米ドル/円、米中関税協議が相場動意となりそう

著者:津田隆光
投稿:2025/05/09 10:04

もう一段の上値トライとなるか

米ドル/円・日足・複合チャート
米ドル/円・日足・複合チャート出所:トラリピFX/CFDチャート

【注目ポイント】「145.000円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①】同レートでの下値サポートなら、「150.000円」付近までの上昇も
【シナリオ②】同レート割れなら、「140.570円」付近までの下落を想定
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「140.570~150.000円」
【注目材料】米中関税閣僚級協議@スイス


4月22日に、昨年9月16日以来の安値となる「139.877円」まで下落した米ドル/円。その後は、「下値固め」→「反発/上昇フロー」となり、徐々に上値を切り上げる相場付きとなっています。この先、もう一段の上値トライとなるのでしょうか。

上図の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態(上図黄色丸印)となっていること、3) ローソク足の下方に赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなり、ADXが右肩下がりでの推移となっている(上図赤色点線丸印)ことから、現在の米ドル/円・日足チャートは上下圧力が拮抗するレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。

その他では、BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインが収縮する“スクイーズ”となっていることを合わせると、足もとの米ドル/円は相場の力を溜め込みつつ、方向感を模索する時間帯/局面であると捉えて良いでしょう。


そんな中、喫緊の注目ポイントは・・・心理的な節目である「145.000円」(上図黄色矢印および黒色線)で下値サポートされるか否か。

筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
この先、「145.000円」で下値サポートされた場合は、「(心理的節目での)下値固め」→「もう一段の上値トライ」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転”示現」や「上昇バンドウォークの継続」、また「+DI>-DIの乖離拡大」なども伴いながら、200日MAをメドとする「150.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇を想定すべきでしょう。

[シナリオ②]
一方で、「145.000円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「心理的節目の割り込み」→「もう一段の下値切り下げ」となる可能性も。当該ケースでは、「SARの売りサインへの転換」や「21日MA(≒143.240円)割れ」、また「+DI>-DIの乖離縮小」なども伴いながら、BB・-2σラインをメドとする「140.570円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落を想定すべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、米ドル/円については方向感を模索する相場付きとなる中、当面※は「140.570~150.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。 (※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)


足もとでは、10-11日にスイスで予定されている米中関税閣僚級協議での両国の動向やそれに対する市場の思惑などが、週明けの米ドル/円の相場動意となりそうです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想