―AIDC建設ラッシュで浮き彫りとなった電力問題、次世代炉がもたらす劇的ソリューション―
爆発的なスピードで我々の日常と同期する生成AIは、その市場規模の急拡大に伴いさまざまな角度から経済に影響を及ぼしている。それは都合のよい話ばかりではない。人類に画期的な利便性や効率性の向上をもたらす一方、膨大な電力を消費することで、この電力エネルギーを今後どう調達していくかということが、AIデータセンター建設ラッシュの傍らで対応不可避の大きな課題として横たわっている。
ここにきてAIインフラの要ともいえる電源確保に向け、次世代原子炉 の存在がクローズアップされている。5500億ドル、日本円にして約86兆円規模の対米投融資では、その第2弾プロジェクトとして、次世代原子炉が有力候補に挙がっているのは周知の通りだ。高市早苗首相とトランプ米大統領の日米首脳会談が3月19日に行われる見通しだが、そこで公に発表される可能性も取り沙汰されている。
●電力爆食モンスターと化すAIデータセンター
次世代原子炉とは何か。まず、その定義が問題となるが、現時点でいくつかに大別されている。SMRと呼ばれる小型モジュール炉、そしてHTGRというヘリウムガスを活用した高温ガス炉。これ以外にもウラン資源を繰り返し使う高速炉や、フュージョンエネルギーを生み出す核融合炉、三菱重工業 <7011> [東証P]が開発を進めている革新軽水炉などが該当する。
そのなか、AIデータセンターへの電力供給ではSMRが有力で、これはインフラ面でコストや時間がかからないという利点がある。 データセンター建設にあたり、大規模な送電網インフラがセットということになれば、膨大なコストと時間がかかってしまうが、SMRであればデータセンターに隣接する形でプレハブ式の建設が可能であり、いわば超高出力の発電機を横に置くような形で、コストと時間の節約になる。株式市場でもAIインフラ構築の最重要項目である電力に絡み、これを生み出す次世代原子炉に関連する銘柄群ににわかにスポットライトが当たり始めた。
●AIモデルの進化が推論需要を劇的に増幅
米国株市場では、最近になってソフトウェア関連株への売り圧力が顕在化した。これは米新興AIのアンソロピックが高度なAIエージェント機能を付加したAIモデルを開発したことで、クラウドサービスを主力とする企業の存在価値を毀損するというのが売りのコンセプトであった。しかし、AIエージェントがハイスペックになればなるほど、それを提供するAIモデルには膨大な計算資源が必要となってくる。AI周辺企業の淘汰が進んだとしても、AIインフラが縮小均衡に向かうというシナリオはあり得ない。このアンソロピック・ショックは海を渡って東京市場にも伝播したが、その只中にあって古河電気工業 <5801> [東証P]やフジクラ <5803> [東証P]といった光ファイバーメーカーは大きく上値を伸ばした。
AIデータセンターの過剰投資懸念がマーケットを覆った昨年1月のディープシーク・ショック時まで時計の針を戻しても、実際当時からこれまでにビッグテックをはじめとするIT企業の投資意欲抑制につながった形跡はない。むしろ、トランプ米政権の後押しもあってAIデータセンター建設ラッシュは更に加速した。また、今回のアンソロピックがもたらした騒動を契機に意識されたのは、AIモデルの高機能化で発現する爆発的な推論需要がAIサーバーの増設ニーズを一段と飛躍させる、という構図であった。この一連の流れは、AIの動力源である電力確保の重要性に直結していく。
●米ビッグテックと三菱重の“本気”の先には
米国ではアルファベット
日本国内では三菱重が開発している次世代原子炉「SRZ―1200」に注目が集まっている。これは前述の革新軽水炉で、PWR(加圧水型炉)の技術を発展させ、飛躍的に安全性・信頼性を高めたもの。こちらも30年代に商用運転スタートを目指している。また、ごく最近ではIHI <7013> [東証P]が原発部品の増産に200億円程度を投資する方針も報じられている。世界的に注目度が高まる次世代原子炉の新設需要をにらんだものであり、両社に限らず今後こうした動きは一段と活発化していくことが予想される。
今回のトップ特集では「次世代原子炉」に絡み、新たなビジネスチャンスをつかむ可能性が高まってきた有望株を5銘柄厳選した。次世代原子炉は日米の共同プロジェクトでも有力候補に挙がっているいわば国策主導のブライトスポットであり、株式市場においても中期的に色褪せることのない投資テーマとして、出世株を輩出していくことが必至だ。
●次世代原子力をリードする有望5銘柄はこれだ!
【ホトニクスはレーザー核融合発電の中核企業】
浜松ホトニクス <6965> [東証P]は光電子増倍管で世界シェア9割と典型的なグローバル・ニッチトップに位置付けられる。生成AI市場の急拡大を背景に非破壊検査装置向けX線光源でAIサーバーの基板検査需要を取り込む。また、レーザー核融合発電に関してはキーカンパニーとして注目度が高い。昨年7月には大阪大学発の核融合スタートアップであるEX―Fusionとの共同実験で大出力レーザーの長時間連続照射で世界初の成功を収めたことを発表している。内閣府が策定する核融合の官民投資ロードマップにおいても、同社は国策に乗る重要ポジションに位置する企業として改めて脚光を浴びる可能性がある。足もとの業績は人件費などのコスト増加で向かい風も意識されるが、光分野における技術力の高さを武器に中期的な成長シナリオに陰りは見られない。26年9月期は営業利益段階で前期比6%増の172億円を見込むほか、27年9月期以降は2ケタ成長路線への復帰が有力視される。
株価はここにきて動兆著しく24年11月以来約1年3カ月ぶりに2000円台を回復した。24年9月の株式2分割後では最高値圏に位置するが、上場来高値は23年5月の3795円(修正後株価)と天井は高い。目先は25日移動平均線との上方カイ離修正場面を狙うスタンスを基本に分散して買い溜めておく。長期波動でみて2600円前後までは滞留出来高が少ないため、上値は次第に軽くなるケースが考えられる。
【新日本空調は高技術力駆使し次世代炉でも活躍へ】
新日本空調 <1952> [東証P]は三井系の空調設備工事会社で、半導体のクリーンルームやAIデータセンター関連の受注実績はもちろん、原子力施設に関する案件では早くから保守点検も含めて先駆的な存在であり、他社と一線を画す実力を誇っている。次世代原子炉についても、精緻で安全性の高い気流制御技術を有する同社の活躍余地は非常に大きいと判断される。業績もここ数年来、好調を極めている。25年3月期の営業利益は前の期比23%増の113億4600万円と初の100億円台乗せを果たしたが、続く26年3月期も期初予想から大幅に上方修正し、前期比21%増の137億円と高成長路線をまい進する見通しだ。更に27年3月期は伸び率こそやや鈍化する可能性はあるが増収増益トレンドに変化はなく、売上高・利益ともに過去最高更新基調を続ける公算が大きい。今期配当は従来計画の80円に30円上乗せの110円を計画するなど、株主還元姿勢も高く評価されている。
株価は昨年4月下旬に大きく上放れる形となり、今なお強力な長期上昇トレンドを継続中だ。直近つけた4400円の上場来高値まで1年弱で2.2倍化しており、時価はひと押し入れているものの、早晩青空圏に再浮上しそうだ。当面は5000円台乗せが目標となろう。また、宇宙関連のスタートアップに出資していることは、原発向け空調で培った高度なエンジニアリングの宇宙空間への活用という夢を連想させ、長期保有で妙味が大きい。
【神島化は高出力レーザー増幅で必須素材を製造】
神島化学工業 <4026> [東証S]は不燃外装材を主力とする建材や、マグネシウム、セラミックスなどの化成品を手掛ける老舗化学メーカーとして実績を積み重ねてきた。世界トップクラスのセラミックス透明化・緻密化技術を有しており、セラミックス製品に関してはレーザー装置のキーデバイスとして活用されている。レーザー核融合発電分野において同社が製造する特殊な多結晶材料である「透明YAGセラミックス」が高出力レーザーの増幅に不可欠な材料として重要な役割を担うほか、JAXAを中心に研究開発を進める「宇宙太陽光発電システム」などでも大きく貢献している。業績面では、建材事業での値上げ効果や化成品部門で工業用酸化マグネシウムの拡販が寄与している。26年4月期上期(25年5~10月)の営業利益は前年同期比19%増の12億1000万円と好調を維持、通期ベースの同利益は前期比23%増の22億円を見込んでいる。
株価は2月上旬を境に上放れを鮮明とし、直近1900円台まで上値を伸ばし昨年来高値を更新中。2000年以降の高値は21年9月につけた3305円で、時価は依然としてそこから40%程度ディスカウントされた水準にある。当面は24年9月につけた高値水準である2200円どころを目指す動きが想定される。時価予想PERは12倍近辺で割安感があるほか、21年4月期以降は毎期増配を繰り返していることも株高トレンドを後押しする。
【日ギアはSMR向けリミトルクで需要囲い込みへ】
日本ギア工業 <6356> [東証S]は歯車及び歯車装置メーカーとしてニッチトップの実力を遺憾なく発揮するとともに、その技術を横軸展開させたバルブ・アクチュエーターなどで需要を開拓。部品やユニットを組み立てて完成品を製造するアッセンブリーの領域にビジネスの舞台を広げている。バルブ・アクチュエーターでは原発で求められる高温・高圧・放射線下という極めて厳しい環境に置かれても正確に作動する「リミトルク」で他社と一線を画す商品競争力を誇っている。対米投融資でカギを握る小型モジュール炉(SMR)でも同社製品は世界的なコアテクノロジーとして重要なポジションを担う公算が大きい。業績面では、26年3月期は小幅ながら減収減益見通しにあるが、27年3月期には再び増益トレンドを確保し、24年3月期に記録した営業最高益である21億2800万円を上回る可能性が高い。200億円未満の時価総額は評価不足歴然といえそうだ。
株価は2月19日にストップ高に買われ、翌20日もザラ場ストップ高を演じる異彩の上昇パフォーマンスをみせた。これはNHKが日本の対米投融資の第2弾として次世代型原子炉の建設に関する具体的な検討が進められていると報じたことによる。その後は利食われたが、1000~1100円台はPERなどからも割安感があり、押し目買いニーズが強い。1400円台半ばを通過すれば最高値圏に突入し、大相場に発展する可能性も。
【重松製はマスクと防護服で実績、急騰習性に着目】
重松製作所 <7980> [東証S]は産業用防塵・防毒マスクで高い商品シェアを有しており、かなり以前から防衛関連の有力銘柄として認知されている。また、原子炉のメンテナンスなどで必須となる防護服の提供でも抜群の実績を誇る。同社が手掛ける電動ファン付き呼吸用保護具は有害物質を除去した清浄空気を、電動ファンでフェイスシールド内へ送る構造になっており、高い防護性能と快適性を両立させている。次世代原子炉の普及局面では、技術力の高さで秀でた同社の存在感が高まる公算は大きい。業績は25年3月期に営業36%増益で13年ぶりに10億円台に乗せた。続く26年3月期の同利益は前期比12%増の12億円見通しと2ケタ成長を見込むが、これは進捗率から未達の可能性が高いため、その点は念頭に置いておく必要がある。ただ、株価面では既に織り込みが進み、信用買い残も低水準で上値は軽い。PER7倍台でPBR0.7倍台とバリュエーションの割安さも際立つ。
株価は2月に入ってからにわかに動意含みの様相を示している。直近は大口資金の流入が観測されるなか、20日に946円の昨年来高値をつけた。その後は調整を入れているが、早晩切り返し約4年ぶりの4ケタ大台回復も視野に入りそうだ。仕手系材料株として人気化素地があり、20年1月には800円前後から2795円の高値まで短時日で駆け上がった経緯がある。
株探ニュース
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
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1952
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4,185.0
(02/27)
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+140.0
(+3.46%)
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4026
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1,990.0
(02/27)
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+85.0
(+4.46%)
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5801
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28,100.0
(02/27)
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+95.0
(+0.33%)
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5803
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26,765.0
(02/27)
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-700.0
(-2.54%)
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6356
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1,179.0
(02/27)
|
+54.0
(+4.80%)
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6965
|
2,023.5
(02/27)
|
+23.0
(+1.14%)
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7011
|
5,014.0
(02/27)
|
+113.0
(+2.30%)
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7013
|
4,303.0
(02/27)
|
+143.0
(+3.43%)
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7980
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897.0
(02/27)
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-4.0
(-0.44%)
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