ドルカナダ、もう一段の下値切り下げとなるか

著者:津田隆光
投稿:2025/07/04 10:03

「1.35000カナダドル」割れなら下降モメンタムが加速する可能性も

ドルカナダ・週足・複合チャート
ドルカナダ・週足・複合チャート出所:トラリピFX/CFDチャート

【注目ポイント】「1.37500カナダドル」超えの動きがあるか否か
【シナリオ①】同レート超えなら、「1.40000カナダドル」付近までの上昇も
【シナリオ②】同レートでの上値抑制なら、「1.34300カナダドル」割れを模索しそう
【1カ月程度の“主戦場”(コアレンジ)】「1.34300~1.40000カナダドル」


6月半ばから同後半にかけて、中東情勢の緊迫化に伴う“有事の米ドル買い”もあり、一旦上値を試す動きも見られた米ドル/カナダドル(以下、ドルカナダ)。タイムフレームを週足チャートに替えて俯瞰してみると、今年の2月に高値を示現した後、徐々に下値を切り下げる動きが継続していることが視認できます。今後、もう一段の下値切り下げとなるのでしょうか。


上図をそれぞれ見ていくと、1) 26週MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を下抜ける“逆転”が示現していること、3) ローソク足の上方に赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)があること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりでの推移になりつつある(上図青色点線丸印)ことから、現在のドルカナダ・週足チャートは下降トレンド継続を示すチャート形状であると判断します。

その他では、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・-1σラインと同・-2σラインの間を推移する“下降バンドウォーク”、さらにはⅱ) BB・±2σラインが拡張する“エクスパンション”がそれぞれ示現していることを合わせると、今後のドルカナダはもう一段の下値切り下げとなる蓋然性(がいぜんせい)が高そうです。


そんな中、今後の注目ポイントは・・・BB・-1σラインをメドとする「1.37500カナダドル」(上図黄色矢印および黒色線)超えの動きがあるか否か。

筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
この先、「1.37500カナダドル」を終値ベースで上回る動きとなった場合は、「下降バンドウォーク崩れ」→「反省/修正相場を伴う戻りフロー」となる可能性も。当該ケースでは、「SARの買いサイン継続」や「遅行スパンのローソク足への近接」、また「-DI>+DIの乖離縮小」なども伴いながら、赤色雲の下辺である先行1スパンをメドとする「1.40000カナダドル」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇もあり得そうです。ただし、現状では赤色雲が厚い形状(=強い上値抵抗帯)となっているため、上値余地は限定的でしょう。

[シナリオ②]
一方で、「1.37500カナダドル」超えが不達(=上値抑制)であった場合は、「下降バンドウォークの継続」→「もう一段の下値切り下げ」となりそうです。当該ケースでは、「SARの売りサインへの転換」や「(心理的な節目である)1.35000カナダドル割れ」、また「-DI>+DIの乖離拡大」なども伴いながら、200週MAをメドとする「1.34300カナダドル」(上図Ⓑ水色線)割れを模索する展開となりそうです。特に、上述した「心理的節目の1.35000カナダドル割れ」が示現した場合は、買い方の投げ売りや狼狽(ろうばい)売りといった心理的な要素も伴いつつ、下降モメンタムが強まるトリガーとなり得るため、刮目すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、現下のドルカナダはもう一段の下値切り下げを模索する相場付きとなる中、当面※は「1.34300~1.40000カナダドル」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は、1カ月程度のスパンを想定しています。)

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想