【QAあり】雨風太陽、新経営体制を発表 来期黒字化に向けた成長戦略と株主優待制度導入で第2創業期をスタート
ミッション/ビジョン
高橋博之氏(以下、高橋):みなさま、こんにちは。代表取締役の高橋です。これより、株式会社雨風太陽の新経営体制説明会を開催します。よろしくお願いします。
はじめに、当社のミッション・ビジョンをご説明します。ミッションは「都市と地方をかきまぜる」です。現在、都市と地方が分断しています。当社はその社会課題をビジネスの力で解決すべく、起業した経緯があります。
都市と地方が分断していると、国力が弱っていきます。そして、安定的に輸入できる環境も、盤石ではなくなっていきます。その時に、国内の生産基盤、また地方を持続可能なものにしていくことが、内政上の最重要課題だと考えています。国や自治体に頼るだけでなく、民間の経済も回すことで、都市と地方をつないでいくことが大切です。
我々は、課題をビジネスで解決しながら、会社としても成長していきます。逆に言えば、我々が成長しなければ課題は解決されず、日本の未来はありません。そのような気持ちで、これからも取り組んでいきたいと思っています。
私たちの考える関係人口創出の目標
日本の人口は、このままいけば2050年に1億人を切ると考えられています。それは地方部において、2,000万人がいなくなるということです。しかし、2,000万人の人々が都市と地方を往来すれば、7兆円規模の市場が生まれます。我々は、そこを会社としてしっかりと取りにいくことで、成長を目指したいと思っています。
沿革
沿革についてご説明します。生産者が直販する市場は、2013年にはありませんでした。我々はもともとNPOでしたので、食べ物の裏側に隠れて見えなくなっている生産者を可視化し、消費者と双方向でつなげ、付加価値を創出する新しい流通を生み出しました。
それを一般社団法人で全国に展開し、スケールするために株式会社化しました。「ポケットマルシェ」では、コロナ禍の巣ごもり需要を取り込むかたちで成長を図り、昨年度、東証グロース市場に上場しました。
ここまでが、ホップ・ステップ・ジャンプで言えば、まさに「ホップ」の部分です。私が提唱してきた「関係人口」という概念も、ようやく多くの人々に認知されるようになりました。
今後、「ステップ」の部分で「関係人口」を社会に実装しながら、会社として成長していかなければならず、第2創業期、第2章に入っていくところです。
代表取締役の異動(25.1.1〜)
その第2章を回していく、新しい経営体制を発表します。代表取締役を私と権藤の2名とし、車の両輪として走っていきます。先ほどご説明したとおり、我々の創業の経緯はNPOです。非営利活動がソーシャル・アセットを生み出し、そこから新しい事業が生まれ、共感する方々が出資し、サービスを利用します。それにより、ここまで事業を続けることができました。
私が0から1を生み、権藤が1から10、10から100へと、事業を成長させていきます。インパクトの部分は主に私が、マネタリーベースの部分は権藤が見ていくというように、明確に役割分担する中で、非連続な成長を目指していきたいと思っています。
組織の変更(25.1.1〜)
体制として、代表取締役は2名、「事業統括部門」を権藤が、「インパクト共創室」を私が担当します。
今後10年の位置付け
権藤裕樹氏(以下、権藤):2025年1月より、代表取締役副社長に就任することとなりました、権藤です。今後は高橋と二人三脚で、事業成長、企業価値向上、そしてインパクトの創出に取り組んでいきたいと思っています。
今後の方針について、具体的にご説明します。今後10年は「2050年の関係人口2,000万人創出」に向けて、第2章と位置付けて取り組んでいきます。
これまでの10年は、「食べる通信」から始まり、「ポケットマルシェ」へと続き、食を中心として事業展開してきました。
今後の10年は、企業・自治体向けサービス、個人向け旅行関連サービスなど、「ポケットマルシェ」以外の事業の柱を、複数確立していきたいと考えています。定量的には、来期の黒字化を1つの通過点としながら、非連続な事業成長を続けていきたいと思います。
成長戦略
成長戦略について、ご説明します。当社の事業は4つの柱で構成されており、1つ目が、現在の柱である、「ポケットマルシェ」を中心とした個人向け食品関連サービスです。今後も、この収益力を強化していきます。
2つ目が、企業・自治体向けサービスです。こちらの取引領域を拡大するとともに、自治体数も増加させていきます。これらにより、サービスを成長させていきたいと考えています。
3つ目は、個人向け旅行関連サービスです。こちらも生産者が提供する体験と宿泊を組み合わせながら、事業を拡大していきたいと思っています。
4つ目は、新規事業です。M&Aにも積極的に取り組みながら、非連続の成長を続けていきたいと考えています。
個人向け食品関連サービス|サービス概要
各サービスについて、具体的にご説明します。1つ目は、現在の主力サービスである、個人向け食品関連サービス「ポケットマルシェ」です。こちらは、既存の中間業者が存在するサービスとは違い、生産者と消費者が直接つながるサービスです。
個人向け食品関連サービス|成長戦略
我々が属しているのは、食品EC市場です。こちらも年々成長を続けています。また、物販系分野全体のEC化率と比較した時に、食品市場のEC化率は低いため、さらなるEC化の余地があると考えています。
この市場成長を取り込みながら成長を続け、その中で収益力をより向上させていきたいと思います。
企業・自治体向けサービス|サービス概要
2つ目は、企業・自治体向けサービスです。多くは、自治体をターゲットとした事業です。自治体は、社会課題のデパートのように、非常に多くの課題を抱えています。そこに対して、我々が全国各地で培ったノウハウを活かしながら、サービスを提供していきます。
企業・自治体向けサービス|成長戦略
成長のイメージ図です。我々は、横軸・縦軸の両面で成長することを考えています。まず、横軸については、我々が提供している「ポケットマルシェ」というサービスを軸に、販路拡大などを支援する事業をメインとして行ってきました。
現在は、個人向け旅行関連サービスや、地方の婚活を支援するような事業も始めています。今後は、このような幅広い領域へのサービス展開を通じて、横軸の広がりを図っていきたいと考えています。
一方、縦軸は記載のとおり、2024年度の取引自治体数が約40自治体となっています。全国には1,700近くの自治体があり、まだ縦の広がりも拡大できると思っています。
今後はソリューション開発に十分に取り組みながら、人員体制も強化していくことで、より大きなマーケットを獲得していきたいと考えています。
個人向け旅行関連サービス|サービス概要
個人向け旅行関連サービスでは、主に2つのサービスを提供しています。その1つが「ポケマルおやこ地方留学」と呼ばれるもので、夏休みや冬休みなどの長期休暇中に、親子で地方に行き、親がワーケーションをしている間、子どもが生産者のもとで農業、漁業などを体験するようなプログラムになっています。
個人向け旅行関連サービス|サービス概要(関連会社サービス)
もう1つは、我々の関連会社が提供している「STAY JAPAN」というサービスです。こちらは宿泊予約ができるOTA(Online Travel Agent)のサイトで、農泊や民泊など、全国各地にあるユニークな宿泊施設を掲載しています。
個人向け旅行関連サービス|成長戦略
成長戦略です。基本的には「おやこ地方留学」の地域数を徐々に広げ、それらの地域に対し、マーケティングで顧客を十分に獲得していきます。
もう1つは、大きくなっている訪日インバウンド市場に対し、我々の持っている生産者のネットワークを活用し、体験と宿泊をセットで販売していきます。それにより、訪日インバウンドの需要も取り込んでいきたいと考えています。
株主優待制度
株主優待制度です。株主のみなさまへの感謝の気持ちを表すとともに、当社のサービスである「ポケットマルシェ」をぜひご利用いただきたいと思い、株主優待制度の導入を決定しました。
スライドに記載のとおり、保有株式数に応じて内容が変わっていきます。具体的には、1単元を保有している方には、2,000円分のクーポン券を1枚、2単元で2枚、3単元で3枚、4単元で4枚となります。そして、5単元以上は5枚となっています。
質疑応答:新規事業やM&Aの想定について
司会者:「新規事業やM&Aは、どのようなものを想定されていますか?」というご質問です。
権藤:現時点では、具体的に公表できる事実はありません。ただし、我々がどのような領域で勝負しているのかというと、関係人口の創出です。
現在は、食品関連サービス、旅行関連サービス、婚活支援などに取り組んでいますが、都市と地方をつなぐチャネルにはさまざまなものがあると考えています。その中から、我々の一番のアセットである、生産者、自治体、地域の方々とのネットワークを活かし、最も効果的に実現できる事業にも積極的に挑戦していきます。
質疑応答:来期の黒字化見込みについて
司会者:「来期の黒字化の蓋然性について、どのように考えていますか?」というご質問です。
権藤:来期に黒字化を予定していますが、この黒字化の一番のドライバーは「ポケットマルシェ」、つまり個人向け食品関連サービスです。
サービス別の収益は開示していませんが、個人向け食品関連サービスでは、昨年度から今年度にかけて約1億円の収益を積み増している状況です。そして、今年度から来年度に向けても、同程度の収益力の強化を予定しており、一番の収益の柱になると考えています。その他のサービスとも組み合わせながら、黒字化を実現していきたいと思います。
質疑応答:「ポケットマルシェ」事業の成長戦略について
司会者:「『ポケットマルシェ』事業については、具体的にどのように成長させていくのでしょうか?」というご質問です。
権藤:先ほどお伝えしたとおり、「ポケットマルシェ」は食品ECというマーケットで事業を展開しています。EC化率の上昇とともに、市場が成長していくところもあるため、その軌道に乗せて、事業を着実に成長させていくことが大事だと思っています。
また、このサービスの特性として、顧客に非常に長く利用していただいている点が挙げられます。今後は広告宣伝費も効果的に活用しながら、新規顧客の獲得を進め、顧客基盤をさらに拡充していきたいと考えています。
質疑応答:企業・自治体向けサービスの業績改善に向けた今後のプランについて
司会者:「第3四半期時点で、企業・自治体向けサービスは想定を下回る進捗だったかと思います。今後の改善プランについて教えてください」というご質問です。
権藤:従来であれば、企業・自治体向けサービスは、事業としてもう少し成長していくと予想していました。しかし、今年度はそれを達成することができませんでした。これにはさまざまな要因がありますが、一番は商品力です。
自治体に対する「ポケットマルシェ」を活用した食品関連のコンサルティングサービスの提供は一定の成果が出ています。そのため、今年度は、食品以外の領域、例えば移住・定住・旅行支援などの領域にサービスを広げていきたいと考えていました。しかし、そうした新しい領域での商品力が足りず、想定していた事業成長が実現できなかったと分析しています。
今期は人員拡大を先行しましたが、来期は売れる商品をきちんと作り、その上で売れる体制を作る循環を回していきたいと思っています。
例えば、当社は、地方と都市を結ぶ、結婚相談所事業を立ち上げています。自治体は少子高齢化に対して大きな予算をつけていますので、結構相談所の事業を展開していることで、我々が少子化対策の事業を受託する可能性も高まると考えています。
このように、自治体を意識した事業も立ち上げていることも、自治体に販売できる商品を作っていく戦略の1つとして取り組んでいます。
質疑応答:「インパクト共創室」とP/Lへの影響について
司会者:「『インパクト共創室』について、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか? また、P/Lへの影響があれば教えてください」というご質問です。
高橋:我々はすでに取り組んでいる事業について、独自のインパクト指標として、「生産者と消費者の顔の見える流通総額」「生産者と消費者のコミュニケーション量」「都市住民が生産現場で過ごした延べ日数」の3つを設定しています。
例えば、私は今年1年、能登半島の復興にかかわってきましたが、そこで生み出した社会的インパクトは、計測できていません。「インパクト共創室」は、事業活動外の取り組みも含め、当社のインパクト全般を取り扱うチームです。来期は、インパクトをしっかりと評価する体制を、拡充していくことになると思います。
P/Lへの影響についてですが、中長期的な非営利活動により生み出されたソーシャルアセットを通じて、事業外活動が生まれます。さらに本体の事業で、新たな活動が生まれます。そのような意味では、長期で影響を与えることもあると思っています。
質疑応答:中長期での事業領域・規模について
司会者:「5年、10年の中長期では、どの領域で事業を展開し、どのくらいの規模になっていくのでしょうか? イメージを教えてください」というご質問です。
権藤:現在、当社は事業領域を広げているものの、売上構成比として食品事業が高くなっています。そのため、5年から10年かけて、地方創生や関係人口に資する事業の柱を複数に増やしていきたいと思っています。具体的には、企業・自治体向けサービスや個人向け旅行関連サービスに短期的には注力していきます。
質疑応答:株主優待制度の内容と意図について
司会者:「株主優待制度について、現在の内容となった理由について教えてください」というご質問です。
権藤:生産者から直接食材を購入できる「ポケットマルシェ」は、幅広い方がご利用いただけますので、株主のみなさまにぜひご体験いただければと思っています。
産地直送の食材の良さを実感いただくとともに、生産者との直接のコミュニケーションを経験していただきたいと考えています。
質疑応答:今後の注力領域・事業について
司会者:「『ポケットマルシェ』、企業・自治体向けサービス、個人向け旅行関連サービス、M&A、新規事業のうち、どこに最も注力していく予定ですか?」というご質問です。
権藤:現在、3つの事業を展開しています。いずれも重要な事業ですが、成長フェーズが異なります。
我々は今後、「ポケットマルシェ」の事業から、複数の事業へと展開していくことに注力していきたいと考えています。そのような観点からは、企業・自治体向けサービス、そして、インバウンド市場も含めて取り込んでいきたいと考えている旅行関連サービスを柱として確立することが重要なことだと考えています。
高橋氏からのご挨拶
高橋:以上をもちまして、当社の新経営体制説明会を終了します。今後も変わらずご愛顧のほど、よろしくお願いします。
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