買い意欲増し続伸、6月日銀短観の内容注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/06/30 20:35

あす(1日)の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、寄り付き前に発表される6月調査の日銀短観の内容を吟味しながらの動きとなりそうだ。
 市場関係者のあいだでは「大企業製造業の業況判断指数(DI)が、前回の3月調査に比べて小幅下落となり、悪化に転じる見通しだが、先行きは改善が予想される」との見方が多いようだ。足もとの業況判断の悪化が小幅にとどまり、先行きの改善が大幅となれば、買い材料と判断される可能性もある。

 30日の東京株式市場は、前週末の米国株市場でNYダウが小幅ながら反発したことを受け買い安心感が広がり、日経平均株価終値は前週末比67円高の1万5162円と反発した。東証1部の値上がり銘柄数は1568(値下がり銘柄数は178、変わらずは69銘柄)に達するなど、物色意欲の強さを示した。ただ、取引時間中に円が買われ、1ドル101円30銭を割り込む水準まで円高が進行したことで上昇幅は小幅にとどまった。

 日程面では、6月調査の日銀短観、1月1日時点の路線価、5月の毎月勤労統計(速報値)、6月の大手百貨店売上高(速報)、6月の新車販売台数に注目。海外では、米6月のISM製造業景況感指数、米6月の新車販売、中国6月のPMI、ユーロ圏5月の失業率が焦点となる。

<動意株30日>=アコム、パスコ、ソケッツなど

 アコム<8572>=一時ストップ高。
消費者金融業界では三菱UFJグループに属し、財務面では相対的に基盤は安定している強みを持つ。ただ、これまでは需給相場の様相を前面に押し出し急騰劇を演じたアイフルなどと比べ、値動きは緩やかで株価に出遅れ感があった。きょうは、時事通信が29日、「消費者金融など貸金業者の規制緩和に向け自民党が検討している貸金業法の再改正案の概要が明らかになった」と報じたのを起爆剤に出遅れ感に目をつけた買いが集まった格好となっている。

 パスコ<9232>=堅調。
国内公共部門が主柱を担っているが、地図データなど民間マーケティング需要も取り込んでいる。国内では復興関連や防災関連、2020年の東京五輪関連向けが好調で収益に寄与している。また、海外では新興国向けにインフラシステム輸出に傾注してビジネスチャンスを広げ、15年3月期業績は最終利益段階で前期比33.9%増の25億円見通しと、10年3月期の過去最高利益22億2500万円を5年ぶりに更新する可能性が高まっている。

 ソケッツ<3634>=後場急伸。
同社はきょう、auがサービスを開始するアニメ動画の見放題サービス「アニメパス」向けにシステム開発およびレコメンドや検索などのサービス機能を開発したと発表。これが材料視されているようだ。今回提供を開始するサービス機能は、コンテンツをテーマや年代から検索できる「ナビゲーション」機能や、テーマつながり、キーワードつながりで関連コンテンツをユーザーに紹介する「レコメンド」機能など。

 デジタルガレージ<4819>=急伸。
27日、14年6月期連結業績予想の増額修正を発表したことが好感されている。売上高は320億円から336億円(前期比20.2%増)に見直したほか、営業利益は18億円から24億5000万円(同85.3%増)に上方修正した。新規株式上場(IPO)市場の環境好転を受け、ベンチャー企業投資によるビジネスインキュベーション事業の利益が計画を大幅に上回っている。また、ウェブマーケティング関連事業も好調に推移している。

 アネスト岩田<6381>=上げ足加速。
スプレーガンを主力製品に国内7割の高シェアを誇る塗装機器メーカートップだが、「国内向けでは懸念されていた消費増税の影響がほとんど出ていない」(業界アナリスト)ことが買い安心感につながっている。また、海外拠点拡充効果が着実に表れているほか、足もと円高含みに振れる為替も、同社は今期通期の想定レートを1ドル=98円と厳しくみていることから、依然として伸びしろが大きい。

 メディアシーク<4824>=反発。
同社はきょう、スマートフォン向けJAN/QRコード読み取りアプリケーション「バーコードリーダー/アイコニット」が、京セラ<6971.T>製の新型スマートフォン「URBANO LO3」のプリインストールアプリに採用されたと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。「バーコードリーダー/アイコニット」は、累計1100万ダウンロードを超えるスマホアプリ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想