為替の円安が追い風に、外国人の本格参戦も期待

著者:冨田康夫
投稿:2014/09/02 20:35

3日の株式相場見通し

 3日の東京株式市場はきょうの地合いを継続して買い優勢の展開が想定される。

 2日の東京株式市場は前日の米国株市場が休場だったこともあって、手掛かり材料難から小動きが想定されたが、いざフタを開けてみると円安進行と並行して想定以上に上値指向の強い展開となった。売買代金も2兆円の大台には届かなかったものの約1カ月ぶりの水準まで回復した。

 消費増税後の景気の実勢悪が意識される一方、それに付随して政府・日銀の政策に対する期待感も強まっている。日銀が追加金融緩和という“伝家の宝刀”を抜く構えを見せるだけでも、市場には強力な追い風となる。また、塩崎政調会長代理を厚労相として入閣させるとの観測が、株式需給面での切り札であるGPIFの運用積極化への思惑を呼び込んだ。安倍政権のアナウンス作戦成功の構図を思わせるが、一夜にして霧消するような材料ではないことも確か。レイバーデー後に外国人投資家の参戦が見込まれるタイミングということもあり、全般相場は上昇新波動の緒に就いたという見方も可能だ。

2日の動意株

 マネーパートナーズグループ<8732>=ストップ高。
あすから、個人を対象に、海外利用専用のトラベルプリペイドカード「Manepa Card(マネパカード)」の申し込みを開始すると発表しており、これに対する期待感から買いを集めているようだ。同カードは、国内のFX専業会社で初めてマスターカードのカード発行ライセンスを取得して発行するもので、海外への渡航前に円貨から外貨に両替を行い、カードにチャージしておけば、海外のマスターカードATMから現地の通貨を引き出せるほか、海外のマスターカード加盟のショップやレストランにてキャッシュレスで代金を決済できるなどに加えて、日本で初めてマルチカレンシー(多通貨対応)機能を備えている点が特徴だという。

 村田製作所<6981>=大幅高。
1月23日につけた年初来高値1万485円を7カ月半ぶりに更新した。世界で圧倒的世界シェアを誇る積層セラミックコンデンサーを中心に収益は書き入れ時にある。自動車の販売好調とエレクトロニクス化の進展を背景に車載向け電子部品で好調な環境を享受しているほか、中国で需要が加速するミドルエンド機種など、スマートフォン市場の拡大が好受注環境をもたらせており、これを改めて評価する動きが強まっている。同社株に強気判断をみせるクレディ・スイスでは目標株価を1万2000円まで引き上げたことが観測されている。

 日立金属<5486>=堅調展開。
世界首位級のシェアを持つレアアース磁石はハイブリッドカー用モーターなどに需要が高水準で業績を牽引している。また、同社は8月19日に米ワウパカ・ファウンドリー社を買収することを発表、ワウパカ社は米国に6工場を保有する自動車用鋳鉄物の世界トップで、この大型M&Aにみられるように鋳鉄分野への布石も積極的で業容拡大に貪欲な姿勢を示す。ROEが12.9%と高く、株式運用積極化を標榜するGPIFの買い対象としても思惑を内包する。

 オールアバウト<2454>=急伸。
東証は同社株に対し1日から信用取引のいわゆる増担保規制の臨時措置を実施。委託保証金率を50%以上(うち現金20%以上)とし、日証金は、貸借取引自己取引分などの銘柄別増担保金徴収率を現行の30%から50%(同20%)に引き上げている。ただ、この日は一時、前日比225円高の1230円まで買われ年初来高値を更新。リクルートホールディングスが10月にも株式上場するとの観測が浮上している。リクルートHDは同社の第2位の大株主(29.9%)となっており、リクルート関連株としても見直し機運が出ている。

 アクトコール<6064>=ストップ高。
1日の取引終了後に、三井不動産リアルティ(東京都千代田区)と業務提携し、「三井のリハウス 住まいの安心サポートメニュー」の一部業務について、サービス提供を開始したと発表しており、これを好感した買いが入っている。提供するサービスは、緊急24時間対応サービスや設備修理サービスなどで、今回の提携を機に、アクトコールは持ち家市場においてさらなる新規案件の受託を目指し、顧客満足度の高いサービス開発を行っていくとしている。

 クイック<4318>=ストップ高。
1日の取引終了後、9月24日付で東証2部市場から東証1部市場に指定されることになったと発表しており、これを好感した買いが入っている。また、これに伴い、145万株の売り出しと21万株のオーバーアロットメントによる売り出しを実施するとしており、売り出し価格は9月9日から12日までの間のいずれかの日に決められるという。同時に、従来7円を予定していた中間配当に記念配当5円を加えて12円にすると発表したことも好材料視されているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想