ライツ・イシュー、資金調達に規制強化の波?

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/04 16:04

既存株主にやさしい資金調達手法

新株予約権を活用した資金調達手段であるライツ・イシューの実施企業が、近年増加している。

 ライツ・イシューは、上場企業が既存株主に無償で新株予約権を割り当て株主の権利行使などで企業が資金調達する手法。株主は新株予約権を市場で売却もできる。
 希薄化による株価下落が懸念される公募増資や第三者割当増資に比べ、既存株主にやさしい資金調達手法と呼ばれる。

 欧州などでは一般的だが、日本では2010年以降実施されている。ライツ・イシューには、証券会社が審査をし引き受けを行う「コミットメント型」と審査や引き受けがない「ノンコミットメント型」がある。コミットメント型には日医工<4541>やアイ・アール ジャパン<6051>などによる実施例があるが、現時点では例外的でノンコミットメント型が主力となっている。
 ノンコミットメント型では1000億円近い大型調達を行ったJトラスト<8508>のような例もあるものの、業績悪化企業による「駆け込み寺的」な資金調達が多いとの見方も出始めている。

 こうしたなか、ノンコミットメント型のライツ・イシューにも証券会社の事前審査を義務づけようという動きも浮上しており、今後の展開が関心を集めている。

◆ライツ・イシュー実施会社の例

銘柄(コード)       行使価格   資金調達額

Jトラスト<8508>     1800   976
省電舎<1711>       1365   5.1
日医工*<4541>       676   125
IR Japan*<6051> 6000   9.4
小僧寿し<9973>       125    15
セーラー<7992>        31  16.4
AGCap<6993>      150  17.3
レカム<3323>       1200   2.5
インフォテリ<3853>     200  8.05
リアルコム<3856>      350   5.3
SE H&I<9478>     116   8.6
ガイアクス<3775>       600  12.6

*はコミットメント型(単位:円、億円、行使価格は1株当たりの金額)
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想