利益確定売り圧力継続、下値には公的年金の買い

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/26 20:39

27日の株式相場見通し

 27日の東京株式市場はきょうの地合いを引き継ぎやや売りに押される展開を予想する。

 市場エネルギーは海外投資家が積極的な売買を控えていることもあって、盛り上がりを欠いている。売買代金は12日連続で2兆円台を割り込んでいる状況だ。ただ、今は公的年金資金の買いがセーフティネットの役割を果たし、夏枯れのなかも安心感が漂っている。これが前週21日までの日経平均の記録的な連騰につながったわけだが、その時に醸成されていた利益確定売りへの思惑が、目先的には地合いに反映されやすい時間帯に入ったとみている。

 4~6月期の国内企業業績はまずまずだったものの、マクロ指標から国内景気をみると消費増税の影響が色濃い。15年度には8%から10%へのさらなる増税が待っていることも考慮すると、海外投資家が日本株投資に二の足を踏むのもうなずけるところだ。9月の内閣改造は相場に活を入れる契機となる可能性があるが、当面は上下にボラティリティの乏しい官製相場の色彩が強いだろう。いずれにせよ、買い主体である海外マネーの再上陸が上昇相場の必要条件となりそうだ。

26日の動意株

 蛇の目ミシン工業<6445>=大商いで続伸。
全般主力株が手掛けにくいなか、数量商いのこなせる低位材料株として個人投資家を中心とした短期資金が集結。足もとの業績は好調で8月初旬に発表した14年4~6月期営業利益が前年同期比4.2倍の6億9300万円と高変化をみせたことが株価上昇の起爆剤となった。家庭用高級ミシンが海外で会社側想定を上回って推移、サーボプレスや卓上ロボット、スカラロボットなどの産業機器部門も好調で業績を牽引している。

 アズジェント<4288>=後場急伸しストップ高。
前引け後に、Webサイト改ざんやDDoS攻撃と呼ばれる複数のマシンから大量の処理負荷を与えることによるWebサービスの機能停止の被害からWebサイトを守るためのクラウドサービスを9月1日に開始すると発表しており、これを好感する買いが入っている。初年度販売目標1億5000万円を見込んでおり、今後の業績への寄与が期待されている。

 大泉製作所<6618>=4日連続のストップ高。
同社は20日に、主力製品である自動車用温度センサーが電装品世界最大手の独ロバート・ボッシュを通じ、欧州大手自動車メーカー製品に搭載されることが決定したと発表、これが起爆剤となった。株主構成も外資系再生ファンドやOakキャピタルなどが上位株主に名を連ねるなど需給思惑が募っている。

 ディー・エヌ・エー<2432>=続伸。
同社が提供する「桐谷さん×チャリ走」がこの日、iPhoneとiPadの人気無料アプリランキングでともに前日の200位以下から一気に1位となったことが好感されているようだ。前日夜のテレビ番組で、元プロ将棋士で、株主優待生活で話題の桐谷広人氏が取り上げられたことで人気化したもようで、アプリの人気化による業績への貢献が期待されている。

 アジア航測<9233>=ストップ高。
引き続き、広島市北部の大規模土砂災害に関連して、同社が斜面の傾きを検出し、携帯電話などに知らせるシステムを実証実験していることや、8月21日に被災地の上空からの緊急撮影を実施し、それをもとに3Dモデルを作成したことなどが関心を集めている。また、25日には、同社などが共同出資したアクアパワー東北(仙台市青葉区)が、宮城県企業局との間で実施協定を締結した「馬越石水力発電所」について、8月1日に営業運転を開始し、28日には宮城県仙台市内にて竣工式を開催すること発表しており、これも注目を集めている。

 ダイキョーニシカワ<4246>=堅調。
主力のマツダ向けに自動車の樹脂製品の多くを手掛けるほか、ダイハツにも樹脂製のバッグドアを供給。燃料規制強化の動きなどを背景とした自動車軽量化の流れが同社に強く味方している。ダイハツ向けでも実績を重ね、軽自動車用樹脂製品の生産能力を今年度中に1.5倍まで高める方針が伝えられるなど、追い風は強い。海外ではメキシコでの新規拠点展開に傾注し、今期以降の収益への貢献が見込まれている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想