【QAあり】アイビス、売上高・営業益・営業益率・「ibisPaint」シリーズサブスク売上とも過去最高 来期配当性向5%アップを決定

投稿:2024/11/29 15:00

欧米のアクティブユーザ数 4年連続No.1

神谷栄治氏(以下、神谷):株式会社アイビス代表取締役社長の神谷です。2024年12月期第3四半期決算についてご説明します。

当社の主力製品である「ibisPaint」は、日本企業発のアプリとして、欧米のアクティブユーザ数4年連続1位、全世界でもトップ3に入っています。

栄枯盛衰が激しい世界(特に欧米)のアプリ市場の中で当社がMade in Japanを牽引

ランキングのグラフです。「ibisPaint」は、欧米では1位を獲得し続けており、全世界では3位となっています。全世界1位が「LINE」、「ibisPaint」に続く4位が「PlayStation App」です。「ibisPaint」は日本国内有数のアプリとなっています。

3Q決算及び通期計画のサマリ

第3四半期のサマリです。まず、第3四半期の決算についてです。全社の営業利益は過去最高を記録しました。モバイルセグメントは、アプリ広告売上がやや不振でしたが、収益性が高いサブスクが契約数・売上ともに前年比で2倍以上に増加しました。サブスクが成長ドライバーとして順調に進化中です。

昨今、株価が急落しており、大変申し訳なく思っています。おそらく、アプリ広告売上に関して、不安になられた方が多かったのではないかと感じています。

また、第2四半期の後に、計画の上方修正を発表したにもかかわらず、未達となる予想をしたため、不安になられた方が多かったかと思っています。私を含めて社内では、いろいろ反省するところがあり、改善するためのディスカッションを日々行っています。

ソリューションセグメントは、ITエンジニア数が上場後初の前四半期比で減少となっています。開発の人員の採用を前倒しで行ったこと、また高収益案件が獲得できたことで、売上利益は増加しました。売上単価向上は非常に良かったと思っています。

通期の計画については、モバイルセグメントにおけるアプリ広告売上不振等を背景に、第2四半期で発表した上方修正値より、全社の売上利益ともに下振れを予想しています。

アプリ広告売上不振は、自社施策の不調が主な原因ですが、来期は一定の回復を予想しています。ソリューションセグメントは、先期の採用に一部ミスマッチがあり人員は減少していますが、売上利益については、高収益案件等もあり問題はないという認識です。人員の採用については、来期は順調に進めていきたいと思っています。

株主還元については、第2四半期の計画修正時に開示しましたが、配当金40円を予定しています。株主還元施策では、配当性向の今期の目安を15パーセントから20パーセントとしていますが、来期は5パーセントプラスし、20パーセントから25パーセントを計画しています。

全社 FY2024/12 3Q決算ハイライト

第3四半期の決算についてです。第3四半期の売上高は、前年同期の28億5,000万円から34億9,000万円となりました。前年同期比22.5パーセント増となっています。

営業利益は、前年同期の3億1,000万円から8億5,000万円となりました。前年同期比168.7パーセント増と約2.7倍になっています。

営業利益率は前年同期の11.1パーセントから24.4パーセントとなりました。前年同期比119.4パーセント増と約2.2倍になっています。

「ibisPaint」シリーズサブスク売上は、前年同期の2億2,000万円から4億7,000万円となりました。前年同期比114.8パーセント増と2倍以上に増えています。

全社 FY2024/12 3Q業績推移

全社売上の推移をスライド左側のグラフに示しています。前年同期に比べて売上高の伸び率は上がっていますが、モバイルセグメントの比率が下がっています。これは、ソリューションセグメントの売上成長率のほうが高かったためです。

スライドの右側に示した利益についてです。経常利益は前年同期比178.7パーセント増で、約2.8倍に増えています。当期純利益も前年同期比208.9パーセント増と約3倍に増えています。営業利益率も24.4パーセントと急速に良くなっています。

セグメント別 FY2024/12 3Q業績推移

セグメント別の内訳です。モバイルセグメントの売上高が前年同期比18.2パーセント増、ソリューションセグメントの売上高が前年同期比28.5パーセント増でした。ソリューションセグメントのほうが成長率は高かったことになります。

スライドのグラフをご覧いただくとわかるとおり、モバイルセグメントは、前年同期は伸びが止まっていましたが、今期は18.2パーセント伸びました。ソリューションセグメントは、昔は伸び率が低かったのですが、急速に良くなっている状況です。

セグメント利益についてです。モバイルセグメントは前年同期比95.2パーセント増で、2倍弱に増えています。ソリューションセグメントは前年同期比138.1パーセント増で、約2.4倍の大幅な増加となっています。

モバイルセグメントの利益率は50.8パーセントで、かなり利益率が高い事業と言えると思います。ソリューションセグメントは、2023年度にエンジニアの増員でかなりアクセルを踏んだため、その分、利益額・利益率が下がっています。今期に関しては、アクセルを少し緩めたこともあり、過去最高益となり利益率も戻ってきています。

モバイルセグメント FY2024/12 3Q業績推移

セグメントの詳細な内訳です。モバイルセグメントは、アプリ広告売上が前年同期比24.8パーセント減、サブスク売上が前年同期比115.6パーセント増と2倍以上になっています。

スライドのグラフをご覧いただくとわかるとおり、サブスク売上が伸び、アプリ広告売上が下がっているかたちです。2023年度は、第1四半期、第2四半期の景気は悪かったのですが、第3四半期、第4四半期の景気は良好でした。

最近情報が入り判明したのは、周りのモバイルアプリの広告市況よりも調子が良かったため、2023年度の後半に売上が伸びたということです。

一方で下がっているところは、今年春頃の広告施策の問題が一番大きいと見ています。広告施策は、「こうすると広告売上が伸びるのではないか」と、日々いろいろな切り口で考えて、仮説を立てて、実行しています。実行すると結果が出ますので、施策実行前と施策実行後で、1週間ごとの収益率が上がっているのか、下がっているのか、仮説が合っていたのか、合っていないのか、そのようなPDCAサイクルを継続的に回して、何年も行ってきています。

4月に実施した施策も、「iPhone」「iPad」「Android」スマートフォン・タブレットのように、デバイスの種類を分けて実行しています。また、国別にも細かくセグメントを分けて分析したり、施策を実行したりしています。

施策を一気にすべてのセグメントで実行して1週間測ります。その結果、「このセグメントはプラスだった」「プラス1パーセントだった」「プラス2パーセントだった」といったことが出てきます。「マイナス1ポイントだった」といった場合は、「そこのセグメントはキャンセルして元に戻そう」というかたちで実行していました。

軽微なものはそのようなかたちで実行しますが、もっと時間をかけてプログラムを修正したり、計測する情報に関して、「この情報も取得したほうがよいのでは?」という場合には、事前にプログラムを修正したりしてから、そのような施策を実行していました。

スマホやタブレットの広告市況は常に上がったり下がったりします。高いところと低いところで倍ぐらい差があるような波があります。

下がると、「市況の問題かな」「アクティブユーザ数は変わっていないよね」「インプレッション数は変わっていないけど、下がっているのは広告のせいかな」というように、日々分析しています。

最近、周りのスマホ用の広告枠についての市況の情報が手に入り、「他の会社より、当社のほうが少し悪い」ということがわかってきました。そして過去にさかのぼって調べたところ、いろいろな施策を打った中で、「これではないか」というものが浮かんできました。

当社の場合、広告施策では、「Google広告」を主体で使っています。「Google広告」はAIで常に最適化を行っているため、我々は、「『Google広告』は、このようなアルゴリズムではないだろうか」といったことを想像して仮説を立てます。

その後、施策を打ってみて、得られた分析結果から、仮説が合っているか、合っていないかを分析します。もちろんGoogleのアルゴリズムも日々変わっていきますので、そのような中で、PDCAサイクルを回しながら運用をしてきています。

「これのせいで良くなかったのではないか」という施策に関しては、キャンセルする作業を今、続けているところです。来年には、ある程度回復すると考えています。「ある程度」と言ったのは、毎年、広告の景気の上がり下がりがあるためです。

2023年度の第4四半期は上がっていますが、第4四半期に上がる年と、上がらない年があります。上がる年のほうが多いのですが、今期に関しては、まだ見えていないところもあります。

グラフをご覧いただければわかるとおり、モバイルセグメントの利益は、このようなかたちで増えています。売上総利益率が下がっていますが、エンジニア採用への投資が原因となっています。エンジニアは、競合と戦う上での源泉となりますので、計画的に増やしてきています。

ソリューションセグメント FY2024/12 3Q業績推移

ソリューション事業部です。ソリューション事業部の売上は、IT技術者派遣が前年同期比8.2パーセント増、受託開発の売上が前年同期比129.8パーセント増で約2.3倍になっています。第2四半期と比較して売上が若干下がっている原因としては、エンジニアの数が減っていることが挙げられます。

2023年度は採用を強化するためにアクセルを強く踏みました。そのため、2023年度は利益が減りましたが、一段落して、今期の第3四半期は利益が過去最高になっています。売上総利益率も回復している状況です。

全社 FY2024/12 3Q 主要な費用項目

広告宣伝費についてです。大きな流れとしては、右肩下がりで減ってきています。2023年度に対して半分ぐらいにする計画で、広告を投入しています。

エンジニアの人員は、ソリューションセグメントで減っています。過去30パーセント増といった勢いで増やした反動から、一部人材のミスマッチもあり、減っているかたちです。

全社 FY2024/12 3Q 営業利益増減分析

利益の要因です。前年同期の営業利益3億1,700万円に対し、売上増加分、広告宣伝費減少分、人件費増加分、販売手数料増加分、その他費用で、第3四半期の営業利益は8億5,300万円となっています。

全社 FY2024/12 3Q 事業KPI

スライド左側がモバイルセグメントのKPIです。DAU(日次アクティブユーザ数)ですが、前年同期比0.4パーセント増となっています。グラフのとおり、ここ2年ほど上がったり下がったりしています。左端のほうは、コロナ特需が残っており、大きな流れとしては水平飛行というかたちです。

MAU(月次アクティブユーザ数)も水平飛行になっています。グラフの右端が下がっているように見えるところは、広告を絞っています。下がってはいますが、広告経由の獲得ユーザはライトユーザのため、売上等にはあまり貢献していません。よって、売上面で言うと影響はほとんどありません。

サブスクリプション契約数は前年同期比107.0パーセント増と、2倍以上に増えています。契約数の増加速度が上がっているのが見てとれるかと思います。

ソリューションセグメントのKPIです。ITエンジニア数は前年同期比13.5パーセント増となっていますが、直近ではここからの反動が発生しています。

全社 FY2024/12 3Q 設備投資額等及び円為替レート推移

設備投資、減価償却費、研究開発費、ドル円為替レートについては、特に言及することはありません。

3Qトピックス

第3四半期のトピックスです。「ibisPaint」に「作品フォルダ機能」がリリースされました。これはプレミアム会員向けの機能ですが、かなりの好評をいただいています。プレミアム会員の契約数にも、大きくつながったと思っています。

スライド右側の画像もプレミアム機能です。AIを使った「水彩フィルター」をリリースし、こちらも好評をいただいています。

FY2024計画ハイライト

通期計画です。第2四半期の公表時、通期計画を上方修正しています。そこから下振れを予想しているところがありますが、元の数値を読み上げます。

売上高は、2023年度通期の実績40億8,000万円に対し、2024年度通期の計画は前期比17.3パーセント増の47億9,000万円です。

営業利益は、2023年度通期の実績4億3,000万円に対し、2024年度通期の計画は11億6,000万円です。前期比168.4パーセント増と、約2.7倍になっています。

営業利益率は、2023年度通期の実績10.6パーセントに対し、2024年度通期の計画は24.3パーセントです。前期比128.7パーセント増と、約2.3倍になっています。

「ibisPaint」シリーズのサブスク売上は、2023年度通期の実績3億3,000万円に対し、2024年度通期の計画は7億1,000万円です。前期比116.7パーセント増と、約2.1倍になっています。

FY2024計画 全社業績推移

売上の増加をグラフにすると、スライド左側のようなかたちになります。モバイルセグメントが占める割合は少し減少しており、ソリューションセグメントのほうが成長率は高い傾向があります。

経常利益は前期比175.3パーセント増で約2.7倍です。当期純利益は前期比181.7パーセント増で約2.8倍です。

FY2024計画 セグメント別業績推移

セグメント別業績推移です。売上高は、モバイルセグメントが前期比13.6パーセント増、ソリューションセグメントが前期比22.9パーセント増となっています。

利益は、モバイルセグメントは前期比84.3パーセント増、ソリューションセグメントは前期比約2.5倍の154.1パーセント増です。

FY2024計画 セグメント区分別売上高

セグメント内の詳細な売上比率です。モバイルセグメントは、アプリ広告売上が前期比1.4パーセント減、サブスク売上が前期比116.8パーセント増となっています。

ソリューションセグメントは、IT技術者派遣が前期比9.4パーセント増、受託開発が88.3パーセント増となっています。

FY2024計画 セグメント別費用内訳

セグメント別の費用内訳です。モバイルセグメントはエンジニアへの投資が31.7パーセント増、広告宣伝投資は半減というかたちです。ソリューションセグメントのエンジニアの人件費は、14.7パーセント増という計画です。

FY2024計画 事業KPI

事業KPIはスライドに記載のとおりです。

FY2024計画 事業KPIの推移

KPIの通期計画です。DAUが前期比1.3パーセント増、サブスクリプション契約数が前期比105.8パーセント増となっています。ITエンジニア数は微増で、前期比1.3パーセント増となります。

全社 FY2024/12 3Q 計画に対する進捗度

進捗度合いです。売上、利益、営業利益、経常利益、純利益ともに、75パーセントから2ポイント前後不足している状況です。主に、モバイルセグメントのアプリ広告売上の未達が原因です。ソリューションセグメントは計画どおりに進んでいる状況です。

FY2024/12計画 株主還元

株主還元の配当です。第2四半期で発表した40円を考えており、前期比185.7パーセント増となります。また、来期の配当性向は5パーセント増とする予定です。その比率は将来的に上げていきたいと思っています。

MISSION ・ VISION ・ VALUE -1

事業計画および成長可能性に関する事項です。本日初めて当社の決算説明会に参加する方もいらっしゃるということで、簡単にご紹介します。

当社のミッションは「モバイル無双で世界中に“ワォ!”を創り続ける」です。「Boost Japanese Tech to the World」というビジョンのもと、ITの世界でも「Made in Japan」を広げていきたいという思いで経営しています。

MISSION ・ VISION ・ VALUE -2

当社の強みとして、「高い技術のエキスパート集団」「スピーディな意思決定と実行」「継続的なチャレンジ」という3つのバリューを掲げています。

会社概要

会社概要です。従業員は345名です。

主な沿革と代表略歴

私の略歴です。名古屋市生まれで、小学校・中学校・高校・大学も名古屋市です。1973年生まれの51歳で、名古屋工業大学工学部電気情報工学科を卒業しています。子どもの頃からプログラムを書いており、大学時代には自分で企画・設計・開発・販売したアプリが1本800円で売れて、数千万円の収入となりました。それを資本金として起業することができたということで、私が技術畑の人間であるということがお分かりいただけると思います。

事業概要

当社では、モバイル事業とソリューション事業の2つの事業を展開しています。それぞれの売上構成比は60.1パーセントがモバイル事業部、39.9パーセントがソリューション事業部となっています。

売上高推移

スライドのグラフは、創業から2023年度までの売上高の推移です。今から13年前の2011年に「ibisPaint」がリリースされました。発売から長い時間がかかりましたが、直近3年、4年で急成長し、無事に上場することができました。

モバイルペイントアプリ「ibisPaint」とは【モバイル事業】

「ibisPaint」の特徴についてです。「ibisPaint」は「PC並みの高機能をモバイルに搭載」というコンセプトでスタートしました。また、ディープラーニングなどの最先端技術を活用した機能も多数リリースしてきています。

今では中高生がスマホを使いこなし、指だけでも大変きれいな絵を描くことができる商品になっています。さらに2022年6月には、よりプロ向けの展開を目指してPC(Windows)版もリリースしました。

ibisPaintの特徴【モバイル事業】

「ibisPaint」は19ヶ国語に対応しており、世界200以上の国と地域で使用されています。スライドの図のとおり、「基本機能が無料」「海外ユーザ数が多い」「コミュニティとして『ibispaint.com』という投稿サイトがある」「Z世代(中高生)に人気」という4つの特徴があります。

ibisPaintの評価【モバイル事業】

「ibisPaint」の評価は、スライドのとおりです。

売上構成【モバイル事業】

モバイル事業の売上構成です。スライドの円グラフは2023年12月末の数字です。ビジネスモデルとしてはアプリ広告売上を軸にしたフリーミアムモデルとなっています。

売上比率はアプリ広告が75.2パーセント、サブスクリプションが13.4パーセント、売切型アプリが11.1パーセントです。サブスクリプションは、倍の売上になるペースで順調に進んでいるため、現在の割合はもっと増えています。

収益モデル【モバイル事業】

フリーミアムモデルについて表した図です。無料版アプリの月間アクティブユーザ(MAU)は、2023年12月末の時点で3,769万人です。これは日本発のアプリではトップクラスの規模になっています。

その中の一部のユーザは売切型アプリを購入し、一部のユーザがサブスクリプション契約をしています。現在のサブスクリプション契約者数は約19万人とかなり増えています。

収益構造図【モバイル事業】

収益構造図は、スライドのとおりです。

ibisPaint各種データ推移【モバイル事業】

スライド左側のグラフに示したとおり、2023年末までのシリーズ累計ダウンロード数は3億7,000万ダウンロードです。現在は4億3,000万ダウンロードとさらに進捗しています。

リリースからダウンロード数が増えるまでに長い時間がかかりましたが、2019年ぐらいからコロナ特需もあり広告費をかなり投入し、一気に世界中に拡大するという感じで伸ばしていきました。2021年末ぐらいまでは「べき乗」で伸びていますが、それ以降はおそらく線形より鈍化したペースの進捗となっています。

スライド右側のグラフは、MAU、サブスクリプション契約数、売切型アプリ販売数です。薄い緑色で塗りつぶされた部分がMAUで、2023年12月は3,769万人となっています。

2021年12月頃がコロナ特需と呼んでいたところで、それ以降は大きい目で見れば水平飛行となっています。したがって飽和したのだろうと思っています。

競合のペイントアプリの総利用時間を見ても、当社のユーザは9割弱ぐらい使っているため、それ以上にシェアを取っていくのは大変ですし、取れても残りのパーセントしか伸びないため、今後も多少の上下があっても、水平飛行が続くと思っています。

濃い緑色の折れ線グラフがサブスク契約数の推移です。右肩上がりに推移しています。これは、サブスク機能を追加するごとに増えた場合もありますし、サブスク契約への誘導の施策がうまくはまった場合もあります。

2023年度後半あたりから短期的に見ると、直線的に上に伸びている傾向があるため、来年以降もそのまま直線的に伸びていくだろうと思っています。

Z世代からの高い支持【モバイル事業】

「ibisPaint」のユーザ属性です。年齢層では25歳未満が49パーセント、性別では女性が72パーセントとなっています。また、5社ぐらいある直接競合のペイントアプリの中で、アクティブユーザシェアは87.7パーセントと高いシェア率となっています。

残りのシェアを取りにいっても100パーセントにはできず、数パーセントしか上がらないため、やはりアクティブユーザは飽和状態であり、今後も水平飛行になると思っています。

また、Z世代からの支持の傾向としては、中学生ぐらいでスマホを買ってもらった人の中で、少しでも絵に興味がある人は、当社のアプリを選んでくれていると思っています。

グローバル展開①【モバイル事業】

グローバル展開についてです。累計ダウンロードの海外比率が93.2パーセント、売上高は海外が73.2パーセントを占めています。また、国もアメリカ・ブラジル・EU・ロシア・日本・インドネシア・タイと、世界中で広くダウンロードされています。

成長戦略概要(中長期の売上拡大イメージ)

成長戦略についてです。上場以来「サブスクを強化します」とお話ししてきましたが、スライドのグラフのとおり、何年後かにはモバイル事業がソリューション事業を超えて成長していくと予想しています。もしかしたらそれは5、6年後のことかもしれません。

CAGRは平均成長率で9パーセントぐらいを考えています。

成長の展望①【モバイル事業/収益基盤の拡大】

「ibisPaint」の将来構想を図として表しています。中長期的にはもっとプロ向けの機能やマンガ、ディープラーニングといろいろな機能の構想を持っています。また、M&Aなども調査しています。

成長の展望②【モバイル事業/収益基盤の拡大】

成長の展望の1つ目です。スライド右上の折れ線グラフは、DAUに対するサブスクリプションの契約数の比率の推移を表しています。2022年頃のDAUの比率は0.7パーセントで、2024年9月末では3.4パーセントまで上がってきています。

2024年9月末の契約件数と割合を示したのがスライド左側の円グラフです。緑色の部分がDAUの人数です。そのうちの3.4パーセントとなる19万7,000件のサブスクリプション契約数はオレンジ色で表しています。グラフでは見えないぐらいの小さな割合ですが、MAU3,600万人から見ても少ない比率で、非常にフリーミアムなビジネスモデルであると言えます。

スライド右下の図は、無料の広告ユーザをサブスク契約に誘導している施策について示しています。1DAUあたりの1ヶ月の売上が、広告ユーザは25.0円、サブスクユーザは329.3円となり、収益率は10倍以上と大きく違ってきます。今後もこの比率を上げることで、収益性をさらに上げていきたいと考えています。

成長の展望③【モバイル事業/収益基盤の拡大】

プロマーケット開拓についてです。今年春にPC(Windows)版のサブスクリプションも始まり、こちらも順調に進んでいます。また、スライドには書いていませんが、今年の8月にPC(Windows)版を4,800円に値上げしています。

決算説明は以上となります。

最後になりますが、この度、第2四半期売上の上方修正を発表したにもかかわらず未達の見通しとなり、ご期待に応えられず大変申し訳なく思っています。要因としてはさまざまありますが、主に予算の立て方や、広告施策の不手際に対するリカバーに時間がかかってしまったことなどが挙げられます。

売上に関しては、期首計画に対してはプラス9パーセントで達成していますが、第2四半期で開示した修正計画に対してはマイナス1.3パーセントと未達となりました。

また、モバイルセグメントの売上だけで見ても、期首計画に対してはプラス4.2パーセントですが、修正計画に対してはマイナス2.4パーセントとなりました。同様にサブスク売上も期首計画に対してはプラス26.9パーセントと大幅増でしたが、修正計画に対してはマイナス2.4パーセントと、未達になりました。期待を裏切ったことで信用を落としてしまい反省をしています。

一方で、「広告ビジネスからサブスクへの転換」を社内で掲げて2年弱になりますが、サブスクは確実に成長していると言えます。サブスクの成長ペースは非常に速く、売上の金額自体も大きくなっており、モバイルセグメントの売上に対するインパクトも年々大きくなってきていると思っています。

モバイルセグメントの広告売上と課金売上を比較した場合、このペースでいくと3年後ぐらいには課金売上のほうが上回るのではないかと思っていますし、「広告事業からサブスクへの転換」も達成できそうな勢いだと思っています。

また、モバイル事業部の土台はMAUやDAUですが、こちらは2年ぐらい前から飽和・水平飛行という状況です。それに伴い、広告売上も水平飛行だろうと思っています。広告売上に関しては、年によって2割多かったり2割少なかったりと波があります。そのような波は今後も続くと思っています。

しかし、MAUやDAUが定常的に右肩下がりになっているわけではなく、競合の動き等を見ても大きな問題があるという状況ではありません。新たな脅威が出てきているということもないため、特に心配はしていません。今までどおりのビジネスモデルの延長で、確実に売上が伸びていくと考えています。

3年後、5年後の売上の伸びを目指し、日々施策を行いながら経営をしています。どうかみなさまも3年後、5年後の成長した当社の姿をイメージし、末永く応援いただければ幸いです。

質疑応答:第3四半期の売上が伸び悩んだ要因について

司会者:「直近の第3四半期の売上が伸び悩んだ要因を教えてください」というご質問です。

神谷:第3四半期の売上の伸び悩みに関しては、おそらくモバイルセグメントのことだと思います。先ほど説明にもありましたが、昨年の第1四半期、第2四半期は非常に景気が悪かったのですが、後半はアプリ広告市況の景気が回復してきました。

加えて、「Google」のAIの影響なのか理由はよくわかっていませんが、周りのモバイル界隈のアプリ広告枠の景気以上に当社の景気が良かったようです。そのようなことから昨年第3四半期の売上が非常に好調だったため、そこから見ると確かに下がってはいます。その他にも施策の問題、為替の円安などが重なっています。

一方で、MAUはDAUが水平飛行である限り、今後もこのぐらいの幅で上がったり下がったりすることは想定しています。長期的な目線で見ると特に心配はしていません。

質疑応答:通期の売上・利益の下振れ要因について

司会者:「第2四半期決算発表時の予想よりも通期での売上・利益が下振れとなる要因を教えてください」というご質問です。

神谷:通期での売上・利益が下振れる要因については、ソリューションセグメントはオンスケジュールなのですが、モバイルセグメントのアプリ広告売上が未達となったことが原因です。

質疑応答:アプリ広告売上の減少要因、改善策と市況の見通しについて

司会者:「モバイルセグメントのアプリ広告売上の減少要因として、施策の不調と資料に記載されていますが、この具体的な内容をご説明ください。また、今後の改善策と、広告市況に対する見通しについてもお聞かせください」というご質問です。

神谷:不調の要因と思われるのは、4月頃に行った、インプレッション数を増やすという内容の施策です。仮説ではありますが、どうやらそれが「Google」のAIから見た時に長期的にマイナス要因になるのではないかということが最近わかってきました。

今後の改善策としては、その施策自体はキャンセルの作業中であるため、じきにそのマイナス分は戻ってくるとは思います。ただし、広告市況が乗算されるため、そのあたりは不透明ではあります。

また、広告市況に対する見通しについては、今までもいろいろな指標から予測しようと、AIなども駆使し、さまざまな統計技術を使って分析しようとしたのですが、毎年なかなか当たらず、正確な推定方法が見つかっていません。したがって、現状としては見通しが難しいという状況です。

質疑応答:サブスク契約数の下振れ要因について

司会者:「モバイルセグメントのサブスク売上は順調に増加していますが、サブスクの契約数は予想を下振れていると記載されています。下振れることとなった要因を教えてください。広告宣伝費削減の影響はあったのでしょうか?」というご質問です。

神谷:サブスク売上も、期首計画に対してはプラス26.9パーセントという数字なのですが、修正し、マイナス2.4ポイントの未達となりました。予算計画を作る際に2.4ポイント分、強気で設定してしまったのが失敗でした。反省をしている次第です。

また、広告宣伝費の削減の影響はありません。基本的にアプリ内でサブスク誘導成果として契約していただいているところです。アプリ内の動きというのは、非常に細かくいろいろな情報を収集・分析をしているため、かなりはっきりわかっています。

質疑応答:「ibisPaint」のDAUの計画とダウンロード数について

司会者:「『ibisPaint』のDAUが伸び悩んでいるように見受けられますが、今後どのようにこれを増やす計画なのかを教えてください。また、アプリの総ダウンロード数の推移と予想も教えてください」というご質問です。

神谷:DAUの実績はスライド左側の棒グラフのとおりです。最初のほうはコロナ特需があったのですが、このへんから見ると、基本的には波はありますが水平飛行となっています。

競合アプリの総利用時間を見ても、90パーセント近くが当社のアプリの利用時間に消費されています。基本的に市場飽和となっているため、この先ここをどんどん上げていこうという考えはありません。上げるためにそこで広告を使っても、実際には上がらないと思います。

また、総ダウンロード数はスライドのとおりです。左側のグラフはマーケティング的に非常にグラフのかたちが良いため、よくメディア向けに使っていますが、実際には、アクティブユーザとして残る、右側のグラフのMAUの数字のほうがビジネス的には重要です。

あまり左側のグラフは気にしていませんが、2022年以降の伸びを見ていただくと、ここから鈍化しているのがわかるかと思います。左側のグラフの伸びがどのような動きであれ、ビジネスに影響しているのは右側のグラフのMAUとサブスク契約数の動きだと思っています。

質疑応答:為替が業績に与える影響について

司会者:「海外売上高が大きいようです。為替が業績に与える影響を教えてください」というご質問です。

神谷:1円円安になると、年間の売上は1,400万円プラスになると見ています。

質疑応答:第4四半期の業績の見通しについて

司会者:「通常の年だと、第4四半期が最も売上・利益が増加する四半期だと聞いていましたが、それを加味しても、当期の業績は予想を下振れるのでしょうか? 第4四半期の業績の見通しを教えてください」というご質問です。

神谷:過去のこのような説明会で、「第4四半期が上がる傾向にあります」と言って期待させてしまったのも、良くなかったと思っています。実際には、だいたい5年の内、5分の3は上がるかもしれないが、5分の2は上がらないかもしれないという実績となっています。

今期の第4四半期がどうなのかは現時点で開示はできませんが、感覚的には、やはりいつもの年末よりは上がってくるのが遅い空気感があるように感じています。

質疑応答:投資家との対話について

司会者:「今回の決算発表で、株価に大きなインパクトを与えました。投資家との対話を緊密に行っていれば、影響を小さくできたかと思いますが、投資家との対話についてのお考えをお聞かせください」というご質問です。

神谷:株価急落で本当に申し訳なく思っています。「投資家の対話を緊密に」という点については、このような発表資料を細かい頻度で出すという方向では考えていません。毎月新商品が出るというのであればまた違いますが、経営の状況はそこまで急激に変わらないのではないかと思います。

それよりも、このような資料の書き方やメッセージの出し方については、社内でもいろいろと反省点があるため、そこを改善していきたいと考えています。

もう1つはやはり予算の立て方です。予算未達という点が不安の要因と感じています。予算の立て方についてもいろいろと反省点があるため、今後改善したいと思っています。

質疑応答:決算説明資料における業績の表現について

司会者:「決算説明資料において、業績の低下を正直に書き過ぎたことで、株価が極端に下がってしまったように思います。もう少し表現を考えていただければ良かったかと思います。誠実さは感じていますので、応援しています」とのご質問です。

神谷:おっしゃるとおりだと思います。全体的な流れとしては、少しのマイナス部分でも、できるだけ早めに出したほうが良いと思い、ニュアンスを伝えようとしたのですが、インパクトが大き過ぎたということもありました。今後どのように改善していくかも含めて社内で検討していきたいと思っています。

質疑応答:株価下落に対する対策について

司会者:「今回の決算発表を受けて株価は大幅に下落しています。株価対策を具体的かつ迅速に取り組む必要があるかと思いますが、自社株買い等の対策はお考えでしょうか?」というご質問です。

神谷:株価を下げてしまい、本当に申し訳ありません。自社株買いという直接的な対策は現在、検討していません。今後、製品のリリースやM&Aの調査もあります。チャンスを見つけた「ここぞ」というタイミングできちんとアクセルを踏めるように、準備しておきたいと思っています。

そのため、現金がなくなりアクセルを踏みたい時に踏めないとならないよう、長期的にみて、5年後、10年後にさらに大きい売上を作るために準備しておきたいと考えています。

株価対策としては、やはり計画の公表の方法を改善し、今後は株価に影響を与えることがないようにしたいと思っています。

広告は波があるという点、また、サブスクに転換したことによりサブスク売上比率のほうが超えるという見通しがついてきたなと思っていましたが、やはり修正に対する未達が大きかったと思っています。

質疑応答:今後の成長可能性について

司会者:「モバイル事業の利益成長が鈍化してきているように見えます。直近の市況や為替の動向、同業他社との競合状況等も変化してきているかと思いますが、今後の成長可能性について昨年から変わった点があればご教示ください」というご質問です。

神谷:今期前半は利益成長の鈍化はないため、おそらく質問の意図が異なっているかと思います。売上の成長も2022年12月期から比べれば鈍化していますが、順調に伸びていると思います。利益も順調に伸びています。

広告市況は予測が難しいところです。為替は今後も波があるかと思いますが、現時点は計画時の為替に近いです。競合の動きなどにも大きな変化はありません。新しい脅威も出てきていませんので、安心しています。

昨年から変わったところも特にありませんので、同じビジネスモデルを進めていけば必ず売上は順調に伸びていくと考えています。

質疑応答:中期経営計画の公表予定について

司会者:「中期経営計画の公表はされないのでしょうか? 公表されないのであれば、その理由を、公表されるのであれば、いつ頃に公表されるのかを教えてください」というご質問です。

神谷:具体的に中期計画を作成して公表するという話は、現状、役員会では出ていません。やはり広告市況の波が大きく、為替の予測も難しいなど不確定要素が大きいため、現状、このスライドにある年平均成長率(CAGR)で出せればと思っています。

「7割方サブスク」など、もう少しはっきりわかりやすくなってくると中期計画も出しやすくなるかと思いますので、あらためて検討したいと思います。

質疑応答:事業間のシナジー効果について

司会者:「事業間のシナジー効果についてご説明ください。『ibisPaint』『ibisStorage』ソリューション事業のお互いの相乗効果が少ないように思いますが、いかがでしょうか? 『ibisPaint』関連では、コンテンツ事業のほうに拡大することもできますが、今後『ibisPaint』関連の新規事業などには進出しないのでしょうか?」というご質問です。

神谷:「ibisPaint」「ibisStorage」ソリューション事業は、技術交流を行っています。ビジネスドメインとしては確かに、おっしゃるとおりシナジーが薄いものを行っています。新領域も拡大したいという意図もあります。

「ibisPaint」に近いところで、コンテンツ事業はどうかというお話ですが、我々の強みは技術力で、高い技術を使い競争力を得ています。コンテンツの流通自体が、あまり得意ではありません。

また、「ibispaint.com」は、「Pixiv」の認知度が世界でもトップクラスですが、そのようなところに10年遅れで参加して、どれだけ競争力があるかです。

コンテンツ流通では、お金のやり取りが発生する場合、つい最近も「メルカリ」のニュースがありましたが、法律も含めて、警察の協力が必要です。9割以上が海外ユーザのような中では、非常に大変であると感じています。

まだ「ibisPaint」そのもののほうへ注力し、サブスクを伸長させていきたいと思っています。

質疑応答:M&Aの進捗について

司会者:「M&Aの進捗状況を教えてください」というご質問です。

神谷:M&Aは調査や接触、商談など、さまざまなことを行っています。現状はまだなにも決まっていないため発表することはありませんが、最終的にはなにかしら実行したいと思っています。

質疑応答:新商品の開発について

司会者:「『ibisPaint』に代わる新たな収益の柱となるような新製品の開発など、今後の成長の展望についてお聞かせください」というご質問です。

神谷:新商品の開発も開始しています。新商品や新サービスは、5本に1本、もしくは10本に1本当たるという世界です。「ibisPaint」は育てるのに7、8年かかってしまいましたが、5年後頃にきちんと花が咲くことを目指してさまざまな準備を行っています。

質疑応答:2025年12月期の広告宣伝費について

司会者:「来期の広告宣伝費はどれくらいを予定していますか? 今期と同程度でしょうか?」というご質問です。

神谷:広告は、来期の計画は今まさに作成しています。今期の計画は昨年の半分ですが、来期に限らずそのペースを今後も続けたいと思っています。

途中で新しい商品や、好機と思う時があれば再度、広告宣伝費を増やします。利益は減ってしまうかもしれませんが、「ここが千載一遇のチャンス」と思った時はアクセルを踏み、売上を伸ばしたいと考えています。

質疑応答:「ibisPaint」ユーザが使用している機能の把握について

司会者:「『ibisPaint』のユーザがどの機能を頻繁に使用しているかのデータを会社側は詳細に把握できるのでしょうか?」というご質問です。

神谷:起動したユーザ数や起動時間の情報は収集できています。また、課金誘導のような、広告を見た回数、クリックして課金につながった数の情報は取得しています。

それより細かいデータに関しては、ほとんどが端末内で処理される機能です。それらは取得できていませんが、サーバー側に通信が必要な機能はサーバー側にログが残っています。非常に膨大な量のデータを、BIツールという分析ツールにかけて、データサイエンティストのような社内の分析担当者が日々、調査しています。

質疑応答:業績の季節性について

司会者:「業績に季節性はありますか?」というご質問です。

神谷:一般的に、広告のほうが年末に向けて上がりやすいと今までご報告していますが、そうではない年もあります。

また、「ibisPaint」は夏休みなどの長期休暇になると起動時間が長くなります。夏休みや春休みの間は若干プラスになっています。

質疑応答:2025年12月期の業績予想について

司会者:「8月の上方修正は強気の業績予想だったと思いますが、来期は控えめの業績予想にするのでしょうか? 為替の予想が難しいので大変かと思いますががんばってください」というご質問です。

神谷:まさに、強気だったと反省しています。リスク分は乗算するなどさまざまな計算方法がありますが、見積もりが甘かったかと反省しています。来期こそは、きちんと計画を達成できるようにしたいと思っています。

質疑応答:「ibisPaint」の世界大会の開催について

司会者:「『ibisPaint』世界大会のような催しをされていますでしょうか?」

神谷:「ibisPaint」では、「素材コンテスト」を開催しており、世界中から応募があります。入賞作品は100点ほどです。受賞した方には賞金が出て、多いと1万円ほどです。コンテストは2ヶ月に1回ぐらい開催しています。このコンテストで、中高生が何万円も稼ぎ、そのお金で「ibisPaint」を購入したという方もいます。

「素材コンテスト」という名前がついていますが、当社の素材ツールに入賞した人の作品は素材として掲載され、それを我々は使用させてもらいます。当社にとっては素材が増え、ユーザにとっては楽しめてお金ももらえるというかたちで運営しています。

質疑応答:広告収入の伸び・下振れの要因と今後の見通しについて

司会者:「広告収入の伸び、下振れの要因については、御社個別のものなのか、マクロで見た広告市場も不振だったのでしょうか? 自社施策の不調と書かれていますが、具体的な要因は何だったのでしょうか?

それを踏まえて、今後の広告収入はどのように考えればよいでしょうか? 原因究明と改善について、今はまだ効果が上がってきていないとのことでしたが、どの程度の確信をお持ちでしょうか?」というご質問です。

神谷:個別要因かマクロかについては、最近入った情報から当社の状況が市況より悪いということがわかったため、過去にさかのぼって、さまざまな施策のうち、原因と思われるものを見つけたところです。

市況全体については、感覚的には、年末に上がり始めるのが遅いというのは見えています。今後の収入は施策の改善で戻る分はありますが、やはり来期の市況はなかなか見ない部分があります。3年、5年、10年というスパンで見るとこの波は続きますし、予測がつかない部分があります。安定するにはやはりサブスクが広告の売上を超えることが大事かと思っています。

質疑応答:サブスクのチャーンレート推移について

司会者:「サブスクのチャーンレート推移について、可能な範囲でご教示ください」というご質問です。

神谷:チャーンレートは開示していませんが、一般的に、法人向けSaaSのチャーンレートと比べるとはるかに高いといえます。競合も発表していますが、競合より多いのではないかと思っています。

ユーザは中高生が多く、コンビニで「iTunesカード」「Google Playギフトカード」を買って年額3,000円を払う方もおり、決済落ちが発生しています。

やはり、中高生、大学生はお金にシビアです。クレジットカードで契約していたとしても、「今月は使わなかったな。300円はやはりもったいないから今月はやめよう」「また来月契約しよう」「次の月に解約しよう」のような状況が発生しており、他よりは高くなっています。

質疑応答:ソリューション事業のエンジニア数減少の要因について

司会者:「ソリューション事業について、エンジニア数が前期比減というのは何が原因ですか? ミスマッチというのは具体的にどのようなことでしょうか? 来期リカバリーをどのように行うのですか?」というご質問です。

神谷:エンジニアの採用は、面接で取るか取らないかという部分の影響が大きいわけですが、やはり現場では、前期に人数を多く採ろうという計画がありました。そのため、おそらく面接時に敷居を緩めたのではないかと思います。それにより、マッチしない方が増えてしまったのかと思っています。

やはり、無理に採る人数が減れば辞める人も減ります。リカバリーのため、アクセルの踏み加減をもう少し整えたいと思います。

質疑応答:プロ向けの市場開拓について

司会者:「プロ向けはどのように開拓していく計画ですか? プロ向けは競合も強いですが、顧客にとって御社を選ぶ理由は何でしょうか?」というご質問です。

神谷:積極的にプロ向けを獲得するのは大変です。まず、プロ向けに必要な機能が競合に比べてまだ足りていません。エンジニアの数を増員して、早くキャッチアップしたいと思っています。

一方で、プレスリリースでも出しましたが、映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』のポスターをうちのアプリで作成したということで、インタビューしに行きました。実際に、プロの方で使っている方も増えてきています。インタビューでは「知り合いからおすすめされた」「使いやすい」とも言っていただきました。しかしながら、プロ向けの市場開拓にはやはり時間が非常にかかると思っています。

今の中高生、大学生が社会人になり、多くの方が「ibisPaint」ユーザ、ファンである状況になれば、その方々が仕事で使う可能性は高くなります。会社勤めであれば、「会社で導入しませんか」といったことが増えていくのではないかと思っています。

また、徐々に高級感を出していくなど、ブランディングの施策を進めています。

質疑応答:為替の見通し、あるいは売上予想に対する平均為替レートについて

司会者:「1円の円安で年間1,400万円の売上増とのことですが、現状の為替見通し、あるいは売上予想に対する平均為替レートを教えてください」というご質問です。

神谷:平均為替レートの計画は、152.8円となっています。

質疑応答:サウジアラビアでの「ibisPaint」ユーザ比率の変化について

司会者:「近年、サウジアラビアが国策としてアニメや映画に力を入れています。『ibisPaint』のサウジアラビアユーザ比率は変化していますか?」というご質問です。

神谷:直接的に何パーセントから何パーセントという数字は把握できていませんが、サウジアラビアは1人あたりGDPが大きい国です。国別の影響度でいえば、アメリカ、日本、EUの合計のほうが上位にはなりますが、サウジアラビアも比較的上位にあり、非常に気になっているところです。

サウジアラビアでのシェアがここから非常に上がるかどうか、いくら売上が上がるのかなどは、調査すればわかるかと思います。

質疑応答:「ibisPaint」の海外ユーザ数の多さを生かした新規事業について

司会者:「『ibisPaint』は海外ユーザ数が多いのが魅力ですので、それを生かしたシナジーのある新規事業を行ってほしいです」というご質問です。

神谷:「Boost Japanese Tech to the World」をビジョンに掲げているとおり、世界中で使用してもらえる製品でシナジーがあるかたちがベストだと思っています。そのような製品を作っていきたいと思っています。

配信元: ログミーファイナンス

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