買い気薄く値を消す、テーマ株物色は継続

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/18 19:58

19日の株式相場見通し

 19日の東京株式市場は、売り買いともに手控えられ、引き続き薄商いのなかで小動きの推移となりそうだ。ただ、日経平均株価がきょうまで6日続伸となっていることから、利益確定の売り圧力を考慮すると反落となる可能性が高い。一方、リニア中央新幹線関連の建設業種など、ニュースの出たテーマ関連の材料株への物色意欲は継続している。

 お盆休みが明けたにもかかわらず、18日の東京株式市場は、1部市場の売買代金が1兆3612億円と、約4カ月ぶりの低水準で、今年3番目という極端な閑散商いとなった。

 市場関係者からは「現状の1万5300円台は、売り買いがきっ抗しやすい水準といえる。買い方にとっては、地政学的リスクで突発的なマイナスが飛び出すことが懸念材料。売り方にとっては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用枠拡大の情報が気になるのではないか」との見方が出ていた。

18日の動意株

 モルフォ<3653>=一時ストップ高。
東大発のベンチャー企業で画像処理ソフトを手がけ、手振れ補正などで強みを持っている。中国でのスマートフォン普及が加速するなか同社の技術採用の動きが続き、高機能製品への需要シフトなどで今後についても強いフォローの風が吹いている。株価は朝方から動意含みだったが、「前場10時半ごろに大口の買い仕掛けが入り、これを号砲に上値追いが一気に加速した」(市場関係者)という。

 フルキャストホールディングス<4848>=値を飛ばす。
小売りや外食業界を中心に人手不足の問題が深刻化、高水準の求人に供給が間に合わない状況にあり、企業側は時給を上げるなどで人材確保に躍起となっている。これはアルバイト紹介を主体に人材サービスを展開する同社の収益機会拡大を代弁するものだ。時価550円近辺は08年6月以来6年2カ月ぶりの水準だが、ここから800円台にかけては滞留出来高が特に希薄な価格帯となることで、上値は軽いという読みも働く。

 タカキタ<6325>=急反発。
同社はこの日、午後1時30分に株主優待制度を新設すると発表、これを好感する動き。毎年、第2四半期末(9月30日)現在の株主に対して100株以上1000株未満保有で500円分のクオカード、1000株以上で1000円分のクオカードを贈呈する。

 山一電機<6941>=大幅続伸。
モバイル端末向けに超薄型の高速伝送対応多層基板を開発するなど技術力で定評があり、株価急騰の原動力となっている。その急騰習性から短期資金の注目度が高いが、ここにきて業績面での好変化が買い人気を助長している。同社が手掛ける半導体検査用ソケットは利益率が高く、高機能化するスマートフォンの普及加速を背景としたフラッシュメモリー向けで高水準の需要を取り込んでいる。

 鉄建<1815>=値を飛ばす。
JR東日本<9020.T>は品川駅周辺の再開発に積極的な方針を打ち出しており、品川―田町間で新駅を開業予定にあるなかで同社の受注機会拡大の思惑が高まっている。また、2027年に開業が予定されるリニア中央新幹線は今秋の着工が予想されており、JRを主要顧客に鉄道工事で国内首位の実績を誇る同社は、中長期ビッグプロジェクトの追い風も強く意識されている。

 象印マホービン<7965>=反発。
世界的な和食ブームで日本製の炊飯ジャーが人気を集めるなか、台湾や中国などのアジアや北米で豊富な販売実績を有する同社が注目を集めている。今14年11月期は通期連結営業利益で50億円(前期比2.8倍)を見込んでいる。第2四半期では42億3400万円(前年同期比2.9倍)を計上していることから上方修正期待が高まっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想