来年の相場テーマを探る

著者:冨田康夫
投稿:2013/12/25 20:41

成果問われるアベノミクス

 2014年の株式相場テーマは、安倍政権が2年目を迎え、アベノミクスの実際の効果が試されることから、今年打ち出された〝成長戦略〟が具体化されるなかから見出されそうだ。

 その予算規模や期間の長さで、株式市場への影響が極めて大きいのが、「国土強靭化計画」だ。今後10年間に国と地方の公費で100兆円、民間資金をあわせて合計200兆円を投資する超巨大プロジェクト。基本目標に人命の保護、国家と社会の機能の維持、国民の財産と公共施設の被害の最小化、迅速な復旧復興の4つを掲げており、道路、橋梁の耐震工事など公共インフラ関連の企業を中心に、年明け以降も折に触れて関連銘柄が物色対象となりそうだ。

 さらに、7年後の東京五輪開催に向けて「特異な規制や制度を徹底的に取り除き、世界最先端のビジネス都市を生み出す」ことで「国家戦略特区制度」を創設することに拍車が掛かる。

具体的な規制緩和の内容として、
 (1)都心居住促進のための容積率・用途規制緩和
 (2)企業の農業生産法人への出資制限緩和
 (3)成田・羽田両空港の機能強化と都心アクセス改善
――などをはじめとした多くの項目が検討されている。また、カジノ法案は先の臨時国会に提出され、来年1月召集の次期通常国会で審議し成立を目指すという。

飛躍的な成長 企業も出現へ

 京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞の早期実用化をメーンとした再生医療の推進が政府成長戦略の主要課題となっている。再生医療は、世界をリードできる、日本のなかでも数少ない分野でもあることから、飛躍的な成長を遂げる企業が輩出される可能性を秘めている。

 さらに、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーや、水素をエネルギー源とした燃料電池の開発促進も国策として重点項目となっている。また、高速鉄道システム、大気汚染の環境保全プラント、高度医療機器といった日本企業の技術力を生かした広い意味でのインフラ輸出にも注目が集まる。

JPX日経400に強い関心

 市場内部的な相場テーマとしては、新指数の「JPX日経インデックス400」がある。上場企業の自己資本利益率(ROE)など資本効率に焦点を当て、これを基準とした指数であり、公的年金などがベンチマーク(指針)に採用するとの期待感がある。年明け1月6日から算出を開始するが、市場の関心は高い。

 特徴は、東証1部だけでなく東証2部やマザーズ、ジャスダックなど新興市場銘柄も横断的に対象となっている点で、こうした採用基準の結果、東証1部から386銘柄、東証2部から1銘柄、マザーズから2銘柄、ジャスダックから11銘柄が採用された。

NISAにT P P テーマ続々登場

 さらに、実質新年相場入りする12月26日以降は、NISA(少額投資非課税制度)を通じた買いがスタートするため、個人投資家からの資金が、株式投資信託経由も含めて、中・長期投資に向いた主力銘柄を中心に流入する可能性も指摘されている。

 このほか、円安のさらなる進行、TPP(環太平洋経済連携協定)参加、東京五輪、リニア新幹線、航空宇宙、サッカーワールドカップ開催、消費税増税など来年の相場もテーマに事欠きそうにない。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想