【QAあり】ヌーラボ、2Qは増収減益、通期は期初想定を上回る推移の見通し 新規事業創出・M&A含め長期的な戦略投資を実施の意向

投稿:2024/11/28 19:00

目次

橋本正徳氏:みなさま、こんにちは。株式会社ヌーラボ代表取締役の橋本正徳です。本日は、2025年3月期第2四半期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日はスライドの目次に沿ってご説明します。「1.会社概要」から「3.成長戦略」については、5月の通期決算説明会でお話ししたことと重なる内容も多いため、メインの部分やアップデートが必要な部分にフォーカスしてお話しします。

当社のサービス内容などを詳しくお知りになりたい方は、当社IRサイトで過去の決算説明会の動画や、その書き起こしのコンテンツを公開していますのでそちらをご覧ください。

ブランドメッセージ

株式会社ヌーラボは、「“このチームで一緒に仕事できてよかった"を世界中に生み出していく」というブランドメッセージのもと、SaaS型のコラボレーションツールをサブスクリプションで提供している会社です。

会社概要

会社概要です。当社は福岡に本社を置き、国外にも子会社を持っています。グローバルで戦えるソフトウェアをインターナショナルなチームで開発・運営しています。

国内は東京と京都を合わせて3拠点、国外にはニューヨーク、アムステルダムに子会社があります。なお、シンガポールの子会社は、2024年9月末に清算を結了しています。

サービス概要

当社のサービス内容についてです。主力サービスである「Backlog」から「Cacoo」「Nulab Pass」の順にご説明していきます。

Backlogの利用対象ユーザー

当社の主力サービスは、チームでプロジェクトを管理する「Backlog」というツールです。「プロジェクト管理」を簡単に言うと、顧客管理、案件管理、予算管理、タスク管理、問い合わせ管理、不具合管理、コミュニケーション管理、ファイル・文書管理など、多岐にわたる情報をタイムリーに正確に管理する業務全体を指すものです。

プロジェクト管理の現場では、「ファイルが増えすぎて、どこに何の情報があるかわからない」「ファイルの共有が漏れていて、最新化されていない」「誰が何のタスクを担当しているかわからず、進捗が見えない」といった課題が発生していることがあり、プロジェクト管理には多くの人やツールが必要になり、多大なコストがかかることがしばしばあります。

このような課題を解決するためのツールが「Backlog」です。今回は、サービスの詳細についてのご説明は割愛します。

Backlog料金体系

「Backlog」のプライシング上の大きな特徴は、ユーザー数が無制限であるという点です。セキュリティ強化オプションの「NulabPass」のクロスセルにより、提供価値をさらに大きくしていきます。

Cacoo

「Cacoo」についてです。「Cacoo」は、クラウド上で共同編集が可能なオンライン作図ツールです。豊富なテンプレートやバージョン管理機能で、チームのコラボレーションを促進します。

例えば「Backlog」のWikiに使用するような図を「Cacoo」で描くことによって、特別な編集ツールをインストールしなくても、ブラウザさえあれば誰でも簡単にわかりやすい図を共有することができます。無料ユーザーも合わせて、世界で300万人以上のユーザーにご利用いただいています。

Nulab Pass

「NulabPass」です。「NulabPass」は、ヌーラボサービスを利用する組織のアカウントを、一括して管理するためのツールです。シングルサインオンや、ユーザーの操作履歴を追うことができる監査ログの機能も提供しています。

直近では、他社のクラウドサービスとのID連携をスムーズにするため、ユーザープロビジョニング連携を拡大するなど、管理者の利便性を向上する機能を提供しています。

【ご参考】2024年4月以降の主要サービス関連リリース

今期リリースした主要な新機能についてです。「Backlog」だけでなく、各サービスでさまざまな機能の追加を進めています。

Nulabの成長戦略

当社の成長戦略について簡単にご説明します。これまで、当社はリファラルを中心として、「Backlog」を柱に安定した成長基盤を築いてきました。今後も、リファラルでの成長を維持しつつ、開発・マーケティングへの投資を通じて、SMB・エンタープライズ両面でユーザー基盤を拡大していきたいと考えています。

また、「Backlog」以外のサービスでの成長を拡大させるため、足元では「Cacoo」や「NulabPass」へのクロスセルを行い、お客さまのワークフロー全体をサポートして、提供価値を増やしていく方針です。さらに、海外市場の開拓にも力を入れていきます。

製品主導による成長モデルの確立

「Backlog」は、これまで純粋なプロダクトレッドグロースで成長できた、数少ないサービスの1つと認識しており、それがヌーラボの強みであると自負しています。

ユーザー課金モデルではないかたちで、リファラルの循環を生み、ユーザーエンゲージメントを向上させることで、みなさまに愛される製品を目指し、ユーザーの自発的なコミュニティが形成されるほどに、ユーザーのみなさまの輪が大きくなりました。

このようなユーザーのみなさまのエンゲージメントを高めることが、結果的にはライフタイムバリューの最大化につながると考えています。

足元ではセールス機能の充実を図っていますが、ベースとしてこのような戦略があることは、今後もヌーラボの成長の基盤になると考えています。

目先の重要課題及びアクション

「Backlog」および「Backlog」が属するプロジェクト管理ツールのマーケット自体の成長ポテンシャルは、まだ十分にある状況と見ています。私は、このような市場自体の認知度を上げていけば、自然と売上がついてくるはずだと信じており、目先のアクションとして、「Backlog」の認知度を向上させるような活動や投資を重視していきます。

場合によっては、自社ツールだけでなく、同業他社と連携しながら、市場そのものの認知向上に向けた取り組みもできるように考えていきたいです。

新たな成長に向けたチャレンジ

新たな成長に向けたチャレンジとして、より長期スパンでのお話になります。「Backlog」の売上が収入のほとんどを占めているのが現状ですが、将来的にはヌーラボサービス全体を利用できるヌーラボアカウントをハブに、サービスを拡大していきたいと思っています。

「Cacoo」や「Nulab Pass」などの自社サービスのラインナップを充実させつつ、時には他社サービスとのコラボレーションを実施しながら、組織の壁を越え、企業活動すべてをプロジェクトと捉えて、全社改革を支援するプラットフォームを作ることで、「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」を実現していきたいと考えています。

P/Lサマリー

業績とKPIの推移についてお話しします。まずは、P/Lのサマリーです。第2四半期の売上高は前年同期比プラス13.9パーセントの10億200万円、うち「Backlog」は9億5,100万円となっています。

営業利益は前年同期比プラス38.2パーセントの1億9,500万円、経常利益は前期比プラス39.6パーセントの1億9,500万円、当期純利益は1億3,300万円となりました。

第2四半期までの累計の売上高は前年同期比プラス16.4パーセントの20億1,900万円、うち「Backlog」は18億8,700万円です。当期純利益は2億6,500万円となっています。後ほど触れますが、有料契約件数が想定を上回り、売上高は計画を若干上回っての着地となりました。

コスト面では、労務費を含む全社人件費や通信費、サーバー費用が初期計画を下回って推移したほか、一部の費用の月ずれによる影響で、営業利益以降の段階利益は、想定を大きく上回って着地しました。

コスト構造(全社)2025年3月期 第2四半期

コスト構造についてです。労務費を含む人件費、通信費、広告宣伝費が大きな割合を占める傾向は変わっていません。

Backlogの主要KPI

「Backlog」の主要なKPIについてです。スライド左側の有料契約件数は、9月末時点で1万4,434件となりました。月次解約率が初期想定を下回る水準で推移し、有料契約件数は想定を上回る着地となりました。

スライド右側の有料ユーザー数は約140万人となり、レベニューベースの解約率は0.41パーセント、件数ベースでは1.16パーセントとなりました。

Nulab Pass提供開始後の進捗

「Nulab Pass」の状況です。第2四半期には、さらにペースを上げてライセンス数を伸ばし、9月末時点で5万5,000ライセンスを突破しました。

通期の見通し

通期の見通しに関してです。売上高は、解約率が良好な水準であることから、期初想定を上回って推移する見通しです。コスト面は、労務費を含む全社人件費や通信費が初期想定を下回る見込みであることから、期初計画を下回る見通しです。

このため、スライド上部に記載のとおり、2025年3月期全体の業績水準は、期初計画を上回っていくのではないかという見通しを持っています。ただし、下期に一定の追加投資を計画しているため、現時点では業績予想修正が必要となる程度の乖離は生じない想定としています。

具体的に下期の追加投資についてご説明すると、中長期的な成長を見据えて、基盤整備、組織強化を目的とした追加施策を実施するとともに、新規事業の創出や、M&Aを含む長期的な戦略投資に向けた動きを加速し、これらに関連する投資を行っていきたいと考えています。

説明資料のコンテンツは以降もまだありますが、2025年3月期第2四半期の決算説明は以上です。最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:テレビCMや電車広告の効果について

「2024年3月期第4四半期に実施したテレビCMや電車広告の効果について教えてください」というご質問です。

2024年3月期第4四半期において、短期的な売上高の増加よりも「Backlog」や当社の認知度、さらにはプロジェクト管理ツール市場の認知度の向上を重要な目的に据え、テレビCMや鉄道、タクシー媒体への広告出稿を行いました。検索件数の増加など一定の成果が出ています。どのようなチャネルのどのようなメッセージがお客さまに響くのかなど重要な洞察を得ることもできたと考えています。

足元のトップラインのトレンドに明確なインパクトが出ていない事実もありますが、今後の広告戦略に活かすことができると考えています。

質疑応答:「Backlog」の値上げに関する考え方について

「インフレや他社サービスの値上げもある中で、『Backlog』の値上げに関する考え方について教えてください」というご質問です。

他社の料金改定の状況についてもしっかりウォッチしていますが、当社としては、お客さまに提供しているサービスの価値のほか、コストや市場の状況などを見ながら総合的に検討していくスタンスです。

料金改定については、現時点でなにか時期や手法を含めて具体的に決定した方針はありません。もちろん、「Backlog」のユーザー数に依存しない料金体系を維持する前提でいくと、提供価値の増大に応じた料金改定は事業者としての選択肢であり続けると思っています。

質疑応答:株価対策に対する考え方について

「配当などの株主還元も含め、株価対策に対する考え方について教えてください」というご質問です。

現時点では、配当や自社株買いを実施する具体的な予定はありません。将来的な自社株買いや配当実施などの株主還元は、選択肢として常に念頭には置いていますが、足元では成長投資を優先していく方針です。

財務戦略の考え方としても、現時点ではお伝えできるような具体的な計画はありません。自社株買いや配当よりも、例えばM&Aのようにビジネスのスケールにつながるような投資に充てるほうが好ましいのではというスタンスです。

今回の決算説明資料でも触れていますが、下期は、新規事業の創出やM&Aを含む長期的な戦略投資に向けた動きを加速していきたいと考えています。

質疑応答:今後の成長曲線イメージについて

「上場から2年経過しました。今後の成長曲線イメージについて教えてください」というご質問です。

リファラルを中心に据えた「Backlog」という安定した成長基盤をベースに、開発・マーケティングへの投資を通して、SMB・エンタープライズ両面でユーザー基盤を拡大していきたいと考えています。

さらに、「Backlog」以外の成長モデルの将来的な確立も見据え、「Cacoo」「Nulab Pass」へのクロスセルなど、ヌーラボツールの拡大や海外市場の開拓などにも力を入れていく方針です。M&Aを含む戦略的な動きも具体化していきたいと考えています。

質疑応答:「Backlog」の他市場への展開と新製品の開発予定について

「『Backlog』の学校や医療機関など他の市場への展開について教えてください。新製品の開発予定はありますか?」というご質問です。

「Backlog」が属するプロジェクト管理ツールというサービスは、ソフトウェア開発の現場で生まれ、エンジニアから広まったと思っています。しかし「Backlog」はエンジニア以外にも使いやすく親しみやすいサービスを目指して開発しており、実際に非エンジニアおよび非エンジニア業種で働く人を含むオフィスワーカーのみなさまにも広くご利用いただいています。

現段階では、特定の業界に絞ったマーケティング戦略を行っていませんが、特定の業種に刺さるような拡張サービスやカスタマイズなどで協業できるパートナーはいます。

ユーザーが抱える課題感やニーズをしっかりとキャッチして、サービス開発に活かしていきたいと考えています。

新製品の開発予定については、現時点で具体的に決定している事項はありません。

今後の成長に向けたチャレンジとして、現在は売上のほとんどを「Backlog」が占めていますが、将来的にはばヌーラボサービス全体を利用できるヌーラボアカウントをハブに、サービスを拡大していきたいと思っています。

まずは、「Cacoo」「Nulab Pass」といった自社サービスのラインアップを充実させつつ、長期的な視点では、他社サービスとコラボレーションをしながら組織の壁を越え、企業活動すべてをプロジェクトと捉え、全社改革を支援するプラットフォームを作っていきたいと考えています。

関連して、下期には、新規事業の創出等の戦略投資に向けた動きを加速させたいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス

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