光輝燦然の「貴金属」関連が一斉蜂起へ、米財政懸念でドル離れ加速か <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2026/08/29 19:30

―米連邦政府の債務は史上初の40兆ドル台に、「バイバック増額」で金相場上昇―

 株式市場は夏枯れの様相を呈するようになり、日経平均株価は6万6000円を中心としたレンジ相場に突入している。だが海外市場に目をやると、確かな変調の兆しが表れている。ドルが主要通貨に対して下落し、金相場や仮想通貨に資金が向かうようになったのである。ドル安の要因として米国の債務問題があり、金をはじめ貴金属相場の上昇が業績面で追い風になる銘柄に、強いフォローの風が吹きつけている。

●円以外の主要通貨に対してドル安が進行

 ニューヨーク金先物相場は7月に1トロイオンス=4000ドルを下回る場面があったが、8月に入り戻り歩調となり、一時4700ドル台まで上昇した。金と歩調を合わせるように、銀先物やプラチナ先物を含め、8月に入り貴金属相場に浮揚力が掛かっている。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)も上げ足を速めた。

 対照的なのがドルの動きだ。ドル円相場は日米協調介入を経て急速にドル安・円高に振れた後、160円手前の水準まで戻し、膠着感を強めている。ユーロドル相場をみると7月下旬からユーロ高・ドル安基調を続けている。ドルはポンドや豪ドル、カナダドルなどに対しても同様の動きとなっている。

 イランとの戦闘状態が長期化するなか、11月には米国の中間選挙が控えている。戦費拡大は米国政府の債務を膨張させる要因となる。中間選挙を優位に進めるためにトランプ政権は景気浮揚策を打ち出す可能性もある。財政悪化リスクが意識されるなか、8月18日時点で連邦債務残高が史上初めて40兆ドル(約6400兆円)台に到達したことが明らかとなった。

 基軸通貨のドルに置き換わる通貨が存在しないとはいえども、恒常的な経常赤字の構図を抱え、自国第一主義を掲げる米国の長期的な国際影響力の低下を危惧する声は多い。覇権の裏付けとなっていたテクノロジー分野での競争力も、中国が猛烈にキャッチアップしている。ローマ帝国が衰退の道を進んだのと同様に、「パックス・アメリカーナ」が終焉し、世界が多極化に向かうとの見方も広がっている。世界各国の中央銀行のなかには、ドル資産の比率を低下させ、金の保有拡大に動くところも増えているようだ。

●住友鉱や東邦鉛が物色人気化

 ドル安局面では、代替資産として金をはじめとする貴金属相場に資金が流入し、これに追従するように金関連・貴金属関連銘柄への選好姿勢が強まることが多い。関連銘柄の代表格が住友金属鉱山 <5713> [東証P]である。世界有数のニッケル生産量を誇る同社は、鹿児島県北部に菱刈鉱山を持ち、高品位の金の産出を続けている。三菱マテリアル <5711> [東証P]は香川県の直島製錬所で金地金を生産、小売りも手掛けている。金相場と連動するETF(上場投資信託)にはSPDRゴールド・シェア <1326> [東証E]やWisdomTree 金上場投資信託 <1672> [東証E]、純金上場信託(現物国内保管型) <1540> [東証E]がある。

 銀関連である東邦亜鉛 <5707> [東証P]も投資家の注目度が急上昇した銘柄だ。亜鉛製錬事業で設備操業を停止し、金属リサイクル事業への転換を図るなど構造改革を進めつつ、鉛と銀の製錬事業を強化する戦略をとっており、広島県の沖合に所有する契島(ちぎりしま)は国内最大の鉛製錬所。ここでの銀地金の年産能力は400トンに上る。WisdomTree 銀上場投資信託 <1673> [東証E]や純銀上場信託(現物国内保管型) <1542> [東証E]は、銀相場連動型のETF。貴金属関連ETFには、純プラチナ上場信託(現物国内保管型) <1541> [東証E]もある。貴金属リサイクルやリユースなどを手掛ける企業も、貴金属相場の上昇がトップラインの伸びに直結すると考えられている。以下に注目銘柄をピックアップしていく。

●DOWAやAREHDなどに注目

 DOWAホールディングス <5714> [東証P]は資源循環や製錬、電子材料などの事業を展開する。資源関連では亜鉛の製錬を行いつつ、発祥の地である小坂製錬において使用済みPC基板などを原料として受け入れ、貴金属やレアメタルを回収。傘下の日本ピージーエムで白金族類のリサイクルも手掛けている。PER(株価収益率)は10倍台とバリュー株の域にありながら27年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算は売上高が前年同期比58%増、営業利益が同3.8倍となり、営業利益は中間期の計画をすでに上回っている。廃棄された家電からレアアースを含むネオジム磁石を回収する実証実験も推進。 レアアース関連株としても位置付けられている。

 AREホールディングス <5857> [東証P]は貴金属の回収・リサイクル事業を展開。同じくレアアース関連株のカテゴリーに入る同社は、貴金属市況の上昇が販売価格の上振れを通じて直接的な業績押し上げ要因となる構図にある。27年3月期は2ケタ増益かつ最終利益は6期ぶりに最高益を更新する計画。第1四半期(4~6月)は連結売上高が4割を超す増収で、最終利益は前年同期比2.4倍と好調だった。8月に入り株価は戻りを試す展開となっているが、PERは12倍台と、バリュエーション面での過熱感が高まっているとは言い難い。

 日本高純度化学 <4973> [東証P]はプリント基板や半導体パッケージに使われるメッキ薬品の開発・製造を手掛ける。貴金属相場の上昇は、メッキ薬品の販売価格に転嫁される構図にあり、収益拡大に寄与する。製品需要そのものもAI・半導体関連で急拡大しているが、27年3月期第1四半期(4~6月)単独決算は売上高が8割超の増収となった一方、6月末までの貴金属相場の下落を受けて減益を余儀なくされた。その分、貴金属相場が上昇した際の利益回復が見込まれる状況だ。無借金経営で自己資本比率は8割弱。配当利回りは4%台に上る。

 オークネット <3964> [東証P]は中古車やブランド品などを対象に、BtoBのオンラインオークションを運営。中古車の海外輸出向け需要が旺盛であり、8月4日の26年12月期第2四半期累計(1~6月)の連結決算発表にあわせ、通期の業績・配当予想を増額修正した。今期は最高益更新を計画。貴金属市況の上昇により中古買取・販売需要が高まれば、同社のファッションリセール事業に追い風となる。配当利回りは5%台と高水準。9月2日を基準日として、保有株式数の区分に応じ優待ポイントを付与する特別株主優待も実施する。

 バリュエンスホールディングス <9270> [東証G]は時価総額290億円弱のグロース銘柄で、買い取り専門の「なんぼや」などを展開。ブランド品・時計・貴金属などを買い取り、BtoBオークションや店頭、海外で販売するリユース大手だ。貴金属相場の上昇は消費者の持ち込み意欲を喚起するほか、仕入れ商品の販売単価上昇は利益拡大に寄与する。26年8月期第3四半期累計(25年9月~26年5月)の連結決算は売上高が前年同期比27%増、営業利益は同4.1倍となり、最終利益は通期計画を超過している。

 オリエンタルチエン工業 <6380> [東証S]は高耐久性の小型チェーンで競争力を持つメーカーで、医療機器などに展開。昨年11月に定款の一部変更を発表し、事業目的に金地金の売買や暗号資産の発行・売買などを加えた。29年3月期までの中期経営計画では金地金などを財務戦略資産として保有し、事業の中長期的な成長を下支えする基盤を構築する方針を示している。

 このほか、貴金属リサイクル関連の中外鉱業 <1491> [東証S]やフルヤ金属 <7826> [東証P]、松田産業 <7456> [東証P]に加え、リユース関連のBuySell Technologies <7685> [東証G]やコメ兵ホールディングス <2780> [東証S]、ブックオフグループホールディングス <9278> [東証P]、リユース品買い取りのマッチングサービスのウリドキ <418A> [名証N]などを注視しておきたい。

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