売りこなし上昇堅持、需給圧迫軽微で先高期待

著者:冨田康夫
投稿:2014/06/22 14:52

来週の株式相場見通し

来週(23~27日)の東京株式市場は、今週後半の株価上昇に対する警戒感も働き、利益確定の売りが予想されるものの、東証1部の売買代金が厚みを増していることや、需給面での荷もたれ感が軽微なことから、小幅な反落場面を挟みながらも、大勢は上昇基調を堅持する展開となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万5100~1万5700円とする。

 テクニカル面では、20日時点の東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は、151.65%と、13年5月以来約1年ぶりの高水準に達し、過熱感が指摘されている。しかし、一方で東証の信用買い残や、株価指数先物の裁定買い残に目立った増加傾向はみられず、荷もたれ感は軽微だ。
また、一部市場関係者からは「円高・ドル安が進行すると、直ちに日経平均株価が下落するという連動性が薄れてきたことは、株価の自律性から見てプラス材料」との見方も出ている。ただ、新成長戦略発表後の材料出尽くし売りムードには注意が必要だ。

 日程面では、「新成長戦略」が閣議決定の可能性、フィリピンのアキノ大統領来日で安倍首相と首脳会談(24日)、5月企業向けサービス価格、気象庁3カ月予報(25日)、5月の失業率・有効求人倍率、5月の全国消費者物価指数、5月の商業販売統計(27日)に注目。
海外では、中国6月のHSBC製造業PMI、米5月の中古住宅販売件数(23日)、米5月の新築住宅販売件数(24日)、米1~3月期のGDP確報値(25日)、EU首脳会議(26~27日)が焦点になる。

<動意株20日>

サンケン電気<6707>=急伸で新高値。
信用倍率1.02倍と売り買い拮抗、需給妙味が指摘されるなか、ロボット関連株で回転を利かせた特定資金の流入思惑が浮上しているもよう。電源分野では国内トップ、LED照明関連が好調で収益を牽引しているほか、電装化の進む自動車向けに電子部品が伸びている。また通信基地局向けのパワーシステムに引き合いが旺盛。

 住友金属鉱山<5713>=6日続伸。
19日のニューヨーク市場で金先物は大幅続伸。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で8月物は前日比41.4ドル高の1トロイオンス1314.1ドルに上昇した。一時は1320ドルと約2カ月ぶりの水準に買われている。イラク情勢の緊迫化が金価格の上昇につながっている。このなか、鹿児島県に菱刈鉱山などを有する産金株である同社株に見直し買いが流入している。

 ケー・エフ・シー<3420>=後場大幅高。
前引け後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。20万株(発行済み株式数の2.71%)、2億円を上限としており、取得期間は6月23日から次回の定時株主総会開催日の前日までとしている。

 ケネディクス<4321>=大幅反発。
19日、子会社が保有するガソリンスタンド計19件を売却すると発表した。同社は13年2月に策定した中期経営計画で資産の組み換えを進めることを打ち出しており、着実に実行されていることが評価されているようだ。なお、今回の売却により譲渡益が約6億7200万円発生すると見込まれているが、会社側では14年12月期連結業績予想の変更はないとしている。

 大京<8840>=急動意。
低金利環境が定着するなかで、不動産市況の回復がフォローウインドとなっている。採算を重視した用地仕入れの徹底により販売戸数は減少しているものの、マンション粗利率の改善が進んでいる状況だ。前期に買収した穴吹工務店は、大京が弱かった西日本に強みを持っており補完効果をもたらせていることもポイント。

 エイティング<3785>=ストップ高。
同社は16日付で激突青春アクションRPG「激突!ブレイク学園」をiOSとアンドロイド向けで今夏に配信すると発表し急動意。きのうは上げ一服となったが、きょうは寄り付きから買いが殺到、勢いが加速している。ゲームソフト受託開発を手掛ける同社としては、初のオリジナルネイティブゲームアプリとなることから、これに対する期待が高まっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想