製紙業界、国内需要さえず再編思惑くすぶる

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/24 15:33

低迷の製紙業界に再編の思惑

 製紙の需要低迷が続いている。日本製紙連合会によると9月の印刷・情報用紙の生産は前年同月比6%減と4カ月連続の減少。チラシ、パンフレット向けなどの落ち込みが厳しい。

 また、年間ベースの国内需要では紙・板紙合計で2000年の3196万トンをピークに3100万トン台で推移していたが、リーマン・ショックを機に大幅に減少。13年は2766万トンとピーク時に比べ14%減っている。

 IT(情報技術)化の進展に伴う紙需要の減少など構造的要因もあり、製紙需要は低迷状態にある。

 さらに、足もとでは、円安の進行や原材料高は製紙会社の業績悪化要因となっており、株価もさえない状況が続いている。

 こうしたなか、製紙業界には業界再編思惑が絶えずくすぶっている。

 そもそも王子ホールディングス<3861>日本製紙<3863>は多くの吸収・合併を経て、現在に至った経緯がある。また、カジノ絡みの経営不祥事が発生した大王製紙<3880>には北越紀州製紙<3865>が資本参加し、持分法適用会社としている。

 北越紀州は、今年8月に三菱製紙<3864>とそれぞれの販売子会社を統合することも発表。今後、本社同士による一段の接近があるかどうかが関心を集めている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想