日経平均株価405円高をどう見る

著者:冨田康夫
投稿:2013/09/03 20:01

<4日予想>〝売り手控え〟で続伸

 あす(4日)の東京株式市場は、海外株式相場の堅調や、外国為替市場での円安持続を支援材料に、〝売り手控え〟の傾向も強まり日経平均株価は続伸することになりそうだ。

 3日の東京株式市場は、前日の欧州株上昇や円安進行を受けて買いが先行し、全面高の展開。日経平均株価終値は、前日比405円高の1万3978円と高値引けで大幅続伸となり、前日と合わせた2日間の上昇幅は589円に達した。米国によるシリアへの軍事介入が9日以降に先送りされたことや、海外市場の堅調な株価などを背景に、円相場が約1カ月ぶりの安値水準となる1ドル=99円台半ばまで進行、東京市場でもリスクオフからの巻き戻しが加速した。 

 しかし、市場関係者の間では、きょうの株価大幅上昇が、直ちに本格的な反転上昇相場に発展するという楽観的な見方は少ないようだ。シリア情勢は先送り状態となっているものの、近日中にもオバマ米大統領の決断により事態が大きく動く可能性がある。また、米量的緩和縮小についても、時期に幅はあるものの、リスクを伴う投資対象からの資金引き上げの動きが継続することに変わりはない。また、3日の日経平均株価は前日比405円高と急騰したものの、東証1部の売買代金は1兆9565億円と2兆円を上回ることができず、結局17日間連続の2兆円割れが続いている。

 ただ、テクニカル面では、5月高値の1万5942円と7月高値の1万4953円をトレンドラインで結んだ延長線や、一目均衡表の抵抗帯の上限など上昇転換示唆するために必要な複数指標が1万4100~1万4200円水準に集まってることから、売買代金のボリュームを伴ってこのゾーン上抜けば、本格的な上昇トレンドが見えてくることになる。

<トピックス>今期最高益・高進捗率に照準、手控えのなか好業績銘柄を再点検

 名実ともに9月相場入りしたものの、日銀金融政策決定会合(4~5日)、7月の景気動向指数(6日)。海外では、米8月のISM製造業景況指数(3日)、G20首脳会議(5~6日・ロシア)、米8月の雇用統計(6日)などの重要イベントを前にして手控えムードが強まっている。ただ、4~6月期決算の発表以降、全般株価が調整基調にあるなかで、極めて好調な業績推移が見込める銘柄でも、株価面で明らかに評価不足となっているケースも多い。そこで、今期の予想連結経常利益が過去最高益更新見通しで、なおかつ4~9月期に対する4~6月の経常利益進捗率の高い銘柄をリストアップして投資の参考とした。

 ◎ロート製薬<4527>~スキンケア感覚で毎日の紫外線対策に利用できる「スキンアクア」などの日やけ止め関連が好調に推移。機能性化粧品の「肌研(ハダラボ)」シリーズは、〝製薬会社が作った化粧品〟というコンセプトや、手頃な価格などからまず国内で人気を集め、08年の中国を皮切りにアジア展開を開始。アジアでの「肌研」の売上高は、今期63億円まで拡大する見通し。今期通期は連結売上高1420億円(前期比10.0%増)、経常利益160億円(同10.7%増)の期初予想を継続。

 ◎いすゞ<7202>~東南アジア市場の通貨安・株安による経済の混乱がトラック需要の減少につながるとの懸念から、株価は下落基調を続けてきた。たた、インドネシア中央銀行が8月29日に、政策金利を0.5%引き上げたことをきっかけに株価が変転の兆しをみせている。PERは9倍台と割安水準となっており、中期的には買い好機となりそうだ。

 ◎エア・ウォーター<4088>~産業ガス関連事業はガス供給が本格的な回復に届かず、さらに電力問題によるコストアップの影響を受けるなど厳しい状況で推移しているが、新分野の北海道の自然の恵みを受けた旬の青果物とその加工品・冷凍食品を全国へ販売する農業・食品関連事業が飛躍的な成長となっている。14年3月期通期は連結売上高6000億円(前期比11.1%増)、経常利益360億円(同2.4%増)の当初予想を継続している。

 ◎全国保証<7164>~地銀や信金など金融機関と提携して住宅ローン保証事業を展開、10年物国債利回りが0.7%台前半で落ち着いている現状は同社にとって収益面で追い風状態にある。消費増税前の駆け込み需要により、足もとの新規住宅着工戸数が増勢にあることが収益機会の拡大につながっている。ここ数年は新規提携銀行の開拓が進んでいるほか、地銀を中心に保証債務残高の積み上げも業績に寄与している。

 ◎山洋電気<6516>~太陽光発電用パワーコンディショナーや太陽光発電システム用自立電源装置などを手掛けていることから太陽光発電関連の一角として再度関心が高まっている。電気自動車用急速充放電器や家庭用燃料電池向けも好調で、14年3月期は連結経常利益で55億円(前期比22.1%増)と増益転換を見込んでおり、業績回復も評価される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想