消費税増税からコスト削減に注目。分かりやすい例は「ペットボトル」?
★『2014年4月~ 消費税率が8%へ』
安倍首相は10月1日(火)、2014年4月からの消費税率を法律で定めるとおり、8%へ引き上げると表明しました。1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられて以来、実に17年ぶりに消費税が引き上げられることになります。
増税による経済への影響を考慮し、法律では「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とされています。努力目標として実質成長率で2%の数値が挙げられていましたので、足元の経済成長がこれを下回るペースであれば、増税回避というシナリオもあったのですが、4~6月期GDP(改定値)が+3.8%(年率換算)と2期連続で3%以上のプラス成長となったことで、安倍さんは増税へのGOサインを出しました。
1日の記者会見では、増税決定と合わせて「5兆円規模」の経済対策を12月上旬に策定すると発表。消費税増税による景気の腰折れを防ぐため、低所得世帯を対象とした最大1万5千円の現金給付や、住宅購入者向けの給付金など個人向けの政策のほか、設備投資減税や賃上げを行った企業に対して減税拡充を行うなど、合わせて5兆円規模の経済対策になるとみられます。
増税による経済への悪影響を最小限にとどめるため、現金給付などはある程度の効果があるとみられますが、それらの効果は一時しのぎに過ぎません。企業が賃上げを行うには、まず収益が上がる見通しが立たなければ容易にベースアップの判断はできませんので、やるのであれば法人税の実効税率引き下げなど、抜本的な経済対策を打つべきです。
税務では、東日本大震災の復興特別法人を、1年前倒しで廃止する方向で党内の調整が進んでいるようです。しかし、やや辛口に評せばこれも小手先の対応に過ぎません。与党内からの反対意見や事務方の抵抗の強い、法人税の引き下げに着手できるか、安倍首相の手腕が問われます。
★『注目しておきたい増税関連銘柄』
消費税率は、現状の5%から14年4月には8%に引き上げられますが、困るのは消費者だけではありません。カジュアル衣料品チェーン「ユニクロ」では、1,990円や2,990円といった価格帯が多いことから、増税後も価格を維持する方針を示しました。「ニトリ」や良品計画が運営する「無印良品」も同様に価格を据え置きを検討しています。
このように、価格を容易に転嫁できない企業は多いと考えられ、飲料メーカー各社も価格据え置きとなった場合に備えてコスト削減を進めています。その分かりやすい例が、ペットボトルの軽量化です。
環境意識の高まりもあって、ペットボトルの軽量化が進んでおり、「ペットボトルが薄くなったなぁ」とお感じになった方も多い事でしょう。サントリーでは91年の発売当時、80グラムだった「サントリー天然水(2リットル)」の重量を、29.8グラムまで軽量化させることに成功しています。容器の軽量化や、目を引く斬新なデザインのペットボトル開発に各社はしのぎを削っていることから、ペットボトルを作る機械、ペットボトル成形機は増税関連と言えそうです。
■注目銘柄
日精エー・エス・ビー機械(東1・6284)
ペットボトル成形機の大手で、生産拠点の多くは海外にあります。同社は先月26日に東証2部から1部へ指定替えとなり、今月末にTOPIX参入にかかる投信の買い需要が発生する事も魅力の一つである事から今後の動向に注目しておきたい銘柄といえるでしょう。
小野山 功
安倍首相は10月1日(火)、2014年4月からの消費税率を法律で定めるとおり、8%へ引き上げると表明しました。1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられて以来、実に17年ぶりに消費税が引き上げられることになります。
増税による経済への影響を考慮し、法律では「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とされています。努力目標として実質成長率で2%の数値が挙げられていましたので、足元の経済成長がこれを下回るペースであれば、増税回避というシナリオもあったのですが、4~6月期GDP(改定値)が+3.8%(年率換算)と2期連続で3%以上のプラス成長となったことで、安倍さんは増税へのGOサインを出しました。
1日の記者会見では、増税決定と合わせて「5兆円規模」の経済対策を12月上旬に策定すると発表。消費税増税による景気の腰折れを防ぐため、低所得世帯を対象とした最大1万5千円の現金給付や、住宅購入者向けの給付金など個人向けの政策のほか、設備投資減税や賃上げを行った企業に対して減税拡充を行うなど、合わせて5兆円規模の経済対策になるとみられます。
増税による経済への悪影響を最小限にとどめるため、現金給付などはある程度の効果があるとみられますが、それらの効果は一時しのぎに過ぎません。企業が賃上げを行うには、まず収益が上がる見通しが立たなければ容易にベースアップの判断はできませんので、やるのであれば法人税の実効税率引き下げなど、抜本的な経済対策を打つべきです。
税務では、東日本大震災の復興特別法人を、1年前倒しで廃止する方向で党内の調整が進んでいるようです。しかし、やや辛口に評せばこれも小手先の対応に過ぎません。与党内からの反対意見や事務方の抵抗の強い、法人税の引き下げに着手できるか、安倍首相の手腕が問われます。
★『注目しておきたい増税関連銘柄』
消費税率は、現状の5%から14年4月には8%に引き上げられますが、困るのは消費者だけではありません。カジュアル衣料品チェーン「ユニクロ」では、1,990円や2,990円といった価格帯が多いことから、増税後も価格を維持する方針を示しました。「ニトリ」や良品計画が運営する「無印良品」も同様に価格を据え置きを検討しています。
このように、価格を容易に転嫁できない企業は多いと考えられ、飲料メーカー各社も価格据え置きとなった場合に備えてコスト削減を進めています。その分かりやすい例が、ペットボトルの軽量化です。
環境意識の高まりもあって、ペットボトルの軽量化が進んでおり、「ペットボトルが薄くなったなぁ」とお感じになった方も多い事でしょう。サントリーでは91年の発売当時、80グラムだった「サントリー天然水(2リットル)」の重量を、29.8グラムまで軽量化させることに成功しています。容器の軽量化や、目を引く斬新なデザインのペットボトル開発に各社はしのぎを削っていることから、ペットボトルを作る機械、ペットボトル成形機は増税関連と言えそうです。
■注目銘柄
日精エー・エス・ビー機械(東1・6284)
ペットボトル成形機の大手で、生産拠点の多くは海外にあります。同社は先月26日に東証2部から1部へ指定替えとなり、今月末にTOPIX参入にかかる投信の買い需要が発生する事も魅力の一つである事から今後の動向に注目しておきたい銘柄といえるでしょう。
小野山 功