月初で新規マネーに期待、米雇用統計控え後場は様子見

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/31 19:29

1日の株式相場見通し

 1日の東京株式市場は、月初と週末が重なることから、強弱感が対立することになるが、国内外の機関投資家からの新規マネーによる買いが上回り、日経平均株価は反発の展開となりそうだ。ただ、後場は米7月の雇用統計発表を目前にして様子見ムードが強まりそうだ。

 31日の東京株式市場は、NY外国為替市場での1ドル=103円台への円安進行を買い手掛かりとして、輸出関連銘柄を中心に買い進まれ、一時、1万5700円台を回復した。その後利益確定の売りが出て前場後半から急速に値を消し、日経平均株価終値は、前日比25円安の1万5620円と5日ぶり反落した。ただ、東証1部の売買代金は2兆2051億円と、21日ぶりに2兆円の大台を回復した。月末に伴う手じまい売りに加え、決算発表を手掛かりにした積極買いも市場エネルギーの増加につながったようだ。売買代金の増加は新たな上昇ステージへのプラス材料として評価したい。

 日程面では、日ブラジル首脳会談、黒田日銀総裁が都内で講演、7月の日銀当座預金増減要因、7月の新車販売台数、7月の大手百貨店売上高速報に注目。海外では、米7月の雇用統計、米7月のISM製造業景況感指数、米6月の個人消費支出、中国7月の製造業PMIが焦点となる。

<動意株・31日>(大引け)=ニチユ三菱、神鋼環境、トクヤマなど

 ニチユ三菱フォークリフト<7105>=後場急伸。
同社はきょう午後1時半に、15年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。経常利益は37億5200万円(前年同期比2.6倍)となり、上半期計画50億円に対する進捗率は75.0%に達した。第1四半期の連結売上高は874億5700万円(前年同期比81.6%増)で着地。米国や欧州などで売り上げが増加したほか、利益面では前期に計上していた三菱重工業<7011.T>フォークリフト事業の統合関連一時費用がなくなったことが大幅増益につながった。

 神鋼環境ソリューション<6299>=急反発。
同社は30日大引け後に今15年3月期第1四半期(4~6月)決算を発表。連結売上高では120億2900万円(前年同期比13.8%減)と減収となったが、営業損益は3900万円の黒字(前年同期実績2億3500万円の赤字)と黒字転換を達成、これを好感している。水処理関連事業では前年同期に計上した大型案件の反動減があるものの、アフターサービス分野での収益向上などが利益を押し上げている。

 トクヤマ<4043>=後場一段高。
前引け後に15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の3030億円から3005億円(前期比4.6%増)に下方修正した一方、営業利益を同165億円から185億円(同8.7%減)へそれぞれ上方修正したことを好感した買いが入った。費用削減などの収益改善に取り組んだ効果が見込まれるためという。

 コロプラ<3668>=ストップ高。
同社は30日の取引終了後、14年9月期の単独業績見通しについて、売上高を従来予想の450億円から520億円(前期比3.1倍)へ、営業利益を同180億円から227億円(同4.0倍)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。昨年3月にリリースした「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」や、同年9月にリリースした「軍勢RPG 蒼の三国志」などスマートフォン専用オンラインゲームアプリの売り上げが想定をはるかに上回るペースで好調に推移したことが要因。

 日本高周波鋼業<5476>=急騰。
30日の取引終了後、第2四半期累計(4~9月)連結業績見通しについて、売上高を従来予想の203億円から205億円(前年同期比8.1%増)へ、営業損益を同3000万円の赤字から1億4000万円の黒字(前年同期1億3300万円の赤字)へそれぞれ上方修正した。ニッケルなどの原燃料価格や電力料金の上昇などはあるものの、販売価格の改善や高付加価値製品拡大による品種構成の改善、さらにコストダウン活動などが奏功し、特殊鋼分野を中心に収益が改善する見込みであることが要因という。

 エクセル<7591>=大幅続伸。
同社は30日取引終了後に、15年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。経常利益は12億5600万円(前年同期比2.1倍)となり、上半期計画21億円に対する進捗率は59.8%に達した。第1四半期の連結売上高は565億3200万円(前年同期比2.2倍)で着地。海外子会社で中小型および大型液晶の販売が大幅に拡大したほか、ドライバーICの販売が伸長したことなどが増収増益につながった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想