円安背景に買い継続、TPP交渉の内容に関心

著者:冨田康夫
投稿:2014/09/08 22:21

36円高、3日ぶり反発も上値に重さ

8日の東京株式市場は反発。好調な米国株が支えとなったが、国内の弱い景気指標が上値を重くした。
 大引けの日経平均株価は前日比36円高の1万5705円と3日ぶり反発。東証1部の売買高概算は17億7744万株、売買代金概算は1兆5240億9000万円。値上がり銘柄数は1272、対して値下がり銘柄数は455、変わらずは96銘柄だった。東証1部全体の約7割の銘柄が上昇したが、主力株の物色人気はまばらで全体売買代金も1兆5000億円台と低調だった。
 
本日の東京市場は、前週末の米国株市場が早期利上げ思惑の後退から堅調に推移したことを受けて、朝方は買い先行で始まった。しかし、為替が円安一服となっていることや、寄り前に発表された4~6月期GDP改定値が速報値から下方修正されるなど、国内景気に対する不透明感が上値を重くしマイナス圏に沈む場面もあった。また、後場取引時間中に発表された8月の景気ウォッチャー調査で街角景気を示す現状判断指数が4カ月ぶりに悪化したことなども、買い手控え感を助長している。一方、内閣改造を終えて、政府の景気・株価対策への期待感もあって下値に対しても底堅かった。

 個別では、ソフトバンクが商いを集めて高い。ファナック、エプソンも堅調。市光工がストップ高で買い物を残した。シーイーシーが買われ、若築建、旭有機も急伸。WOWOW、フルキャストHDが上昇、山一電機も値を飛ばした。半面、カシオが軟調、楽天も値を下げた。古河電池、マネパGなども値を崩している。KLab、ハピネット、コロプラなども売られた。

あす(9日)の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、手掛かり材料不足の地合いは継続するものの、積極的な売り材料が見当たらないことから、日経平均株価は続伸となりそうだ。外国為替市場で、円安・ドル高傾向にやや一服感が出ているものの、1ドル105円台での推移となっているうちは、株価が大きく崩れることはなさそうだ。
 また、市場関係者からは「8日寄り付き前に発表された4~6月期の実質国内総生産(GDP)の2次速報値が、市場予想を若干下回ったものの、株価への反応は限定的だった。1ドル105円台の円相場が、下期以降の輸出企業の業績を見通す上で、安心材料として働いているようだ」との見方が出ていた。

 日程面では、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で日米が事務レベル協議、日銀金融政策決定会合議事要旨(8月7~8日開催分)、8月のマネーストック、8月の消費動向調査、7月の第3次産業動向指数、8月の工作機械受注(速報)に注目。
海外では、米アップルの新製品発表会、香港市場休場が焦点となる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想