―データ処理の高速化・大容量化を実現、データセンターの省電力化にも効果―
中東での紛争が長期化するとの懸念から投資家のリスク回避姿勢が継続し、この日も日経平均株価が大きく下落した。ただ、こうしたなかでも有望テーマについて考えることを忘れてはならず、そのひとつが人工知能(AI)の普及やビッグデータの活用、IoT(モノのインターネット)及びクラウドサービスの拡大など、あらゆる領域でデータ処理の高速化・大容量化が求められていること。また、建設が相次いでいる データセンターでは電力消費と冷却コストが大きな問題となっており、これらを解決する革新的なアプローチとして注目されているのが「光電融合技術」だ。
●国内外で開発が加速
光電融合とは、光信号を扱う回路と電気信号を扱う回路を融合すること。光電融合の技術を使えばコンピューター(半導体)のなかでやり取りしている電気信号を光信号に置き換えることができる。光は電気よりも一度に送信できる情報量が多く、伝送中のエネルギー損失も少ないため、信号を光に置き換えることでネットワークの大容量化と低遅延化を図り、システム全体の低消費電力化につなげることが可能になる。
光電融合技術の実用化に向け国内外で研究開発が進んでおり、欧州連合(EU)は光電融合プロジェクト「ADOPTION Project(アダプション・プロジェクト)」を通じてCo-Packaged Optics(光学部品と半導体チップを同じパッケージ内に組み込み、電子の代わりに光をデータ送受信に使うことで、データ転送速度の向上と電力消費の削減に対応する技術)関連技術の開発を支援。米国では米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)などが光を使ってチップ間の接続性能を大幅に改善するプロジェクトを遂行している。
国内では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がグリーンイノベーション基金事業として、光エレクトロニクス技術の開発(光電融合デバイス開発、光スマートNIC開発)や光に適合したチップなどの高性能化・省エネ化技術の開発(省電力CPU開発、省電力アクセラレータ開発、広帯域SSD開発)などを推進。NTT <9432> [東証P]グループは光電融合技術を活用した「IOWN(アイオン)」というプロジェクトに取り組んでおり、2026年度中に光電融合デバイスを用いたスイッチを商用提供する計画だ。
高市早苗首相は25年10月24日の所信表明演説で「光電融合技術などによる徹底した省エネや燃料転換を進める」と述べていたこともあり、関連銘柄からは目が離せない。
●実用化を支える銘柄群
直近では米Plug and Play(プラグ・アンド・プレイ)の日本法人であるPlug and Play Japanが3日、デクセリアルズ <4980> [東証P]と光電融合を中心とした次世代フォトニクス領域におけるイノベーション創出を目的にパートナー契約を締結したと発表。Plug and Playが持つグローバルなネットワークを通じた先進的なスタートアップの発掘と、デクセリが長年培ってきたテクノロジー・事業基盤を連携し、次世代領域における共創案件の創出を目指すという。
オキサイド <6521> [東証G]は2月16日、台湾のレーザー微細加工装置メーカーのBolite社と業務提携したことを明らかにした。両社は提携を通じて、光電融合に代表される次世代デバイス向け加工ソリューションやダイヤモンドウエハーの平坦化及びCMP(化学機械研磨)基板に対応した高精度加工といったアプリケーションを起点に、半導体後工程向けレーザー微細加工装置の事業化を進める構えだ。
JX金属 <5016> [東証P]は2月10日、光通信分野を中心に需要が急増している結晶材料であるインジウムリン(InP)基板の生産能力を更に強化するため、設備投資を実施すると発表。27年度から段階的に稼働する予定で、生産能力は30年時点で25年比約3倍になる見通し。InPは光電融合技術でも採用が見込まれており、ボード内、チップ間、更にはチップ内での活用が期待されている。
湖北工業 <6524> [東証S]は25年12月、グループのエピフォトニクスが単結晶PLZT(鉛、ランタン、ジルコニウム、チタンの酸化物)薄膜ウエハーの販売を開始したことを明らかにした。このPLZT薄膜は現在光変調器などの光デバイスで用いられているLN(ニオブ酸リチウム)材料に対して約10倍の高い電気光学効果を持つほか、光損失を大幅に低減できることが特徴。これを生かした超高速光スイッチや超高速光変調器チップは光電融合やデータセンターの革新に貢献できるという。
新東工業 <6339> [東証P]は12月、光通信市場向けの精密寸法測定機「SMIC(エスミック)シリーズ」の販売を強化すると発表。光ファイバー接続用部品「MTフェルール」の寸法を高精度に測定でき、伝送損失を最小限に抑えられることから、光通信部品の寸法測定需要を取り込む構えで、早期に年間販売台数を20台以上に引き上げる方針だ。
●オプトランなども注目
これ以外の関連銘柄としては、光電融合企業にシフトする計画のオプトラン <6235> [東証P]、光通信やシリコンフォトニクス用の光源として最適な量子ドットレーザーなどを製造・販売するQDレーザ <6613> [東証G]、光電融合デバイスのテストソリューションを扱うアンリツ <6754> [東証P]、光部品関連事業を展開するsantec Holdings <6777> [東証S]、光電融合を可能とする光デバイスの開発に注力する精工技研 <6834> [東証S]、光技術に強みを持つ浜松ホトニクス <6965> [東証P]など。
光電融合技術を利用した新世代のデバイス及びネットワーク技術に関する研究開発を行っている光電子融合基盤技術研究所(PETRA)の組合員に名を連ねている古河電気工業 <5801> [東証P]、住友電気工業 <5802> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、三菱電機 <6503> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]、沖電気工業 <6703> [東証P]も要マークだ。
株探ニュース
関連銘柄
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