける企業などに注目したい。

◆JR九州上場でメリットのある銘柄

 銘柄<コード>     JR九州との関わり

西部電工<1937>   九州最大手の電気通信工事業者で九州活性化で恩恵
九電工<1959>    商業施設やビルの新築・改装関連工事の九州大手
日立<6501>     「ななつ星」の寝台車の一部車両を製造
東芝<6502>     新型車両向けに高効率の駆動システムを納入
梅の花<7604>    福岡を拠点に全国に高級和食店を展開し観光客増に期待
丸井G<8252>    16年春に博多駅前に出店を予定
HIS<9603>    博多─ハウステンボス駅間で特急が運行。観光客増に期待
KNTCT<9726>  「ななつ星」などを利用したパッケージツアーを主催
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想