25日線回復で強調持続・商い薄も売り圧力に乏しい

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/19 20:01

20日の株式相場見通し

 20日の東京株式市場はきょうの強調展開の余勢を駆って、やや買い優勢の地合いとなりそうだ。日経平均は昨年末以来の7日続伸で目先過熱感も警戒されるところだが、前週末と週明けの2日間は合計8円の上昇とほぼ横ばい。東証1部の騰落レシオもここ数日100%強の水準で落ち着いており、見た目ほど買い疲れ感はないとみる。

 お盆休み明け後も低調な商いは気掛かりだが、これは裏返せば売り圧力の乏しさにも反映されている。今週末のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホール講演を前に積極的な買いは入れにくいが、とはいえ先高期待も底流しており、「とりあえず保有株のポジションもそのまま」というのが今の相場の実態であろう。

 19日の東京市場は前日の欧米株の大幅高を受けて、朝方から大きく買い優勢でスタートしたが、寄り後は高値圏で膠着し、さながらベタ凪の水面を思わせる地合いだった。しかし、テクニカルでよく俎上に載る25日移動平均線を上回ってきたことはポイントで、相場のムードは悪くない。

19日の動意株

 アクシーズ<1381>=ストップ高。
この日の複数の報道で、日本KFCホールディングス<9873.T>が運営している「ケンタッキーフライドチキン」の店舗で使用する鶏肉全てを国産にすることが分かったと報じられたことを好材料視。同社はケンタッキー向けに鶏肉を提供しており、今回の方針で需要拡大への期待が高まっている。ケンタッキーでは、主力商品「オリジナルチキン」にはこれまでも100%国産の鶏肉を使用しているが、今回、他の商品も国産にするという。

 テルモ<4543>=堅調。
1月8日につけた年初来高値2535円を上回った。同社は18日に、「ニコペリック腹膜透析液」の製造販売承認を取得したと発表。腹膜透析とは腎不全のための透析療法のひとつで、患者が自宅や外出先で腹腔内に透析液を入れ、腹膜を介して水や老廃物を取り除く腎代替療法。「ニコペリック腹膜透析」は、世界初の中性化されたイコデキストリン含有腹膜透析液で、薬価基準に収載され次第、速やかに発売される予定となっている。

 アニコム ホールディングス<8715>=続伸。
1月29日の年初来高値1221円を約半年ぶりに払拭した。全国に提携動物病院ネットワークを保持するペット保険の最大手として競争力に長け、ペット保険の契約数が増勢一途、14年4~6月期の連結経常利益は前年同期比3.3倍の3億7900万円と急拡大、4~9月期に想定していた2億4300万円を56%も上回る水準だ。6月からの保険料値上げ効果も考慮して通期の8億円見通しは大幅に増額修正される可能性が高まっている。

 イチケン<1847>=急騰。
建設セクターは、建築現場の人材調達が課題となっていたが、人手確保に伴う人件費上昇デメリットを価格転嫁に反映させコストを相殺する動きが軌道に乗ってきている。東京五輪に向けた首都圏インフラ整備や都市再開発、リニア関連工事など中期的に大型プロジェクトが相次ぐことで、もとより需要面での追い風は不変だ。加えて同社はマルハン系でパチンコ店関連受注実績が厚く、今秋の臨時国会で成立する可能性が高まっているIR推進法案(カジノ法案)が同社の受注機会の拡大に結び付くとの思惑が買い人気を助長している。

 総医研ホールディングス<2385>=急伸。
18日取引終了後に今15年6月期の連結業績予想を発表。売上高27億円(前期比15.2%増)、営業利益5000万円(同79.9%増)と2ケタ超の増収で利益急回復を予想した。評価試験受注が回復、ヘルスケアサポートは特定保健指導の受託業務が新規受注により拡大し、健康補助食品も「イミダペプチド」が好調を持続する見込み。

 フージャースホールディングス<3284>=大幅高で3日続伸。
18日の取引終了後、自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。160万株(発行済み株式数の5.07%)、10億円を上限としており、取得期間は8月19日から11月28日まで。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想