米雇用統計前に買い手控え、中期上昇トレンドは健在

著者:冨田康夫
投稿:2014/09/04 22:28

5日の株式相場見通し

 5日の東京株式市場は、米8月の雇用統計発表を目前にして、買い手控えムードが強まりそうだ。日経平均株価は、9月に入って3日間で303円と大幅な上昇をみせたことで、4日は利益確定の売りが先行し反落となった。ただ、市場関係者からは「日経平均株価の下落幅が52円と小幅にとどまったことは地合いの強さの現れ」との見方も出ていた。

 3~4日と開催された日銀の金融政策決定会合の結果が「現状維持」と発表されたことを受けて、現物株市場の昼休み中に、株価指数先物に仕掛け的な売りが出たものの、市場に動揺は広がらず、小幅安での推移が続いた。ただ、前日約1カ月ぶりに2兆円に乗せた東証1部の売買代金は、1兆7404億円と大幅に減少した。また、4日の東証1部の値下がり銘柄数は1287(値上がり銘柄数は403、変わらずは130)と、東証1部全体の7割に達し、目先的な微調整の可能性が高まっている。ただ、中期的な上昇トレンドに変化はない。 

4日の動意株

 アクロディア<3823>=ストップ高。
先月27日に新感覚アクションゲーム「ジャイアントハンマー~巨人クロニクル~」の事前登録を開始したことが刺激材料となって上昇に弾みがついており、連日の年初来高値更新となっている。この新作ゲームは巨大な「ハンマー」を振り回して群がる敵モンスターたちと戦う内容。タップ操作で巨大なハンマーを振り下ろす、今までのスマホゲームにはなかった爽快感が最大の特徴となっており、人気化への期待が高まっている。

 北越工業<6364>=堅調。
1991年以来23年ぶりの4ケタ大台回復を指呼の間にとらえてきた。首都圏を中心とする旺盛な建設需要を背景に、建機向けに同社のコンプレッサーや発電機の売り上げを押し上げている。15年3月期通期は最終利益18億7000万円と過去ピーク利益を連続更新する見通し。実質青空圏を突き進む展開で戻り売り圧力から解放されているほか、信用取組も買い残が枯れ、信用倍率0.47倍と売り長で上値追いを後押ししている。

 アンジェス MG<4563>=後場動意。
同社はきょう、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬に関して、医師主導型臨床研究を開始するための準備が整ったと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。この臨床試験は、大阪大学医学部附属病院が主導するかたちで複数の施設で実施。約1年の試験期間が予定されている。

 津田駒工業<6217>=4連騰。
「14年11月期予想は2度にわたる下方修正を行い、営業利益段階で期初の9億円見通しは1億5000万円まで減額されており、内容面からは買いにくい」(中堅証券)という厳しい見方が強い。一方、信用買い残は整理が進捗、急落した4月時点から約半減し160万株台まで減らしており、「機関投資家が保有していない銘柄で売り圧力が乏しい」(国内投資顧問)ことが、値動きの軽さにつながっているようだ。

 丸栄<8245>=急伸。
「午前10時前後に突如、買い仕掛けが入った」(市場関係者)格好で人気化した。目先、全般相場は為替の円安一服や日銀の金融政策決定会合の結果待ちで手詰まり感が強く、低位材料株に物色の矛先が向かいやすくなっている。同社は名古屋の老舗百貨店だが、材料性に富み、昨年5月から7月にかけ特定資金の攻勢思惑を背に株価100円トビ台から373円の高値まで駆け上がり市場の注目を浴びた。

 ビットアイル<3811>=急動意。
同社はきょう、クラウドコンピューティングサービスでニフティ<3828.T>と業務提携すると発表。これが材料視されているようだ。提携内容は、ニフティが提供するクラウドサービス「ニフティクラウド」のOEM版をビットアイルに提供。これを受けてビットアイルは「ビットアイルクラウドNシリーズ powered by ニフティクラウド」の提供を10月1日から開始する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想